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郊外でKing Gnu「Bedtown」を聴く悲哀と喜び

~はぐれつつ群れる?『Sympa』収録曲~

2019年1月16日の発売日を迎えても、King Gnuのデビューアルバム『Sympa』は郊外のCDショップやレンタル店にはなかった。ファンクラブに加入してもライブのチケットが取れないほどバズっていると騒がれても、この程度なのだ。

棚を確認して『Sympa』が入荷されていないことはわかったが、わざわざ店員に「King Gnuありませんか?」と尋ねた。CDショップは年配の男性、レンタル店は若い女性。2人とも事務的な対応だったことから、King Gnuを知らないと思われた。

何らかの形で音楽に関わる人なら、今King Gnuで大騒ぎしていないとオカシイ。アニメ「BANANA FISH」のエンディングテーマ「Prayer X」で奇才ぶりは周知の事実となったはずだ。それなのに……。これが郊外の悲哀である。

2人の店員が仕事熱心、勉強熱心であればいいと願いつつ、わざわざKing Gnuを吹き込んだのだ。客に訊かれてわからないことがあれば調べる!そうすればKing Gnuの情報はたくさん出てくる。ミュージックビデオで音楽や映像に触れることもできる。

結局、大きな街のCDショップに出かけて『Sympa』を手に入れた。そこにはメンバー直筆のサインなどでデコられたKing Gnuコーナーがあった。購入直後に店内で「Slumberland」がかかるというサービスまでついていた。こうでなくっちゃ!

歴史的な名盤『Sympa』は全13曲でひとつの作品に仕上がっている。

そもそもアルバム全体のコンセプトありきではなく、「Flash!!!」「Prayer X」「It’s a small world」といった先行曲をまとめる形だった。それにも関わらず、結果的に「求めた救助がやってくる」というコンセプチュアルなアルバムになった。

既発の3曲とインタールード4曲、MVが先行公開されたリード曲「Slumberland」を除くと、残りは5曲。そのなかで「Flash!!!」や「Slumberland」ほどではないものの、疾走感あふれるキャッチーなナンバーに仕上がっているのが「Bedtown」だ。

常田大希による「ベッドタウン」の雄叫びだけで、いったい何事が起きたのか?とハッとさせられるインパクトがある。『Sympa』のティザー映像でも使われている部分で、最初は賭けるという意味の「bet」(ベット)と言っているのかと聞き違えた。

そうではない。ベッドタウン、すなわち郊外だ。群れからはぐれるという意味で使われている。「郊外!」と叫んで、これほどかっこよく決まる泥臭さ。瞬発力と破壊力もこの上ない。1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」で東京外だし……と傍観者だった人にも刺さる。

ヌーの群れを巨大化するのが目的というKing Gnuだが、そもそも個の集団という考え方がベースにある。つまり、はぐれつつ群れるということ。湿った話にメソメソしている暇はない。ひたすら前向きな破壊&創造者ならではの絆がある。

郊外のカラオケでも『Sympa』の宣伝映像は流れていた。しかしまだKing Gnuの履歴を見かけたことはない。近所のCDショップやレンタル店になければ、カラオケで歌う人がいないのも当然の流れだろう。

私は歌う。郊外のカラオケでKing Gnuを歌う。単なる趣味だが、これも布教活動の一環だ。「Bedtown」はKing Gnuのなかでは比較的歌いやすい曲だが、それでもリズムが取りにくい。そして肝心の「ベッドタウン」はコーラス扱いで歌詞に入っていない。

いつか絶妙のタイミングで「ベッドタウン」と叫べるようになった頃には、郊外にもヌーの群れがあふれていることを願う。

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