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Creepy Nutsは陰キャラの等身大のヒーローだ

「たりないふたり」が浴びる「スポットライト」

Creepy Nutsと言えば、最近様々なロックフェスに出演し会場を賑わせている、1MC1DJのヒップホップユニットである。
メンバーはMCバトルで無類の強さを誇るR-指定と、指さばきは一流だが強烈なキャラを持つDJ松永の2人。
そんな2人の初期の代表曲の1つに、「たりないふたり」という楽曲がある。
この曲の歌詞には、以下のようなフレーズが数多く並ぶ。

『大きな声で 騒ぐ陽気なタイプとは 仲良くなれそうもない だってあいつ等 空気読み合い ウェーイが飛び交い まともな 脳みそない』
『無いものだらけで 無いものねだりな 最低のろくでなし』
『アレもしたい コレもしたい それでも他人の目が怖い アレ足りない コレ足りない 結局のところ 自分が足りない』
(「たりないふたり」歌詞より抜粋)

そう、何を隠そうこの曲は、2人の根暗な性分や、自分に対する自信のなさと開き直り、俗に言う「陽キャラ」への嫉妬や憧れなど…2人の心の闇がこれでもかと吐き出された自己紹介ソングなのである。
この曲に共感し、魅力されてファンとなった人間は少なくないはずだ。

私もこの曲で心を鷲掴みにされ、一気に彼らのファンとなった一人である。
この曲以外にも、根暗な人間の心の叫びを痛快なラップで歌い上げる彼らは、私にとって等身大のヒーローであった。

しかし、彼らのファンとなりライブに足を運ぶ内にある事に気づく。

彼らはライブでは「たりないふたり」を歌わないのである。

何故だろうか…?
先述した通り、この曲は彼らを象徴するような楽曲であり、インディーズ時代のミニアルバムでは表題曲にもなっている。
にもかかわらず歌わないとなると、これには理由があるはず…。
彼らを追いかけながらも、そのような考えがずっと頭の中で渦巻いていた。

やがてその答えは、昨年4月に彼らが発売したメジャーデビュー後初めてのアルバム「クリープ・ショー」収録の「スポットライト」の歌詞で明らかになった。

『使えない奴らトレンチコートマフィア
たりないふたりか?所詮脇役か?
次用意したのはどんな言い訳だ?
転ばぬ先に保険かけましたか?
もうやめようや、もう胸張ろうや
他の誰でもねぇ俺に言ってんだ。
身の程知らずと笑われようが
I’m a No,1 player 元ベンチウォーマー』
(「スポットライト」歌詞より抜粋)

かつてない強い決意が滲むこの曲で、彼らはなんと「たりないふたり」などの過去の自分達の曲を続々と引き合いに出し、悉く否定してみせたのである。

そして私は気付かされた。
メジャーデビューとそれに伴う周囲からの大きな期待、ライブ出演機会の激増、次第に膨らむファンの数…近年で大きく変化した自分達を囲む環境を前に、彼らは腹を括ったのだと。
新たなステージへ進むために、過去の「たりないふたり」をやめる。
これは必然の事態であったのだ。

「たりないふたり」を自ら否定する彼らに私は一抹の寂しさを覚えたが、彼らは決して私達ファンを置いていく事はないとも確信している。
なぜなら、ライブやラジオを通じて、彼らは依然として変わらずファンに接し、全力でファンに向き合ってくれているのだから。

彼らが前を向いて次のステージに進み続けるのであれば、私はこれからも彼らを追いかけていきたい。
Creepy Nutsは私のような陰キャラのヒーローである事は、これからも変わらないはずだ。

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