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アジカンはやっぱりアジカンだ

アジカン『ホームタウン』より

約3年半ぶりに
ASIAN KUNG-FU GENERATION(通称:アジカン)がオリジナルアルバム『ホームタウン』を発売した。
発売される前からネットニュースやアジカンの公式サイトでは、メンバーもずっと好きだと言い続けているWeezerのリヴァース・クオモとの共作、そして、初回生産限定盤に付属される『Can’t Sleep EP』では、2017年にカップリングツアーを行ったFEEDERのグラント・ニコラスとの共作、盟友ストレイテナーのホリエアツシ、学生時代にアジカンの音楽に出会ったTHE CHARM PARK作曲の歌がある事を知った。

私が『君という花』でアジカンと出会った時にこういう内容のアルバムが出る事を想像出来ただろうか。
アルバムが発売されるまで色んな種類のドキドキが止まらなかったが、そのドキドキはこのアルバムを全部通して聴き終わった後に消えていて、新しいような懐かしいようなアジカンに再会できた喜び、嬉しさに包まれていた。
 

アジカンの活動はずっと続いているけども、
ボーカル後藤正文のソロ活動、ドラム伊地知潔のインストバンド活動そして、7枚目のフルアルバム『ランドマーク』きっかけに、アジカンは再出発した気がした。
そして、もしかしたら、この活動や『ランドマーク』が発売されてなければ、これから先のアジカンの音楽には出会えなかったのかもしれないとこの当時のアジカンのインタビュー記事を読んで何度か思った。

しかし、色んな出来事が重なり、今まで中から見ていたアジカンを他の活動を通して外から見た事によって、アジカンに出来る事やりたい事のイメージが良いように膨らんだ結果、今に繋がったのかなと思った。
そして、今のアジカンが今までの活動の中で良い感じに肩の力が抜けてるような良い状態なのはアルバムのインタビューなどを読んでいて感じ取れ、アジカンがやりたい事をやれているんだなと言うのが伝わってきた。

アジカンは今までにも色々な挑戦をしてきた。
江ノ島電鉄の駅名を曲名にして一発録音に挑戦した『サーフ ブンガク カマクラ』、2004年に発売した『ソルファ』を「今やったほうがもっとよくできるのではないか」という思いから再録して2016年に再度『ソルファ』を発売した。
その他にも、ミュージシャンとしてだけではなく、いちリスナーとしてもラジオ番組や自分達が主催するNANO-MUGEN FES.、自分達のライブのオープニングアクトで呼んだりして、自分達が好きな音楽をいっぱい紹介し続けてくれている。ライブが終わると会場で流れてた音楽などを教えてくれたりもする時があるので、ありがたい。
こういう活動からアジカンの音楽だけじゃなくて、自分達を通して色んな音楽を好きになってほしいという強い想いを受け取った。
ミュージシャンとして活躍していながらも、リスナーとしても活躍してくれるアジカンを好きになったおかげで私はアジカン以外の音楽も色々と聴くようになり、好きになった。

そして、アジカン自身はこういう活動を通して色んなバンドと巡り会い切磋琢磨しあってきたり、学生時代に聴いていた憧れのバンドと共演して友人になったり、学生の頃にアジカンを聴いていた若手バンドに影響を与えてきたのだろう。

この事をふまえると、既に色々と挑戦してきてとてもバンドが良い状態な中で、自分達の音楽を確立してきたアジカンがより深い細かい部分を追求して辿り着いた先が良い音で自分達の曲を鳴らしたいという事や、自分達以外から作り出される曲を演奏するというのは必然だったのかもしれない。
 

正直、私は音楽の専門知識なんてないので、
あそこのあのドラムの音はとか、ベースのここの音はこの機材でとかの細かい内容を言われても残念ながらすぐに理解する事は出来ない。
けど、そんな私でも、Weezerのリヴァース・クオモ、ブッチ・ウォーカーとの共作でアルバムの始まりを告げるような壮大感がある1曲目『クロックワーク』から今までのアルバムとは違う音を体感できた。
重厚感があり耳の中の奥の奥まで全体的にしっかりと響いていくのが分かった。

そして、アルバムタイトルにもなっている2曲目『ホームタウン』は最初のドラムのスコーンと突き刺さる気持ち良い音から始まり、喜多建介のギターの元気よく空へと突き上げるような音色と山田貴洋のベースのずっしりとした安定感ある音がそれぞれバランス良く響き渡る。
そして、軽やかなビートに乗ってそっと背中を押して前へ進ませてくれる歌詞がとても心地良く、この曲を聴いていて自然と笑みがこぼれた。

