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青い日々を生きる君へ

さよならポエジーと私から、前線に告ぐ

高校時代、現代文の授業が好きだった。

それは受験に特化したもので、動詞と形容詞、ときには物や色などの名詞にも、単語一つひとつにそのイメージからプラスかマイナスを書いていく。一文一文の感情を計算のように機械的に求めるという内容だ。文学の情緒は無いが、言葉を紐解き、明確に感情を形にする作業は面白かった。一日中机に伏せていた私も、現代文だけは真面目に受けた。
結果として大学入試は国語の出来で決めたようなもので。親も教師も友達も、自分でも驚くようなチャレンジ校に合格した。

赤は、動、血、炎、気、熱、生…
青は、静、水、寒、冷、悲、寂…
 

【 赤が青になる様 日々は単調になっていくわ
無傷はふりだしの象徴であるかの如くです
馬鹿が阿呆になる様 日々に変調もさしてないわ
蹉跌は自らへの表彰であるかの如くです 】
(前線に告ぐ / さよならポエジー)
 

何故聴いたのかも思い出せないくらい偶然出会った歌だった。なんとなく懐かしいような気がする、シンプルで心地よいイントロ。暮らしに馴染む声。小説のように羅列から美しい言葉とその響き。

好きだな、と思った。

小説といえば、あの時間を思い出す。なんだかむず痒さを伴って。好き、なんて。ふと聴いたその歌は「好き」を求めることさえ忘れた私を救った。
忘れていたものも、一つ見つかれば次々と溢れていく。すぐにCDを買って、歌詞カードに線を引いた。
 

【+赤 が −青 になる様 日々は −単調 になっていくわ
+無傷 は −ふりだし の 象徴であるかの如くです
−馬鹿 が −阿呆 になる様 日々に −変調もさしてないわ
−蹉跌 は 自らへの +表彰 であるかの如くです】
 

プラスはマイナスの象徴で、マイナスが積み重なるとマイナスすらもプラスに変わってしまう。数学で習う負の計算も真っ青の厄介さだ。

それでも、線を引きながらもやもやした自分の感情が形になっていくことを実感していた。私はこの毎日が好きだった。面白くて楽しくて、喰らいつくのに必死だった。プラスがマイナスに変わったのはいつだったのだろうか。

ただ消費するだけ毎日から革命前夜までの歌。疲弊し、1日を乗り切ることだけで精一杯だった私は、すごく強く背中を押された、もはや蹴られた気がした。強烈な逆説に涙が溢れる。
 

【無傷はふりだしの 象徴であるかの如くです】
 

こんなに傷ついてるんだからものすごく前に進んでいるんだ、と思えば立ち上がることができた。

あぁ、好きだったな。

でも、もういい。

私の革命前夜は、今だ。

線を引く時間はあの時のように楽しかった。青に変わってしまった赤い日々は今でも大切だからこそ、ずるずると青い日常を続けるなんて出来ない。大学4年生の2月、次の進路も決めないままインターンとして早期から働いていた内定先を辞退した。
 

思い出した1つの「好き」を手掛かりに、新たな赤い日常に飛び込んだ。幸い、1年近く経った今も同じ炎の色をしている。
あのとき、さよならポエジーのボーカル、オサキアユと重なって聞こえた声は、過去の、未来の、私の声だったと思う。
 

【あなたなら きっと 上手く 生き残れるわ】
 
 

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