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また会う日を楽しみに

KANA-BOON「ネリネ」発売に寄せて

「ネリネ」という花がある。

花言葉は、「また会う日を楽しみに」

私はその花言葉はおろか、花の名前すら全く知らなかった。

その花の名前をタイトルにしたCDが、先日発売された。

メジャーデビュー5周年を記念した47都道府県をまわるツアー真っ最中のKANA-BOON。

MCではKANA-BOONのこれからについて、鮪さんが話をする場面が見受けられた。

ネリネの花言葉に4人が込めた思い。

次のツアーで、とか、また来年も、とか。

そういう近い将来のことも、勿論あると思う。

実際、私は来年も、彼らの音楽を聴きたい、彼らにライブで会いたい、そういう意味で、「また会う日を楽しみに」している。

彼らのツアーに行った人の半数以上が、同じ気持ちに違いない。

だけど何故だろう、どこか、何年、何十年経ってもまた会える日を楽しみに待っている、もし離れてしまっても、忙しくて音楽に触れる時間が減ってしまっても、それでも待っている、という類のものもあるように私は感じた。

就職するから、大学に進学するから、子育てをするから、様々な理由で彼らの音楽から少し距離を置かざるおえない人が少なからずいることを、4人はきっと知っている。

《 さよならを積み上げ ゆこう 感傷的通り雨に濡れたなら 乾くまで待って またゆこう 》ー ネリネ

ネリネの歌詞の一節。

「さよならは始まり」なんてよく言うけれど、それは結果オーライだった時に限る。

それに、さよならが自分にとってどうプラスになるかは、その時には分からない。

だからさよならは、辛い。

だけどそれを、積み上げゆこう、と歌う。

泣き暮れる日々が続いても乾くまで待ってまたゆこう、と。

ネリネは、新しいKANA-BOONを表す曲だと感じた。

だけど鮪さんの紡ぐ優しい歌詞は変わらない。

大丈夫頑張ろう、と、一緒に困難に立ち向かってくれるような歌詞。

どれくらいの人が、それに助けられてきたのだろう。

《 中身が空のこの鉤括弧 君は何を話したかった? 》ー アフターワード

少し攻撃的なイントロから始まるアフタワード。

それに反するように、切ない別れを描き出す歌詞。

きっと「君」が伝えるはずだった大切な言葉。

それを「中身が空のこの鉤括弧」と書く。

《 グッバイ バイバイ 別れをそんな言葉で結べたら 》ー アフターワード

いつだって、素直にさよならを言うことは難しいのだ。

《 何回も もう何回も いつかは迎えに来る春の足音を待って 燦然と光る日々へ繋がりますように 》ー 春を待って

思わずおかえり!と言いたくなるような、メロディーと歌詞。

ジャケットのネリネの花は、氷に閉じ込められている。

それがこの曲で溶ける。

そして氷から解放されたネリネの花は美しく咲く。

きっとそれと同じように、良いことばかりではない毎日を生きている私たちの、冷たく凍えた部分を溶かしていってくれる。

どんなに辛いことがあっても、いつかは春が来る。

私たちはそれを待って今を必死で生きれば良い。

そんな風に思えるような温かい曲だと思った。

4曲目に収録された湯気。

「君」と一緒にいた時、苦手で食べられなかったものが、「君」と離れた後で食べられるようになった。

それで余計に「君」を思い出し、知らないことが増えていく現実を実感する。

胸がキュッと、苦しくなった。

《 ずっと夜を繰り返したいな さよならはもう嫌なんだ 》ー ペンギン

この曲をはじめて聴いた時、何かを考えるより先に涙が出た。

小学校6年生の時に父親を病気で亡くした私は、当初、現実を直視できなかった。

何か今の自分の状況を忘れさせてくれるものはないか、そう必死になっていた時に出逢ったのが、音楽だった。

現実から目をそらすことしか、考えていなかった。

この曲はその時の気持ちを思い起こさせた。

大切な人を亡くせば誰でも、夢の中でだけでも会いたいと願うのだろう。

でもそれは夢の中の世界、現実に、その人はいない。

余計に現実を見る勇気がなくなってしまう。

「さよならはもう嫌だ」と、心の底から思う。

だけどこの曲は最後、

《 それでも朝が迎えにくるから あなたのいない日々を生きなくちゃな 夢の外へ 歩き出す今日も 頼りない足で街を行く あなたは夜のその向こう 》ー ペンギン

と締めくくる。

私がどう生きようと、命がある以上、必ず毎日朝が来る。

大切な人が側にいても、いなくても、夢を見続けるわけにはいかない。

私は生きているから。

夢で会えなくたって、前を向いて生きていれば、夜を越えて生き続ければ、その向こうで大切な人は絶対に見ていてくれる。

分かっているつもりだったことを、再認識させられたような、そして背中を押されたような、そんな気持ちになった。

5曲を聴き終えて感じたこと。

4人はずっと変わらず、人の心を動かす素敵な音楽を鳴らし続けている、ということ。

音楽で世界を変えるなんて、夢物語、幻想なのかもしれない。

だけど少なくとも私の世界は絶対に、彼らの音楽で変わっている。

KANA-BOONと出逢ってからの私が、私自身として生きるために、彼らの音楽は不可欠なのだ。

メジャーデビューからの5年だけを考えても、色々な理由で、KANA-BOONから離れてしまった人がいるのだと思う。

そういう人たちがふと立ち止まった時、悲しいことがあって前に進めなくなった時、KANA-BOONの音楽が、絶対に前を向くきっかけになってくれる。

そういう音楽を、KANA-BOONの4人はつくり続けているのだ。

「また会う日を楽しみに」

きっとファンである私たちと同等、またはそれ以上に、そう思いながら。

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