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歌は終わった。しかしメロディーはまだ鳴り響いている。

BURNOUT SYNDROMES 初のアコースティックワンマン ライブレポート

会場に入るとBGMがクリスマスソングばかりだった。
もうそんな時期か、なんてぼんやりと考える。
「僕達からのクリスマスプレゼントです」
石川大裕(B,Cho)の言葉から始まったこの日のライブの1曲目は「月光サンタクロース」だった。
 

12月9日下北沢LIVEHOLICで行われたBURNOUT SYNDROMES アコースティックワンマンライブの模様をレポートする。

バンド初となるこの日のアコースティックライブは、キャパ180のライブハウスに対して4桁近い応募があった。予定時刻より数分遅れて始まった本公演。BGMが消え会場の明かりが細まる。上手後方から現れた熊谷和海(G,Vo)、石川大裕、廣瀬拓哉(Dr,Cho)の3人はハイタッチを求めるファンにありがとう、ありがとうと丁寧に応えながらステージへ登った。
メッセージの力強さを残しつつも優しく切ない音色で「月光サンタクロース」を奏でると、続けて「文學少女」、「花一匁」と人気の高いライブ定番曲を普段と違うアコースティックサウンドで畳み掛けファンを惹き付けた。
MCを挟んで、アコースティックナンバーである「君のための Music」、「吾輩は猫である」を立て続けに披露。ハスキーで哀愁を帯びた熊谷のヴォーカルが会場に響き渡る。
この日のMCでは普段”総合司会”を務める石川だけでなく、熊谷、廣瀬との掛け合いが多く見られたのが印象的だった。「吾輩は猫である」を聴くとどんな時でも眠ってしまうという石川に対し「今日は寝ちゃわなくて安心した」と話す熊谷は瞳を覆う前髪の隙間から朗らかな笑顔を見せた。
「次に演る曲が自分の曲の中で一番好き」という熊谷が石川に代わって曲フリをした「夕闇通り探検隊」では、Cメロのリコーダーを石川が演奏し会場を夕闇色に染めた。教師を目指したこともあったという熊谷の「誰もが子供たちを導く存在になれる」という想いが渦になって昇華されたような歌声だった。
熊谷がガットギターに持ち替え石川による阪急電車のアナウンスから「神戸在住」は始まり、同アルバムの「ラブレター。」へ続いたのだがしばらく歌ったところで熊谷が曲を止める。廣瀬のキーボードのチューニングが合っていないことに気付いたのだ。「俺ら1回間違えたところは歌い直しちゃいけないって決まりがある」という熊谷に代わって、初めから仕切り直したこの曲を熊谷が歌い出すまでこの場に居合わせた180人で歌い上げた。
この日初披露となった「ナミタチヌ」は全国高校eスポーツ選手権の応援ソングとして制作された。これまでのBURNOUT SYNDROMESにないサウンドとサビの「SPLASH!」というフレーズが耳に残る。
最後に「FLY HIGH!!」、「ヒカリアレ」というアッパーチューンで締め括り、アコースティックながら力強い歌声とサウンドで会場は一体となった。アンコールではこの日に間に合わせるために完成させたというMCカワタイ(石川)がラップ調で地元大阪を歌ったソロ曲「商売繁盛」を披露。会場の熱はそのまま、「あの暑い夏を忘れないために」と、ある夏の「君」と「僕」を描いた「セツナヒコウキ」でこの日は終演を迎えた。
 

綿密に作り込まれたサウンドにメロディー、そして熊谷の頭の中の世界が聞き手を真っ直ぐに射抜く精巧な歌詞が売りのBURNOUT SYNDROMESだが、その曲たちをアコースティックに編み込んだことで生まれたある種の「隙」のようなもの。その中に自分が埋めこまれた気持ちだった。
このバンドから感染する感情は、幸せだけではない。青春の痛さも汚さも切なさも、泣き出す刹那の鼓動も。喜怒哀楽の全てを投げつけられ、満身創痍になりながら私はこの日世界一の美を垣間見たのだ。

MCではニューアルバムが制作中であることが明かされ、熊谷は「俺の曲はいつも賛否両論って言われるけど、それを気にしてない訳ではなくて。でもやっぱり自分のやりたいことってなったら結局すごい攻めた感じになっちゃう。ここに居る何人がついてこれるか実験です(笑)」と悪戯な笑みを見せた。2年程前のインタビューで自身を科学者に例え、「実験」と「レポート」を繰り返していると語った熊谷の姿が過る。初のアコースティックライブを終え、来春に控えるワンマンツアーではどのような姿を魅せてくれるのか。
 

歌は終わった。しかしメロディーはまだ鳴り響いている。

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