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フレデリックと私

TOGENKYOのその先へ

私は音楽が好きだ。
雑食系で、ジャンルは問わない。
邦ロックも、ポップスも、ダンスミュージックも、アイドルも、歌謡曲も、ミュージカルも、何でも聞く。簡単に言うと、嫌いなものがないのだ。

そんな私が、今最も注目している、神戸出身の4人組バンド、フレデリックについて、批判的な意見も踏まえて考察してみようと思う。

彼らは、ジャンルレスだ。歌謡曲やダンスミュージック、ポップな楽曲からサイケな楽曲まで。まさしく、本人たちがよく言う、“いろいろなジャンルを繋ぐ架け橋”だと感じている。
 

昨年、ライブ納めにMERRY ROCK PARADEに参加したのだが、そこで見たフレデリックは、ライブバンドとしての圧倒的存在感と貫禄、そして、常に進化し続ける新しさを兼ね備えていた。

今やフェスの定番となりつつある、「KITAKU BEATS」の“遊ぶ?遊ばない?遊ぶ?遊ばない?遊ぶよなぁ!”の煽りに、会場のボルテージも、私のテンションも上がりっぱなし。ラストまでその熱さを保ったままの、最高のステージだった。最後の1曲、「飄々とエモーション」でのシンガロングには、心が熱くなった。
 

彼らのライブは、音源を遥かに超える魅力がある。
音源では、ときに、淡白に、機械的に聴こえる部分もあるが、ライブとなるとがらっと楽曲の顔色が変わる。
それが、彼らの大きな魅力でもあるのだ。

ボーカルギター三原健司の、鼻にかかるような色気のある歌声。そこに、ベースコーラスを担当する三原康司の、息がピッタリと合ったコーラスが重なる。双子ならではの阿吽の呼吸で、ぞっとするほど美しいハーモニーを聴かせてくれる。

フレデリックは音の質もかなり良い。
軽やかに難易度の高いベースを弾きこなす康司の音色を彩るのは、ギターの赤頭隆児とドラムの高橋武だ。
赤頭が、フレデリックらしいギターフレーズを華麗に掻き鳴らし、それを、テクニカル且つ、力強い高橋のドラムの音色が支える。

全体的なバランスの良さ、他のバンドとは異なる個性、一度聴いたら離れられない中毒性の高さ。
今のフレデリックには、どれも全て備わっている。
 

私が彼らのことを初めてライブで見たのは、2015年だった。当時は「オドループ」しか知らず、フェスも初めてだったため、記憶が曖昧なのだが、その中でも「オドループ」の時の、観客の異様な熱気は、よく覚えている。
そのくらいインパクトのある楽曲を、彼らは早い段階で生み出してしまったのだ。
だからこそ彼らは、やっかみや誤解も受けやすい。

例えば。彼らのことを未だに、「オドループ」の一発屋だと言う人がいる。
あまりにも「オドループ」の印象が強すぎる、それ以上の名曲はもう作れないだろう、と。

それは大きな誤解だ。
たしかに、彼らのリリースした楽曲の中でも、「オドループ」が抜群の認知度を誇ることは認めよう。
フェスで演奏すれば、爆発的に盛り上がるし、フェスに来ている観客のほとんどが知っていると言っても過言ではない。

ただ、彼らはその後も、「リリリピート」や「オンリーワンダー」、「オワラセナイト」など、印象的なフレーズを繰り返す、「オドループ」を彷彿とさせるような、中毒性の高い楽曲を発表している。
これらの楽曲たちも、フェスでは大いなる盛り上がりを見せるし、知っている人も多いだろう。
 

そして、2018年、彼らはさらに進化を遂げた。
「オドループ」とは異なる魅力を持つ、「飄々とエモーション」と言う楽曲をリリースしたのだ。
この楽曲には、ボーカル三原健司の歌声の魅力がたっぷり詰まっている。
彼の持つボーカリストとしての魅力を最大限に引き出したこの楽曲は、「オドループ」とは違った、シンガロングによって観客と一体になれる、フレデリックの新たな代表曲だと私は感じた。
最近のライブではお馴染みとなっている、ラスサビ前のロングトーンも、健司ならではのエモさが爆発するポイントである。
突き抜けるような高音、彼独特のクセの残ったロングトーンは、観客を沸き立たせていた。

