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一生彼らと共に生きていく

THE YELLOW MONKEY 「I don't know」

 この曲を初めて聴いたのは、年末の武道館だった。
 彼らにとって恒例の12月28日、バンドの誕生日に開催される「メカラ ウロコ」。昨年はそのタイトルにFINALが付いていた。
 まさに最後の「メカラ ウロコ」にふさわしく、今までほとんどライブで演奏されたことのない名曲を蔵出しし、また一方で新曲「天道虫」でファンを沸騰させていた。そして、いつも通りのラスト、「アバンギャルドで行こうよ」からの「悲しきASAIN BOY」。興奮のままに終わった。そう思っていたのだが、なぜか、メンバーたちはギター、ベースを別のものに持ち替え始めた。
 「もう一曲あるみたい。」
 肩で息して、でもわくわくしながら、同行者と待っていた。
 「今日はもう一曲、特別に新曲を聞いてもらおうと思ってます」
 ロビンのその一言に会場は一斉に湧き上がる。いつまでもいつまでも聴きたい、この場にいたいと願うライブ。終わってしまったと思ったところでこの一言は、何にも勝る喜びだった。
 ロビンはこうも言った。
「メカラ ウロコ・7で、ラストに新曲の『楽園』を演奏した。そのとき、みんなポカーンとしていた。でも、その後『楽園』は、今でも大切に歌い続けている俺たちの大事な一曲となっている。今回も多分、みんなぽかーんとするだろうけど、この先、必ず大切な曲になると信じているから」と。

 ベースソロから始まるその曲は、イントロから心惹きつけられるものだった。エマのピックスクラッチがまるで自分の胸の谷間あたりから下腹にかけて切り裂いていく、ひゅっと鳥肌が立つ。軽快なしかし滔々と8ビートのイントロに続き、ロビンが歌い始める。
 前曲のアッパー全開の「天道虫」とは打って変わったロックバラード。最初の印象は、さすがにポカーンとはしなかったが、「ライブで盛り上がる体ではない曲だけど、なんかいい曲だな」といったぼんやりとしたものだった。

 ようやく、MV解禁になった1月下旬。あほみたいにリピートした。
 ぼんやりしていた印象は聴けば聴くほど輪郭をはっきりとさせ、心に突き刺さっていった。歌詞はすでに解禁になっていたし、主題歌になっていたドラマは見ていたが、全曲フルで聴けるのはなかなか困難。ようやく手に入れた珠玉の時だった。
 「天道虫」や「SPARK」に代表されるようなロック全開の曲は、いつも私達を一瞬で記憶喪失にしてしまうくらいの破壊力を持って襲いかかってくる。私達はそれを全身で受け止め爆発する。また、「バラ色の日々」や「ALRIGHT」のようなロックティストでありながらメロディアスな曲には心も体も揺さぶられ、その世界の中に飲み込まれていく。往々にしてロビンの歌詞の力が大きいが、彼の歌詞と声を最も素晴らしい形で世に出せるのが、THE YELLOW MONKEYというバンドなのだ。だからこそ、どのような曲調をもってしても、彼らは常に唯一無二だし、私達ファンの心をつかんで離さない。
 そして「I don’t know」。分類するつもりはないが、「JAM」「球根」「Horizon」のようなスローバラード。実はこういった曲こそが、THE YELLOW MONKEYの真骨頂、神髄なのではないだろうか。

 私はライブ命の人間なので、ライブでは出来るだけアッパーな曲で記憶喪失にしてほしい。日々の憂鬱や明日の不安を吹き飛ばしたいのだ。バラードは弾けまくったライブ中の、ちょっとお休みタイム的に賞味しているのも事実である。
 だが、人生を送るうえで、毎日がライブなわけではない。日々の憂鬱と明日の不安に付き合わなければいけないのだ。時にはアッパーな曲を聴きたいし、時には涙した曲を聴きたいし、時には「I don’t know」を聴きたいのだ。忘れてはいけないことを思い出すために。

 「あんなに燃えてた炎は消えたの?」
 
 「灰になったとしても あの情熱だけは忘れない」

                    I don’t know より

 活動休止から解散、そして夢のような再集結。この20年間、地獄と天国を見てきた。今は夢の中だ。最高の夢の中だ。
 「ALRIGHT」「ロザーナ」「砂の塔」「Stars」「Horizon」「天道虫」「I don’t know」
 再集結から3年で出した彼らの新曲である。全てが出来すぎなくらい所謂神曲と言ってもいい曲たちだ。これは創造者であるロビン(Horizonはエマ)とメンバーの魂がこもっているからこそ可能になったのだろう。彼らのアレンジ力、演奏力は言うまでもなくプロフェッショナルであり、その中でも最高と言える。だが、それだけでは説明できない。春にリリースされるアルバム「9999」では、私たちの予想をまた超えた素晴らしいものを提供してくれるだろう。

 ロビンのボーカルは、字幕が不要だ。どんなにテンポの速い曲でも、彼の歌詞はきちんと届く。一度で覚えることは無理だが、何を歌ってるか聞き取れないことはほぼない。それが、彼の「上手さ」なのだ。そして、歌詞。どの曲の歌詞も耳と体を通して心に届く。この彼の声と歌詞を最大限に表現できるのは、「THE YELLOW MONKEY」なのだ。再集結から3年経って、それを最も感じているのは彼等だろう。
エマのギターもヒーセのベースもアニーのドラムも「THE YELLOW MONKEY」であるときに、最高のものを引き出せるのだ。彼らにとって、それは生きているうえで最も幸せで大切なことなのではないだろうか。お互いがこうして出会えたこと、離れたけど、もう一度繋がれたことを奇跡なのか必然なのかわからないけれど、幸せに感じていると想像できる。いや、これは想像ではない。なぜならそれは、こうして受け取ることのできる私たちがどれほど幸せなのかで証明できる。
 何故彼らの声や楽器の音の質、個性はジグソーパズルのようにぴったりとはまるのだろうか。不思議にも思う。無理に合わせているのではない。それならどこかで歪みが生まれる。これほどに気持ちよく聴けるのだから、演奏している彼らも気持ち良いはずだ。長くやっていたから、途中休憩も実はプラスに働いていたから。でも今はその奇跡をただ感謝するだけで、詮索はしないでいたい。幸せだから。

 「I don’t know」を鬼リピしながら、すとんと心に落ちてきた。
 「ああ、イエローモンキーは裏切らない」
彼等は決して裏切らない。それは活動休止とかそういうことではなく。彼らが私達に届けてくれるものは何一つ嘘がなく、彼らの全てであるということだ。彼らの血と肉と魂が注がれた楽曲がそこにあった。
 「イエローモンキーは裏切らない。どのような曲、どのような理由で生まれた曲も、全てが彼等の想いであり、全てが真実なのだ」

 私の人生はこのあと、それほど長くない。例え命はあっても、ライブに行って、楽曲を聴いて、感動できる時間はそれほど長くはないだろう。これからの一日は、今までの5倍ぐらいの重みがある。1日1日、無駄にはできない。それほどに日々は早く過ぎていくから。
 それでも、いや、だからこそ思う。
 
 私は彼らと共に生きよう

 今までの楽曲たちとも これからの楽曲たちとも 共に生きよう
 
 
 私の人生は、まだきっと輝くことができるだろう。
 THE YELLOW MONKEYに会えて良かった。
 
  
 
  

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