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無敵ではない人たちへ

cinema staffライブ活動再開に寄せて。

活動休止のツイートを見たとき、正直、驚き悲しみよりもまず、あー、やっちゃったな。と、思った。

その頃のcinema staffは、アルカラとのスプリットのリリースツアー、4ヶ月連続3都市対バンツアー、日本はもちろん海外のフェスにも出演したりと、馬鹿みたいにライブをしていた。公演予定を報せるツイートを見る度、こんなスケジュールではどこかでバランスが崩れてしまうんじゃないかと思っていた。

そのうちのひとつの公演に行くことができた私は、半年ぶりぐらいにcinema staffのライブを見た。やっぱりcinema staffは圧倒的にかっこよかった。かっこよすぎてびっくりした。以前に見たライブよりも確実に強いパワーを持っていて、何より本人達が楽しそうで、多分それは、連続していたライブで洗練されていったものだったんだろう。
それまでのちょっとした心配は一転して、この人たちならこの怒涛の10周年を走り抜けちゃうんじゃないかと思った。

しかし当たったのは、先にあった嫌な予感の方だった。

飯田瑞規は決して無敵のボーカルではない。むしろ、繊細な声の持ち主だろう。度重なるライブ、さらにそのころはソロでの活動もあって(そのうちひとつは盟友the cabsのメンバーであったösterreich(高橋國光)の楽曲への参加で、他の参加メンバーといいファンにはたまらない胸熱リリースであり、そしてその楽曲に影響されソロ曲を発表するという胸熱展開が続いていたのだが、ここでは省略する。)、当時の彼の喉への負担は計り知れない。

甘かったのは運営のスケジュール管理なのかメンバー達本人の認識なのかはわからないしそんなの一ファンに言い切れるものじゃない。
cinema staffというバンドもまた決して無敵ではなかった。後に控えていたアルカラとのツアーの振替公演と追加公演、周年企画や毎年恒例の年末企画、出演イベントやゲストとしての対バンライブ、それらをキャンセルすることになり、共演バンドや企画会社にも大きな迷惑がかかり、キャンセルしなくてはいけない本人たちは相当悔しかっただろうと思う。
それはメンバー達のツイートから伝わってきたし、何より、一番悔しいのは飯田さん自身だと思った。Instagramでの投稿からもそれは十分に読み取れて、辛くなってそれ以上本人たちの発言を読むことはしようとしなかった。

活動休止といっても、しばらくライブをしないだけだ。解散するわけじゃないし、音源が消えるわけじゃない。普段からそんなにライブに行けるわけではなかった私は、そうタカをくくっていたのだった。

1月。
危うく忘れてしまいそうなほどに、cinema staffの活動の音沙汰はなかった。
そういえばcinema staffはどうしているだろう。そう思ってSNSを開いても、活動再開の報せは無い。しかたないのでトーク履歴の随分下の方に埋まってしまった公式LINEに「あ」とか送って、自動返信で遊んだりした。

思っていた以上に、私の生活にはcinema staffが侵食していた。今まで、自分が行かないライブでも、公演時間や物販のツイートを見るのが楽しみだったんだろうな。メンバー達のライブ後のツイートとか、カメラマンさんが上げるライブ写真とか、対バン相手との記念写真とか、そういうの全部が元気をくれていたことに、今更気づいたのだった。

活動休止っていつまでなんだろう。飯田さんの喉の調子はどうなんだろう。大丈夫なのかな。再開のメドは立ってるのかな。

もしかしたらこのまま解散しちゃうんじゃない?……なんて。

そんなこと初めて考えた。今まで思いもしなかった。ありえない。cinema staffに限ってそんなことは無い。そう言い聞かせても、不安がおしよせて止まらなかった。
おいおい、まだ緑の短髪の辻さんをステージで見てないよ。あの日が飯田瑞規の歌声を聞いた最後だったとかふざけんなよ。また楽しそうにドラム叩く久野さん見たいよ。三島さんの全然聞き取れない煽り聞きたいよ。cinema staffのライブがまた見たいよ。

こんなとき、音源は残るんだからなんてのは何の保証にもならなかった。それほどまでにcinema staffはライブバンドだったのだ。だからこそきっと活動休止をするまで止まれなかったのだ。何にもわかっていなかった。私はひどいファンだった。

活動休止発表当時は何となく怖くて読めていなかった、ベース・三島さんのブログ記事を読んだ。特に責任感の強い三島さんだから、その文章から悔しさや申し訳なさがひしひしと伝わって、やっぱりつらかった。
最後の一文にはこうあった。

『俺たちは負けません。』

その一言を信じることしかできなかった。
 

ライブ活動再開、そして進撃の巨人の新EDテーマ担当の決定の報せが入ったのは、そんなある日のことだった。
 

TwitterのTLにcinema staffがいた。最初は気づかずにそのままスクロールしようとしていた。びっくりして慌てて指を止めた。しばらくそのツイートを見つめ、たまらなくなった。泣きそうになった。
ライブ活動再開のお知らせ、と何度も繰り返し声に出してみたりもした。さらに、進撃の巨人のEDが決まった。つまりもうすぐ新曲リリースがあるのだ。その日にあった進撃の巨人のイベントに参加したアニメファンの、イベントで公開されたcinema staffの新曲に関するツイートを見ると、また胸が熱くなった。

無意識にYouTubeを開いて、野音ライブの「白い砂漠のマーチ」のライブ映像を再生していた。何度も見た映像のはずなのに、とうとう泣いてしまった。そして結局野音のDVDを見た。楽しそうライブをするこの人たちの姿を、また見ることができるんだ。そう思うと嬉しくてたまらなかった。

再びTwitterを開くと、バンド仲間や関係スタッフからの祝福ツイートが並んでいた。その愛の数が、何よりこのバンドの強さを表していた。
 

その夜、ライブ制作会社のTHISTIMEの社長・藤澤さんのこんなツイートがあった。

『cinema staff、ライブ活動再開します。
まー色々悶着ありましたが、一つ言えること。
いや、一つわかったこと。
このバンドはライブしなかったら死にます。
体を大事に、なんて大人の常識的な助言とか意味無さないほど。そのくらいライブがすべて。
もうやるしかねーべ!』(どす恋松ぼっくり @fufufufufuji)

ここまで長々と書いてきたけれど、結局この人のこの言葉が全てだと思う。

よくよく考えると、活動休止発表は11月の終わりのことで、再開を発表するまでの月日は2ヶ月間だった。2ヶ月でこんなにも不安になってしまうとは、それほどまでにcinema staffはずっとずっと走り続けてきたバンドだったんだろう。

たまには休んでくれ。そしてどうかこれからも走り続けてくれcinema staff。
あんたらは決して無敵ではないが、最高のバンドだ。

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