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ポップとロックの融合

当時を知らない若者が聴くWANDS

私は、WANDSが活躍していた頃に生きていた人間ではない。当時を知らない私には、その曲が発表された経緯や、背景はわからない。
けれども、私は純粋に、WANDSが作り出した音楽そのものを楽しんでいる。私はWANDSが好きだ。

同世代の子たちに、好きな曲を問われたときに、「WANDSが好きだよ」と答えると、たいてい話はそこで終わる。私の周りにいる若者は、あまり聴かないのだろう。そして、必ず言われることがある。
「私は古い曲はあまり聴かないんだ。」

WANDSの曲は確かに古いかもしれない-発表されてから20年以上経つものばかりだ。しかし、その曲が古いから曲としての価値がない、ということは絶対にないし、その曲が古いから共感できない、ということも絶対にないと思う。つまり、曲の古さを理由に、その曲を聴かないのは、とてももったいないことだと思う。
 

私がWANDSを聴くようになったきっかけとなった曲は、『星のない空の下で』である。幻想的なキーボードの音と、きらきら星のように輝く音から始まるこの曲。イントロを聴くだけではっとした。キーボードの音と歪んだギターの音がマッチングして、最高にかっこよくてセクシーだ。そしてなんといっても上杉さんの声が滑らかに、そして力強く輝いていて、歌っている歌詞の言葉が生き生きとしているようにも感じられた。

【見知らぬ未来におびえてる 強くない心を隠して】

この歌詞がこの曲の中で一番好きだ。この曲を聴いていたのが、大学生活が始まる年の4月であったということもあって、その時の不安な気持ちを代弁してくれているようにも思えたのだ。
この曲は私にすっ、と染み込んでいった。そして私はWANDSの曲をどんどん聴くようになった。

WANDSに感じる魅力とは何だろうか。それに対する私の答えは、ポップとロックの融合とその美しさであると思う。今の音楽シーンに私は疎いので、何とも言えないが、私の感覚としては、今、ポップとロックは対極に置かれているものであり、そのどちらかに偏った音楽が多いという気がしている。(あくまでも私個人の考えである)どちらかの色が強い音楽もまた素晴らしいものである。しかし、その二つが融合している曲もまた素晴らしい。90年代を生きていない私からすれば、新しさすら感じる。WANDSの曲によく使わている電子音には、少し古さを感じるかもしれない。だが、それも曲のなかのアクセントとしてうまく機能している。ギターの歪み具合と、その電子音のポップさのバランスが本当に良い。

WANDSの曲において、とりわけ注目したいのが『Love & Hate』という曲である。この曲の解釈について、ネットで調べてなるほどと思った。そして強く感じたのが、この曲こそポップとロックの融合の最高傑作である、ということである。この曲が入っているアルバム『PIECE OF MY SOUL』は、基本ロック色の強い曲が多いと思う。その中でも、この曲は少し異色を放っている。

【鏡を覗き込んで そこにあるすべてが 好きになれなきゃ きっと】 

サビの一節である。この部分はとてもポップな曲調である。
しかし、次のフレーズになると急にギターの音が強くなってくる。

【愛は遠のく】

ここの部分から間奏まで急にロック色が濃くなってくるのである。サビというひとくくりの中に、ポップ→ロック、という移り変わりが見られるのである。しかもそれが上手くつながっていて、換言すれば二つのものが融合しているのである。
『Love & Hate』は、メロディーラインのポップさに、歪んだギターのロックさが溶け込んだ、WANDSの名曲である。

こんなにも良い曲をたくさん生み出したWANDSは、2000年に解散してしまった。解散してしまったから、『懐メロ』扱いされるのだろう。もし解散せずに、今も活動していたら…と思うことは多い。だからこそ、WANDSが活躍していたあの頃-1990年代に憧れてしまうのである。

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