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King Gnu「白日」を最後まで聴いた日

~井口は傷口ではなく、傷そのものになった~

King Gnu「白日」。配信スタートは2019年2月22日だが、ラジオでのオンエアが解禁となったのは2018年2月8日のことだった。

いや、宇宙最速のオンエアは直前2月7日の「RADIO GNU」番組内だったが、エリア外の住人だから8日を待ったということ。

坂口健太郎主演ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」の主題歌として注目を集めているが、正直よく聴こえない。オープニングやラストのクレジット中に流れるわけではなく、ドラマの最後のほうに被さるかたちで流れるからだ。

井口理の美しい歌声は聴きとれる。いわゆる「美し井口」だ。七色以上の声色をもつ井口の中でも透明感がハンパない。まるで女性?と間違うほどの美声。これを勝手に「美し井口」と名づけた。

アヤシイ。

アニメ「BANANA FISH」のエンディング・テーマ「Prayer X」と「Flash!!!」という両極端の対比は、デビューアルバム「Sympa」内の「The hole」と「Slumberland」で既に成立しているはずだ。

「Prayer X」のごとく「美し井口」全開の「The hole」で、井口は「傷口になる」と約束した。いや、井口に約束させたのは作詞をした常田大希だ。井口の美声に癒されることから、「癒し井口」いや「傷井口」と命名。要するに、井口は傷口になるはずなのだ。

常田は傷だらけのアッシュ、井口は癒しの英ちゃん。「BANANA FISH」の登場人物に重ねて見守っているファンも多い。しかし「Sympa」は2019年1月16日にリリースされたばかり。「The hole」があるのに、「白日」で癒し系の美声「傷井口」を重ねてきた意図がわからない。

そもそも常田は、アニソンっぽく聴こえるほどの井口の美声が好きではない。嫌われない歌声だから売れるだろう……という戦略で、幼なじみの井口をバンドメンバーに引き入れたほどに。オルタナティブな常田自身の歌声だけでは嫌われる可能性があるという判断だ。

それほどの戦略家が、「Slumberland」で日本を変えると息まいた常田が、ゴールデンタイムのドラマ主題歌ということで日和ったか?いや、とにかくドラマでは「白日」がよく聴こえないのだ。国営テレビの音楽番組でPERIMETRONの映像がほとんど見えなかったように……何かある。

「白日」は最後まで聴け!

ラジオで初めて「白日」を聴いたとき、歌声の高低差が激しく、リズムもおもしろく、わかりやすい日本語だけの歌詞でよくこれほどの名曲を作ったものだと感動した。しかし、その番組でのオンエアは実はフルではなかった。

後日、別のラジオ番組で初めて「白日」を最後まで聴いた。そこには「傷井口」ならぬ「悪井口」がいた。ほとんどユニゾンになっている楽曲だが、井口メインと常田メインのパートが交互にくるだけで満足している場合ではなかった。

冤罪とは単なる濡れ衣であって、実際には無実のはず。ところが「白日」の歌詞は、法に触れない範囲の罪なら誰もが犯しているという前提の歌物語になっている。

ガラッと曲調が変わる最後のパートでは「悪井口」全開。冒頭の美声はどこへやら。癒し系の傷口になるはずの井口が、傷そのものになってしまった。あまりにもドラマチックな展開に度肝を抜かれた。

「Prayer X」の美声で注目を集め、「Flash!!!」でこれぞKing Gnu!とアピール。「Slumberland」でやらかしておいて、「The hole」でフォロー。そんな戦略を「白日」1曲でやり遂げた常田。まったく日和っていなかった。

それどころか納期2日という短期間で、King Gnuの何もかもを詰め込んだ名曲を作ったことになる。美しさと変態性、わかりやすさと音楽的なおもしろさが矛盾アリアリで共存する。

King Gnuが白日のもとにさらされる曲、その名も「白日」。これでヌーの群れは一気に大きくなるだろう。

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