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CDが売れないこんな世の中で思うこと

ゴールデンボンバー『ローラの傷だらけ』、キュウソネコカミ『ギリ平成』に寄せて

私はCDが好きだ。部屋の棚にはお気に入りのCDがずらりと並ぶ。

とはいえCDをそのまま聴くのではなく、データを取り込んだスマホで聴いている。それでも好きなアーティストの曲を初めて聴くときには、CDを手に取り歌詞カードを見ながら聴きたいのだ。写真やクレジットも隅々まで見る。

国民的エアバンド、ゴールデンボンバー(以下、金爆)のシングル『#CDが売れないこんな世の中じゃ』(2017年)も、そんな大好きなCDの1つだ。ボーカルの鬼龍院翔は表題曲の中で

“CDの総売上げ全盛期の1/3
景気が良いのAKBだけ!”

“何故僕等はCDを出す?”

と叫ぶ。音源の形はこの数十年で変化し続けている。データ化によりついに形が無くなりつつある今、CDコンポを使って音楽を聴くという人はどのくらいいるのだろうか?少なくとも私の周りには1人もいない。

金爆は2014年に“特典なしシングル”、『ローラの傷だらけ』をリリースした。握手会やその他特典は一切なし、写真やイラストのない真っ白なジャケットに、音源だけが入った真っ白なCDで価格はなんと461円(税別)だ。

私はそのCDを1枚買った。収録曲はカップリングを含めて3曲(カラオケバージョンを含めると全6曲)。3曲とも期待以上に良い曲で、461円では安すぎると思った。だが真っ白なジャケットには少し寂しさも感じた。

それまでCDに握手会の抽選券等を付け、複数形態で販売していた金爆は、前作『101回目の呪い』(2014)では約15.8万枚を売り上げ、インディーズ史上初の「2作連続オリコン1位」という記録を獲得していた。(今のV系バンドは特典会付き・多種形態でリリースすることが多い。)

このシングルも、握手会の抽選券を付ければ3作連続でのオリコン1位という記録も狙えたかもしれない。その記録も売り上げも投げ捨て、事務所の大人達に無理を言ってまで“特典なし”の真っ白なCDを販売した理由は、鬼龍院のブログに綴られている。

[以下『キリショー☆ブログ』2014-07-07より一部抜粋]

« この売り方は、誰かを批判したいとかいうわけではなく、CDというものの価値が以前と全然違うものになっていることを知って頂きたくてやらせて頂きました。

だからこの売り方に関するPRも出来るだけ大々的にやらせて頂きます、

そうすればより多くの人がCDとは、音楽とはを考えるきっかけになるので。

いつでも音楽業界のより良い発展を願っています。»
 

その結果、初動売上は予想(3万枚)を上回る約4.3万枚、オリコンチャートでは2位にランクインした。

これ以降、金爆のCDの売り方は変わった。ファンを困らせることのないようにと形態を少なくし、握手会を辞め、特典の付け方は以前より自由になった。(メンバーの体臭付きカード、VRビューワなど)特典はどれも彼ららしいユーモアに溢れたものだったが、同じCDを何枚も買いたくなるようなものはなかった。それがCDを買うファンとしてありがたく、嬉しく、そして誇らしくもある。
 

5人組ロックバンド、キュウソネコカミもCDにこだわっているバンドの1つだと思う。

先日、キュウソネコカミの最新アルバム『ギリ平成』初回盤を買った。懐かしいゲーム風のキャラクターが動くジャケット、写真や絵を使って表現された歌詞カード、購入者へ向けた隠しメッセージ、ライブ映像のDVD…楽しむ要素は挙げきれないほどあった。

もちろん、楽曲だけでも満足できるものだった(過去最高のアルバムだと思う)が、それに加えて胸を躍らせる楽しさが詰まったアルバムだ。このアルバムを開封したとき私は、まるでおもちゃを買ってもらった子供のようにはしゃいでいた。

“オリコンチャートは今日もたくさんの愛で溢れて壊れている”

これは彼らの楽曲『ビビった』(2014年)の一節である。多くのファンが特典目当てで、あるいは応援する気持ちでCDを複数枚買い、それによりランキング上位に入ることが今や普通になっている。

私も特典のために同じCDを複数枚買っていたことがある。特典を楽しみながらも、数十枚購入している他のファンや、自分の手元に積み重なっていくCDを見ると少し悲しかった。これではCDの方が“おまけ”になってしまっていると思った。

CDは今も、単なる音楽データではなくアーティストの想いやこだわりの詰まったモノだ。CDが売れなくなった今だからこそ、ジャケットや歌詞カード、特典に出来る限りの工夫をして購入者を楽しませるアーティストが増えた気がする。「そんなものは音楽じゃない」などと言う人もいるかもしれないが、私はCDも表現の一部であり、CDのジャケットや歌詞カードは“ 形ある音楽” だと思っている。特典が“おまけ”として付いているならば、それは単純に嬉しいことだ。

あの円盤はそのうち無くなるのかもしれない。歌詞カードやクレジットもデータで十分なのかもしれない。それでも私は手に取り、棚に並べ、いつでも見ることのできる“ 形ある音楽”も好きでいたい。次の世代にもその楽しさが伝わることを願いながら、今も棚に並ぶCDを眺めている。

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