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変化と進化を続けるキュウソネコカミ

キュウソネコカミの『ギリ平成』について

364日ぶりにキュウソネコカミ(通称:キュウソ)から『ギリ平成』というアルバムが届いた。
アルバム発売発表を聞いた時はとても嬉しいという思いと同時に、今年の1月からずっと全国各地でほぼ毎日ぐらいな勢いでライブを行っていたのに、いつ曲を作ったんだ。なんで急いでアルバム出す必要があったんだろうと、ふと思った。

しかし、そんな思いはこのアルバムを聴いてすぐに消えた。改めてキュウソの事が好きになったし、タイトルからして、ジャケットからして、キュウソの遊び心が満載で、このアルバムは今出すことに意味があるんだと思った。

キュウソは流行を取り入れるのが上手い。
しかも、新鮮な状態ですぐ取り入れてくる。
それをただそのまま取り入れるのではなくちゃんと自分達の味を入れて歌になる。
だから、ただの愚痴とかにならず聴いていて嫌な気にならない。
むしろ、笑いながら共感してしまう。
そして、分かりやすい言葉で身近にある事を取り入れてくれるのでキュウソの存在を身近に感じられるのだと思った。

1曲目『推しのいる生活』は発売前から何回かライブで披露してくれた。
最近になってよく使われるようになった【推し】という言葉。
ファンに推されている自分たちの気持ちを歌っているのかと思いきや、推しているファン側の気持ちを歌っている。共感する部分が多すぎて、この歌を聴いているともっとキュウソを応援しようっていう気持ちになる。
推し側の心理を歌いつつも、推しからこう思われていたいみたいな自分たちの願望も入っているような気がしてそこが彼らの良い所だなと思った。

4曲目『馬乗りマウンティング』では
SNSが普及した事により自分の知っている人だけではなく知らない人の情報も簡単に知れてしまう時代になった今、相手より自分のが上だと見せつけ優越感に浸る行為が繰り返される疲弊をぶちまけてくれているのだ。
曲名で「マウンティング」という言葉に更に「馬乗り」という言葉を使う事でマウンティングの罵り合いの強さが増している気がするが、なんだかマヌケな感じにも見えてマウンティングで競い合う人達を皮肉っているようにも思えた。
そして、こういう社会に対して鋭く真っ直ぐ歌うのではなく、ユーモアを交えながらもしっかりと物申すボーカルのヤマサキセイヤが書いた歌詞は聴いてる側の心をとても晴れやかな気分にさせスカッとさせてくれる。

しかし、時には、ストレートに自分達の想いをぶつけてくる曲もある。
今やライブでの定番曲になっている
2曲目『The band』は何回聴いても胸を打たれる。
昨年から続いていた対バンツアー、地元の最大キャパシティで行われた神戸ワールド記念ホールでのワンマン、台湾での海外ワンマン、春フェス、越えていけ編としてホールだから出来るような演出を沢山取り入れて行われたNHKホールでのワンマン、The band編として初めてワンマンをした会場でのライブをという原点回帰に繋がるようなワンマンツアー、夏フェス、学園祭と、ライブをしていない日が無いんじゃないかと思うぐらい、しかも、ライブ毎にファンの事を考えて楽しませてくれる誰よりもライブを大事にしてくれているキュウソだからこそ、こういう歌を作れるし、キュウソが歌ってくれるからこそ心に響くんだと思った。

そして、6曲目『真面目に』はシンプルな音とシンプルな言葉とヤマサキセイヤの着飾らない歌声がまっすぐ自分に突き刺さり、真面目すぎな自分がたまに嫌になっていたけども間違ってないぞと言われた気がして、とても胸が締めつけられ今までの事が報われた気がして泣けた。

ユーモアがあって面白いバンドと思いきや、真面目に自分達の気持ちを着飾らない素直な言葉でぶつけてくる。
そんなギャップを見せられたら好きにならないなんて無理だ。

そして、キュウソは時々
私の予想の斜め上をいくような事をしてくる。

10曲目『米米米米』と書いて『ベイマイベイベー』と読む。どこか聞き馴染みがなくもない言葉。しかし、ベイマイベイベーを漢字で表し、米に対するラブソングを歌い、更には米が炊ける様子を9曲目『炊き上がれ召し上がれ』で歌っている。これだけでも、さすがキュウソだな、普通に米の事を歌わないよなと感心してしまうのに、それだけでは終わらなかった。
アルバム発売前のイベントとして東名阪で『PAINT IT WHITE』と名付けたライブを開催して、来場者にお土産として紅白帽を配り白の部分が見えるようにかぶらせ、白いドレスコードをさせてファンを米にみたてて『炊き上がれ召し上がれ』のMV映像を撮った。
この時、彼らはもちろん、スタッフもステージもキーボードのヨコタシンノスケのメガネさえも何もかもが白くて、やるとなったら手を抜かずに徹底して行う事によってキュウソの面白さと真面目さの最高の化学反応が起こり予想を遥かに超えた最高のエンターテイメントが起こった。新しいライブの魅せ方だなと、とても興奮した。

そして、アルバムの最後の曲『ギリ昭和』はタイトルのバランスが面白い。
昭和というノスタルジック漂う言葉に
若者が多用してそうな「ギリ」が組み合わさっている。
キュウソはメンバー全員がギリ昭和生まれなのだ。だからこそ生まれたこの言葉はとてもインパクトがあり、私の中にある思いつきそうで思いつかない自分達にしか出来ない事をやるというキュウソらしさ100%なタイトルだなと思った。
ギリ昭和生まれだから、すぐに平成にかわり正直、昭和の事なんて知らず平成の記憶しかないのに、昭和にも平成にも入りきれないなんとも中途半端な昭和ギリギリ生まれあるあるが詰まった曲だ。
私はこの曲が大好きだ。
この曲を聴いた時に私もキュウソと同い年なので共感しかなかった。
歌詞に「1987年度産まれは」という自分の産まれた年が歌詞に入っていてとても嬉しくなったと同時にそういう時代まで自分は生きてきたんだなと時代の流れも感じた。
なんだか、昭和生まれのキュウソを通して平成という時代を振り返りつつも、新しい未来へ向けての覚悟というか想いを歌っている気がしたし、新年号の語呂が良ければちゃんと歌えるようになっている部分も素敵だなと思った。

そして、アルバムのタイトルは
『ギリ平成』
来年の春に年号が変わる。平成から何かへと。
前もって今の年号が終わることが予告されるなんて事はそうそうない。今回のタイミングを逃したらもう2度とこないであろう。今だからこそ付けれるタイトルだし、ギリ昭和な人が付けるからよりインパクトが出る。
アルバムジャケットのデザインは平成大ブームを起こしたゲーム機を思い出させ、とても懐かしくなった。歌詞カードにはそのゲーム機に出てきそうなキャラクターが歌詞カードに出てくる。ジャケット、歌詞カード、隠しサプライズなどの遊び心は、CDを購入した人達だけへのプレゼントがたくさん用意されていて、とても嬉しくなった。

『ギリ昭和』のキュウソが平成が終わる前に今の世の中に対しての不満、今、歌いたい事、今、届けたい事を『ギリ平成』に、歌ってくれた。
新しい年号に変わったとしても
キュウソはいつだって、今、この瞬間の想いを切り取って歌で届けてくれるだろう。

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