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’Aurora’がすくい上げてくれる名前のない想い

BUMP OF CHICKENの「応援歌」

‘Aurora’
それはやっぱりBUMP OF CHICKENらしいタイトルだった。
 

テレビドラマ、「グッドワイフ」の主題歌をBUMP OF CHICKENが担当する事になったとの知らせが舞い込んで、喜びと共に、ちょっと働きすぎなのではないか、少しは休んで欲しい、でも嬉しい、と、とても複雑な気持ちでそのニュースを受け取った。追いつくのが大変なのだ。心から嬉しいのだけど。

「理不尽と戦う主人公への最高の応援歌(日曜劇場『グッドワイフ』ホームページ/番組プロデューサー:東仲恵吾氏のコメントより)」と評されている‘Aurora’は、私がこの文章を書いている時点では、公式に歌詞が発表されているのは一部である。まだ全曲を通して聴く事は出来ないし、歌詞も全部は解らない。しかし、曲のほんのさわりだけなのに、そのすべてがやはり藤くん(以下、BUMP OF CHICKENの作詞作曲を手掛けるヴォーカル・ギターの藤原基央さんを藤くんと呼ばせて頂く)の世界なのだ。藤くんが、BUMP OF CHICKENが「応援歌」を作ったら、やっぱりこうなるんだ、と思わせられる内容なのだ。

藤くんは普段、滅多に「頑張れ」とは言わない。それは楽曲でも話している時も同じだ。藤くんなりの信念のようなものがあるのだと感じる。ラジオ番組の中でも、例えば受験生に向かって、「頑張って!」とは言わずに「大変な時期だけれど、とにかく体には気を付けてね、風邪とか引かないように」と声をかけてくれる。「頑張れ」ということばは、簡単に発せられるけれど、そう言われた方は、「これ以上何をどう頑張るというの」となってしまう。こころがざわつく。処理できない想いが渦巻くのだ。

BUMP OF CHICKENの音楽は、悲しい時、苦しい時、辛い時、どんな時にもそばで優しく背中をなでてくれるように寄り添ってくれる。「そうだよね、うん、辛いよね、悲しいよね。」とただ聞いてくれる。「頑張れ」とは言わない。
そして、‘Aurora’もやっぱりそういう曲なのだ。
 

“もうきっと多分大丈夫 どこが痛いか分かったからね
 自分で涙拾えたら いつか魔法に変えられる”

「もう」、「きっと」、「多分」大丈夫。どこが、何が、なんで辛いか、分かったんだよね?
今まで、自分でも分からなかったんだろうけど。だからしんどかったんだろうけど。
そう言ってくれているように思えて胸がぎゅううっとなる。そして、痛みがどこなのかが自分でようやく分かったんだよね、という事と同時に、僕にもちゃんと分かったよと藤くんに言ってもらえたような、そんな気持ちにもなって、二重に慰められるのだ。分かりやすい簡単なことばで、これまでの自分の想いをすくい上げてくれる。出だしからやっぱり藤くんのことばだった。BUMP OF CHICKENの音だった。
 

“ほんの少し忘れていたね とても長かった ほんの少し
 お日様がない時は クレヨンで世界に創り出したでしょう”

日々を過ごす事でぼやけさせてきた想いは、どこかに置いてきたつもりになっていた。そんな毎日はとても長い時間だった。“ほんの少し”の“とても長かった”時間。
悲しみや苦しみで太陽も見えない時、自分のこころの画用紙に“クレヨンで”お日様を描いてきたのだ。
絵具ではない。クレヨンなのだ。幼子のようにぎゅっと握りしめて、精一杯お日様をグルグルとまあるく描く。そうやって無理矢理にでも明るさを、光を、暖かさを思い描いて過ごしてきた。
 

“正義の味方には見つけて貰えなかった類
 探しに行かなくちゃ 呼び合い続けた あの声だよ”

苦しくて誰かに助けてもらいたくて、でも誰にも気付かれなくて。どこかから颯爽と正義の味方、ヒーローが現れるのをずっと待っていたけど、でもここにこの私が居ることには気付いて貰えなかった。ヒーローなんて居なかった。「君は間違ってなんかないよ」そう言ってくれる人はどこにも居なかった。自分で自分を認めてあげる、そうするしかなかった。
 

“溜め息にもなれなかった 名前さえ持たない思いが
 心の一番奥の方 爪を立てて 堪えていたんだ
 触れて確かめられたら 形と音が分かるよ
 伝えたい言葉はいつだって そうやって見つけてきた”

ことばに出来なくて、こころに積もり続けるどうにも片付けられない想い。誰にも告げられず、分かって貰えない想い。痛みを堪えながら、もがいて、伝えたいことばを探している。いつか誰かに伝えられるかもしれない。いつか。
 
 

‘Aurora’が他にどんなことばでこの私に寄り添い、背中を押してくれるものになるのか、全曲を通して聴ける日が来るのが、ひたすら待たれる今日この頃である。
 

(“”で括られた歌詞は全て、BUMP OF CHICKENの‘Aurora’より引用)

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