1776 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

Nulbarichの描く風景

私たちのHometownがここに

2018年11月2日 日本武道館

最初から最後まで、あたたかさに包まれたライブだった。まだ地図に載っていなかったはずの道は、まっすぐここに続いてきていたんだとわかった。「プライドはOTANOSHIMIの邪魔」なんて歌っているけれど、彼らの控えめなようで確固たるプライドを見せつけられるようなライブだった…。

考えてみれば2018年は、ほぼ毎月と言っていいほどNulbarichのライブに足を運んでいた。私はできるだけ彼らの音楽のそばにいたかった。そういった中でも、この今回の日本武道館公演だけは特別中の特別で、公演の発表があってから実に8カ月近い月日を待って待って待って待っていた。正直、発表があったあの日、失礼ながら私はまだ武道館でパフォーマンスする彼らを想像できなかった。だからこそ、一緒にその夢についていこうと静かに心に誓った。

しかし、彼らはライブを重ねるごとに確実に観客を増やし、想像を越えるスピードで大きくなっていった。ライブの度に私たちを強さと優しさで包み込み、たくさんの幸せで満たしてくれた。人々はそんな彼らに魅了されないわけがなかった。
それと並行するように私の武道館公演への期待もどんどん膨らみ、その日までを過ごすこととなった。ひとつのバンドが成長していく様を目の当たりにすることになったのだ。

語弊があるように聞こえるかもしれないが、私に言わせれば、2018年のワンマンライブ、フェスやイベントライブは間違いなく武道館への序曲だった。もちろんひとつひとつがそれだけで充分にすばらしいステージだったし、実際にはそれまでのライブひとつひとつが重要なchapterであるのは間違いない。ただ、2018年はアルバムH.O.Tの♪Intro.で幕開けし、あの曲が私たちをNulbarichの世界へ引き込んでくれたところから、もう武道館への道が知らぬうちに既に始まっていたように思わされる。
かつてライヴの中心曲であった♪Follow Meや♪On and Onが序盤に出てくるようになり、そこからNulbarichの心臓部である(少なくとも私はそう信じて疑わない)♪NEW ERAへとつながる。そしてそのあとは新しくライブの中核を担う形で♪Zero Gravityや♪ain’t on the map yetなどH.O.Tの曲たちが存在感をあらわすようになっていた。「僕たちは片道切符を手に入れた。」「もう戻らない。」「あともう少しだよ。」JQがそう言いながら歌う♪Almost Thereは他でもない武道館への切符そのものだった。私たちも受け取ったその切符を大事に大事にまるであたためるかのように、一曲一曲をかみしめてこの日まで過ごして来た。

そして、その日がやって来た。
当日は、現地集合の約束をした仲間たちと合流し、言葉を交わし、それぞれの席でそのスタートを待った。この”待つ”という時間が私の鼓動を加速させ期待と共に緊張感を膨らませた。

ライブ前になぜ自分が緊張するのか、その理由ははっきり言ってずっとよくわからなかった。ライブはあくまで自由に楽しむもの、そういってJQはいつもそれぞれの楽しみ方で参加する私たちを歓迎してくれる。なので、こちらも肩の力を抜いて、気楽にいけばいいはずだ。…いや、ちょっと待て。そうではない。そんなふうに呑気に構えていたら、きっと飲み込まれてしまう。これまでのワンマンライブで信じられない光景を目の当たりにしてきたんだ。ライブの度になかなか余韻が冷めず、数日間ぼんやり過ごしてきた日々があったことを忘れたわけはない。そしてこの数ヶ月間で彼らがどれだけ武道館に向けて準備してきたのか、計り知れないのに。底知れぬNulbarichのパワーをあなどってはいけない。そこに立ち向かうために、私たちはラフでタフでなきゃいけないんだった。

Nulbarichと私たちは観せる側と観る側という単純な関係性ではなく、その時間を共有することを選んだ言ってみれば集合体だ(と、私は勝手に思っている)。人々がその時間を共有することで更にものすごいパワーが生まれてくる。この武道館公演は彼らにとってこれまでで1番大きなイベントだ。緊張とは”これから起こるであろう初めての体験に向かう際にするもの”。
私たちがこれから目にするものがこれまでに体験したことのある光景であるわけがなかった。ふと今回のタイトルを思い出す。”the party is over”。ここから更なるスタートを切る彼らに、これまで見たこともないような場所に連れていってもらえるんだ。そしてそれを一緒に作り上げる一人に自分もなり得るのだから。この緊張感はそのせいかもしれない。深呼吸しながらステージ上のカウントダウンを見つめていた。

