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Kidori Kidoriが一番好き

僕しか知らないロックンロールとギターヒーロー

大阪にKidori Kidoriというバンドが”いた”。
2017年7月に解散を発表したインディーズバンドである。
人気があったかと言われると、正直そうではなかった。

出会いは2014年、当時高校一年生の僕は「RUSH BALL」というロックフェスに父親と足を運んだ。
初めてのロックフェスということもあり、胸を弾ませながら泉大津へと向かった。
イベントは中盤戦、初めてのモッシュやダイブという文化に触れ少し疲れた僕はサブステージの近くで腰を下ろした。そんな僕の前に、ヒーローはいた。

真っ赤なギターを携えたモジャモジャ頭の気だるそうな男。
彼こそが「マッシュ」、そして彼らこそが「Kidori Kidori」。
後に僕の人生が大きく狂わされる事になるその根源の男たちだ。

釘付けだった。全てにおいてかっこよかった。

英語歌詞だから何を言ってるのかはさっぱりだったが、それまでスガシカオとフジファブリックしか聴いていなかった僕にとっては充分なほどの衝撃だった。それこそ、ガツンと頭を殴られたような衝撃がそこにあり、帰り道は彼らの音楽がずっと脳内を巡った。

そこから僕の生活はKidori Kidoriと共にあった。初めてお小遣いで買ったCD、初めて一人で行ったライブ。いろんな初めてが彼らだった。友達も家族も知らない、「本物のロックがここにあったんだ!」と冗談ではなくずっと思っていた。

そんな彼らが、2015年にリリースした『!』(雨だれ)はある意味衝撃だった。今まで全曲英語歌詞の曲を作ってきた彼らが、全曲日本語歌詞のアルバムをリリースした。ファンは「名盤だ!」と絶賛する人と「こんなのKidori Kidoriじゃない!」と嘆く人もいた。完全に混乱状態だ。その後、僕が夢中になった時から不在だった正規ベーシストを加え、彼らは日本語歌詞の曲を続々とリリースした。

僕は混乱していたし、正直ついて行けなかった。僕の青春は終わってしまったとまで感じた。
しかし、加入から1年。正規ベーシストが脱退。再び二人になった彼らはまさかの二人体制という選択肢を選び、二人体制の新曲をカセットテープに詰め込んだ。
そのカセットテープを聴き、2年前に受けた衝撃がザオリクが如く再び蘇った。

「あぁ、これだ。これだったんだよ僕が求めていたヒーローの姿は。」

英語歌詞、エッジの効いたサウンド。ヒーローの帰還だった。リリースイベントの際に見た彼の姿は2年前と変わらず、かっこいい。彼が弾くギターが一番クールでかっこいい。同時に”音楽”という芸術の無限大の可能性を感じた。そんな芸術に魅せられた僕は芸術大学に入学、デザインという形で音楽に関わりたいと思った。彼らと一緒に仕事が出来たらいいなと、密かに思っていた。

大学生活にも慣れ、木の葉が青く染まった夏の日のこと、Kidori Kidoriの活動は突然に終焉を迎えた。呆気ない最後に頭の整理がつかなかった。それと同時に最後に見たライブで寂しそうな顔で言ったマッシュの言葉を思い出した。

「俺はただ、バンドがしたかっただけなんやけどな。」

その言葉がいつまでも呪縛のように張り付いてしまっている。

解散から1年程経ち、20歳になった。その間に音楽サークルに入り、僕はバンドを始めた。ギターとドラムのロックデュオだ。彼らの真似といえばそこまでだけど、憧れが過ぎた結果なのかもしれない。あれからも英語はからっきしダメだし、ギターもお世辞にも上手とは言えない。それでも目指す背中は彼しかいない。

いつまでも追いつけない僕しか知らないギターヒーロー。
その背中をいつまでも僕は追いかけている。

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