6曲目『UCLA』は後藤正文とゲストボーカルで迎えたHomecomingsの畳野彩加のどこか摑みどころのない淡々と歌う声が静かな曲調にとても合っていてこのまま続くのかと思いきや、とても力強い曲調へ変化する部分の展開に心が震えた。
今の時代にどこか冷めて希望などを見出せなくて内側にあるモヤモヤを抱えている自分から変わってみよう、まずは一歩外へ飛び出してみようという曲に感じて、何も無い自分だけど、そんな自分にも何か出来ることがあるんじゃないかと勇気をもらえた。
 

7曲目『モータープール』を最初に聴いたのはアルバム発売前に特設サイトで48時間限定フル試聴をしていた時だった。
本当はCDを購入してから聴こうと思っていたが、発売日まで我慢出来ず1曲だけ試聴しようと思い直感でこれを選んだ。
曲始まりですぐに、なんだ?このとてもカッコいい曲は!と衝撃が走ったと同時に、このアルバムはとんでもないアルバムなのではと思った。
この曲をCDで聴き直した際に、どちらかというとこのアルバムの中で陰が強いような曲だけども悲しいとかではなく、浮遊感があり何度も繰り返されるコーラス部分に中毒性がありとても気持ち良くなっていき、余韻を残しながら終わる感じが何回も聴かずにはいられなくなった。シンプルな構成で今までにもありそうな感じの曲だけども、今だからこそ出せる格好良さが際立っていた。

アルバム最後の曲『ボーイズ&ガールズ』は今回こだわっている音の一音一音が丁寧にしっかりと耳に届くと同時に、歳をとる毎にどこか諦め癖がついてきてしまっていて、何かに迷ったり、新しい挑戦に対して躊躇してしまっている事に対して、背中をバシっと叩いて力強く励ますのではなく、大丈夫だよと優しくそっと背中をさすりながら応援し励ましてくれる歌詞によって今まで自分の中に溜め込んでいた感情がいっきに溢れ出して心が軽くなった。
 
 

初回生産限定盤『Can’t Sleep EP』もとても豪華になっている。
2曲目『廃墟の記憶』は後藤正文が歌詞もストレイテナーよりにした事+ホリエアツシ作曲という事でストレイテナー節炸裂だが、ストレイテナーに負けないくらいアジカン節も強烈なので、やっぱりアジカンの曲だなと思った。

3曲目『イエロー』では遂に、ベース山田貴洋がボーカルを務めているが、かなり加工されている。でも、それはそれで匿名性のある感じになっていて機械的なでもどこか味のあるカッコ良さが出ている。そして、短い曲だけどもその中で印象的なギターフレーズを必ず入れてきて耳に残らせるのはアジカン印だなと思う。

アルバムとEPを全部通して最初に聴いた時は、いつもよりも曲調の変化があったりしてやっぱり今までと違うようなそうなような不思議な感じがしたが、何回も聴いていくうちにアジカンが演奏すると何処かに+αでアジカン節が足されるのと今まで聴いてきた自分の中にあるアジカンの音が合わさって、アジカンになるんだなと思った。

いつだって妥協せずに試行錯誤しながら色んな事を追求し続けるアジカンだからこそ、今こうやって「アジカン」というジャンルの音楽が確立したのだと思う。

アジカンは時に社会と正々堂々と向き合い、今この世界で起きている事などをユニーク交えつつ、皮肉たっぷりに、時には優しく、鋭く歌ってくれる。そして、いつだって、奥底にある絡まったごちゃごちゃしている感情を肯定してくれたり、優しく解きほぐしてくれたり、そっと背中を押して前へ進む勇気をくれたりする。
そして、年々、何かに例えたりするのではなく「ハグしようか」とか「抱きしめて」など、人間愛のストレートな言葉を使って歌ってくれるので、より近い距離で歩み寄って語ってくれている気がするし、心の奥の方まで優しさや愛しさが沁みわたっていく。

私はきっとこれからもアジカンの音楽を聴きつつも色んな音楽に出会って好きになっていくと思う。
けど、いつだって「ただいま」と言って帰ってくる場所は「アジカン」だ。迷うことなくいつでも戻ってこれる。
そして、アジカンはこれからも「おかえり」と言って、素敵な音楽を届けてくれるだろう。

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