2511 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

彼らに一生、ついていくと決めた

常に先を行くBUMP OF CHICKENへ

年を越す少し前、COUNTDOWN JAPAN 18/19に参戦してきた。このフェスへの参加理由は一つ。”彼ら”──BUMP OF CHICKENに会うためだ。
開演時間までが長く感じた。目の前においてある楽器は、彼らのために用意してあって、彼らのために事前にチューニングがなされ、そしてその楽器は、私たちのために演奏される。右手に付けた腕時計をちらちら見る。握りしめたタオルは、もちろん彼らのグッズだ。デザインがリニューアルされたウインターグッズは、黒と白を基調にした、何ともBUMP OF CHICKENらしいデザイン。

ドキドキが抑えられなくて、タオルをもう一度握りしめると、正面に設置されている2つの電光掲示板の画面が変わる。
”NEXT ARTIST IS・・・BUMP OF CHICKEN!!”こう表示され、会場が一気に沸いた。照明が暗くなり、鼓動が早くなる。腕時計はカチカチと、時を刻む。一瞬にしてステージだけが青白く光り、彼らの、BUMP OF CHICKENのシルエットを目にした。
メンバーが順番に登場してきた。自分が使う楽器を、慎重に慣れた手つきで手にする。二人はそれを首にかけ、一人はスティックを持った。そして最後に一人、現れる。藤原基央だ。
ライブでもフェスでも、彼がいつもしてくれるパフォーマンス、ギターを掲げる仕草。私はこのパフォーマンスを、こう理解している。「これで、このギターで、今日は今日だけの音楽を、君たちに捧げてあげる」。

アコースティックギターから紡ぎだされた一曲目は、「スノースマイル」。「冬が寒くって 本当に良かった 君の冷えた左手を 僕の右ポケットに お招きする為の この上ない程の 理由になるから」と彼は私たちに語り掛け、彼の仲間もそれをバックアップするかのような優しい音を紡ぐ。2002年の発売から16年と少し経った今でもあせない、むしろ冬が来るたび増していくこの魅力は何だろうか。私が大人になったからだろうか。
そんなことを思いながら、BUMP OF CHICKENの世界にどっぷりと浸かり始めた。

そのあとのセットリストも、「望遠のマーチ」「記念撮影」「話がしたいよ」の新曲ぞろい。「望遠のマーチ」では、会場全体で飛び跳ねて、歌って、手を振って、笑った。この曲について、かつて藤原基央は音楽雑誌『MUSICA』のインタビューに次のように答えている。

「タイトルが決まらなくて。でも〈希望 絶望〉の『望』は『望遠鏡』の『望』だなと。で、『望遠鏡』って言葉は『遠くを望む』と書いて、そこに鏡をつけたものなんだな、と」。

歌詞中にある「希望 絶望 どれだけ待ったって 誰も迎えにこないじゃない」。
──心は止まれず、毎日歌ってるいるんだ。死んだような毎日でも、死ねないで歌ってる。今いる場所が、苦しかったら、叫んだっていいんだよ。希望が絶望に変わっていく毎日に、叫んだって良いんだよ。君の体は、輝きを放つ言葉を、全部を、信じて待っていてくれてるんだ。だから、大丈夫。

絶望がどんどんと増加していく毎日に、「大丈夫」と語り掛けてくれる。彼らは、そういう男たちなのだ。
「大丈夫だよ」という言葉に、うつむいた顔をあげると、絶望が希望へと変わっていく。
「絶望 希望 羽根は折れないぜ もともと付いてもいないぜ」。
輝く言葉を待つ君の体は、希望そのものなんだ。高く飛ぶための羽根なんかなくたっていい、だって、もともと付いてないんだからさ。大丈夫だよ。さあ、行こう!

ああ、なんて優しい言葉だろう。なんて優しい音楽だろう。そして、なんと力強い音楽なんだろう。両手で握りしめたタオルに、顔をうずめて深呼吸した。もう一度顔をあげて、彼らを真っ直ぐ見た。
この一瞬で強くなれた気がする。BUMP OF CHICKEN、彼らは私たちに、勇気と希望、いや、こんな安っぽい言葉じゃ言い表せないほどのものをくれる。

「ギルド」「虹を待つ人」「天体観測」「ray」も圧巻の一言。終演の時間が近づくにつれ、私がと出会い、成長し、泣いて、笑って、今日までの日々を過ごしてきたことを思い出した。楽しいことがあれば、楽しい言葉をくれる。悲しかったなら、包み込む声で、音で、私を励ましてくれる。彼らはいつも私の前を歩いている。彼らは決して、焦って走り出したりはせずに、ゆったりと自分たちのペースで歩いているのに、追いつけないのだ。追いつけるように、私は走る。けれど、追いつけないのだ。いや、追いつきたくないのかもしれない。
私は、ただ毎日を全力で、ゆったりと歩いている彼らを目指して、追いつけるように、日々をゆったりと過ごせばいい。その答えをくれたのも、BUMP OF CHICKENだった。
会場が一つになって、熱量を増す。曲をこなすたび上がっていく観客のボルテージは、彼らが一瞬のうちに吸収し、そして、音楽になる。
ずっと彼らについていこうと思った。2018年12月28日、千葉幕張メッセで、BUMP OF CHICKENが私を笑顔にした。救った。前を見させた。
この一瞬、この場所で、彼らと同志と私。一つになって、会場を飛び出して、日本を飛び出して、地球を飛び出して、宇宙へ。暗くて当てのない宇宙へ入ってしまっても、大丈夫。彼らのつくりだす光が、私を導いてくれる。
 
 

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい