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2017年5月22日

藤原 理希 (21歳)

そこは僕らの夏休み

神聖かまってちゃん「23才の夏休み」に寄せて

小学校の頃からの同級生2人とカラオケに行った。
僕の友達の中で音楽の趣味が合うのがこの2人だけ。

こいつらとのカラオケは何を入れても知っている曲でマイクを持ってるやつも持ってないやつも基本大合唱。

これが本当に楽しい。
 

友達の1人が神聖かまってちゃんの「23才の夏休み」を入れた。

僕はこの曲を知らなかった。

いつもと違い、黙って聴いた。

心打たれた。

この曲は「23才という同級生たちが就職とかしている中、1人取り残された何者にもなれていないまま孤立した男の何もない夏休み」を歌ってる。

『君が僕にくれたあのキラカード その背中に貼り付けてやるよ』

僕はこの童心を忘れていないやつの心が痛いほど分かる。

歳をとればとるほど子供の頃のようなくだらない遊びをしてくれる人はいなくなる。
大学生くらいになると遊びはバーベキューや居酒屋での飲み会とか無駄にお金がかかるものばかり。
そうじゃなくて今年22歳になる僕は「そこらへんに落ちてる木の枝1本を探してその可能性を探る」遊びをしてみたかったりする。

でもそんな遊びをする人はいない。そしてどんどん孤立する。
実際、僕は飲み会などから徹底的に逃げたら友達がほとんどいない大学生活を送っている。

これをカラオケで歌っていたやつはいま現在無職だ。
高校をドロップアウトして以降、バイトなどもいくつかしたがどれも辞めてしまったらしい。
きっと僕なんかよりこの歌詞を痛いほど感じているんだと思う。

そいつが歌う「23才の夏休み」には重みがあり、グッとくるものがあった。昔からの仲だから余計に。

もう1人の友達は高校卒業後、普通に就職している。彼はそいつとは家もかなり近く、産まれたときからの付き合いと言っていいほどだ。
「僕よりも想うことあったりしたのかな?」「逆に信頼しきってるからなんも心配してないのかな?」と思ったり。
 

この日の僕らは中学生のときに初めてカラオケに行ったあの日の、あの時となんら変わりない熱量で歌っていた。

俺はこいつらに『君は今どこにいる何をしてる』なんて言わせないようにしよう。

俺だって大学4年目で就職活動をしている時期だ。大人への入り口だ。

僕はあいつが歌った「23才の夏休み」を聴いたときの衝動、感じたことなどを忘れないままでいようと思った。

みんなが忘れてしまう童心なら、失わなかったやつには絶対に強みになる。
そう信じてこっちは生きてる。生きてやる。

今度あいつらとカラオケに行ったときにはこの曲を変わらぬ大合唱で歌いたい。

あの後、散々聴いてるからもう完璧に歌えるよ。

僕らの「ロックンロールは鳴り止まないっ」。

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