リズムと言葉で遊ばせるダンスチューンだけでなく、歌を聴かせる楽曲をこれだけ堂々と打ち出したフレデリックは、最早「オドループ」の一発屋なんて言っていられないほど、大きく成長したと感じる。
 

また、近年リリースされた楽曲の中で、フレデリックの奥深さを表現しているなと思ったのは、「かなしいうれしい」のカップリング曲である「まちがいさがしの国」、そして、EP「飄々とエモーション」に収録されている「NEON PICNIC」である。

この二曲のマニアックさは堪らない。
最近のフレデリックは、「飄々とエモーション」のような、フェスの客層をぐっと掴んで離さない、メジャーな良曲だけでなく、コアなフレデリックファンを唸らせる良曲も量産し続けている。
「峠の幽霊」や「SPAM生活」を歌っていた頃の、クセの強いフレデリックを彷彿とさせる雰囲気を持っていて、一気にフレデリックの沼に引きずりこむにはもってこいの楽曲たちだ。
 

そんな彼らは、2018年春、地元である神戸で、初のアリーナワンマンを成功させた。
その前にリリースされたミニアルバム、「TOGENKYO」の段階で、フレデリックが想像以上のスピードで、想像以上の進化をしているのは感じていたが、この神戸ワールド記念ホールでのワンマンを皮切りに、フレデリックのライブバンドとしての実力と魅力がぐっと高まったと言えるだろう。

まずはセットリスト。新たにフレデリックを知ったファンも、昔から彼らの音楽を愛しているファンも、どちらも楽しめるような構成で、新規でも古株でもない中途半端な層だと自負する私でも、とても楽しめた。

さらに、圧巻だったのは、照明の演出だ。ライブハウスで彼らを見たときにも感じていたが、彼らはライブの演出が非常に上手い。
今回も、アコースティック形式で披露した「ほねのふね」の演出で、思わず鳥肌が立った。
私以外にも、息を呑むほど美しい光に、思わずといった様子で、手を伸ばしてしまう観客がたくさんいた。それほど、美しい光の演出だった。

上記で紹介した「まちがいさがしの国」も、最高に格好良かった。双子が肩を組んで歌うところは微笑ましかったし、三原健司の歌声が最大限に色っぽくて、エモくて。元々好きな曲だが、ライブで聴いて、より一層好きが増した。

そして、何よりも感動したのは、「シンクロック」だ。
ラスサビの前に、三原康司が歌う、

“今 この日を待ち望んでいた”

このフレーズの繰り返しで、心がざわざわと波打ち、

“たった2時間ちょっとのワンマンのことを 僕はずっと思い描いてるんだよ”

楽曲の最後にそう歌った三原健司の歌声に、じんわりと涙が溢れた。

もうすぐこのライブから1年が経とうとしているが、未だに余韻が抜けずに、購入したライブ映像を何度も見返している。
個人的には、昨年見たワンマンライブの中で、最も印象に残っているライブだ。

2018年、フレデリックは更なる進化を遂げた。今年もきっと、どんどん進んでいくのだろう。
その新たなきっかけが、2019年2月20日、双子の誕生日に発売される『フレデリズム2』だ。
タイトルだけでもわくわくさせられるものばかりで、すでに期待値マックスなのだが。

この中の新曲たちを、彼らのライブで聴けると思うと幸せでならない。
また行きたいと思わせる、最高のライブを魅せてくれるフレデリックは、本人たちが言っているように、まさしく“ライブで化ける”バンドだ。
気になった人はとにかく、彼らのワンマンに行ってみてほしい。
きっと、最高の音楽ライフに不可欠な、最高のライブ体験ができるはずだ。

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