少しずつステージにメンバーが揃い始める。私たちの胸も高鳴る。そして、その時は来た。ずっと待っていたこの場所のこの時間…。JQが登場した瞬間、すごい早さで自分がNulbarichの世界に飲み込まれていくのがわかった。そしていきなり金色のテープが宙に舞うという、彼らからのサプライズプレゼントを受け取ることになる。…やられた。
そこからはNulbarichが作り出す音楽に身を委ね、ただただ自由に身体をゆらす。照明に照らされるJQを見つめ、それからそっと目を閉じてみる。JQの心地よく柔らかで、それでいて少し冷たい声が私をなでる。それは、まるでNulbarichの中にいるような不思議な感覚。この浮遊感、そこには心地よさと感動しかない。初めて、彼らに出逢う人も沢山いただろう。しかしもうそこでNulbarichと一体化していく自分に気付いたら、その気持ちよさを知ってしまったら、もう彼らに夢中になるしかないというくらい、圧倒的に快適で感動的で素敵な空間が広がっていた。

9人のオーケストラのそれぞれの主張は激しかった。彼らは自分達では協調性が出てきたなんて言っていたけれど、みんなの個性は豊かすぎた。いつもの雰囲気で、これまでやってきたことをかみしめながら立つ彼らがそこにはいた。それでも特別感に溢れていた。みんなの本気がビシビシ伝わってくるのがわかった。

♪NEW ERA のシングアロングは幸福に満ちていた。今までの聴かせる♪NEW ERAとはまた違った感動がそこにあった。いつか武道館で歌おうとメンバーと約束したという♪Spread Butter On My Breadも心地よかったし、♪Zero Gravityや♪ain’t on the map yetも「みんななら歌って踊れるよね」とJQの誘いを受けて、みんなで気持ちよく歌って踊った。

お馴染みの曲の他にできたての新曲も何曲かあり、彼らにとってはごく自然なことであるかのように、武道館が終わりではなく、新しいスタートであることをしめしてくれた。(そもそもJQがドラムを叩きながら歌うなんて、誰が想像できたと思う??)

彼らはいつも浮き足立つこともなくまっすぐ前を向いて、地に足をつけて、先へ先へ進み続けている。その時の状況に満足して、浮ついているのはもしかして自分だけなのかもしれないとすら思わされる。
緊張してるなんて言っていたけれど、余裕の笑みを浮かべて、JQは泣いている私たちに笑えよと言った。夢を叶えたJQはもうまたずっと先を見つめているようだった。

お願いだから、そんなに急がないでくれないかな。追い付けなくなってしまいそうだから。もう少しそばにいてほしい。それが私の正直な気持ちだ。しかし、彼らはゴールを決めたらそこで終わってしまうということを知っているのだから、絶対に立ち止まらないよね、ずっと。そして私はそんなNulbarichをまた追いかけてしまうんだ、きっと、この先もずっと。

JQのメガネ越しの優しい眼差し、柔らかい手つき、緩やかなダンス、汗を拭く姿、すべてにたまらない色気がある。彼のあのしなやかで美しい佇まいには、年齢や性別を越えて、みんなが魅了されてしまうんだ…。その姿はあまりに眩しくて、偉大すぎて、手なんて届くはずもないのに、時に寄り添うような優しい眼差しでこちらを見つめていたりするから、もしかしたらそっと触れることができるのではと錯覚して、つい手を伸ばしてしまうんだ。さっきまでそこにいたJQはきっともう幻で、気づくとずっと先を歩いているのに。

寝て起きたら、もうこの幸せな夢は覚めてしまうのかもしれない。美しい彼の歌声も姿も、胸を打つ音楽も、みんな消えてしまうようなそんな気がする。あの幸せが、余韻が、気の合う仲間との時間が、ずっと続けばいいのに…。そんなことを思う。

でも、消えない。夢ではないから。夢みたいな時間だったけれど夢じゃない。それはあまりにも心地よくて、この後なかなか現実に戻れないんだ。恍惚の境地とでもいうのかな。夢の中にいるような状態。しばらくそれが続くんだ。当分普通には暮らせない。日々淡々と代わり映えのしない毎日に、彩りをそえてくれてありがとう。夢のような時間をありがとう。パーティーに呼んでくれてありがとう。

公演当日をまだかまだかと待っている間も本当にずーっと楽しくて、当日は最高に幸せで、終わってからはひたすらに幸せな気持ちと、感謝の気持ちでいっぱい。そしてこんなにまで余韻に浸らせてくれるライブって、人生のうちでそんなにないんじゃないかな。

会場が♪Heart Like a Poolの感動で満たされる中、何かを期待せずにはいられない空気がそこにはあった。普段アンコールをやらない彼らだけれど、その後、私たちを♪LIFEが待っていた。新しい曲が沢山増えていっても、この曲がみんなの特別であることは、きっとJQもわかってくれている。この曲に支えられて進んでこられたファンは10人、20人なんて数じゃないんだ。きっとここにいるみんなが、今、自分のLIFEと重ね合わせて♪LIFEを聴いているよ。JQを見習って、自分の原点は見失わず進んでいかなくちゃいけないな。

「また会いに来てよ。俺らここで待ってるから。」JQが言った。Nulbarichがそこでいつも待っていてくれるなら、また私も顔を上げて前に進んでいける。私たちのHometownを用意してくれてありがとう。ありがとう。ありがとう。

私には音楽の知識なんて全然ない。ただただNulbarichが大好きなだけだ。それでもこれからもずっとそばにいさせてほしい。また、みんなで逢おう。
(JQ風に…)あざっsu。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい