世界は終わらない?仮面を取るのは誰?
King Gnu「Hitman」を深読みする
King Gnuの歴史的名盤『Sympa』を手に入れて以来、繰り返し聴いている。何度聴いても飽きない。中毒性がこの上ない。本当に同じバンド?と疑うほど音楽性の幅は広いが、全曲King Gnuならではの名曲に仕上がっている。
そのなかで6曲目に収録されているのが「Hitman」。
直訳すると「殺し屋」。タイトルからして既に危険である。ジャン・レノが演じた、リュック・ベッソン監督の映画『レオン』の主人公を想像させられる。あるいは『BANANA FISH』の主人公アッシュもある意味ヒットマンだろう。
<一体全体何を信じて歩けばいいの?>
これは「Hitman」に出てくる歌詞だ。
<一体全体何を信じればいい?>
こちらはアニメ『BANANA FISH』のエンディングテーマに起用された「Prayer X」の歌詞。どちらも銃社会、キリスト教文化のアメリカがベースにあるのではないか?と独自解釈してみた。
もちろん「Hitman」で描かれているのは実際の銃ではない。音楽で心を打つ、感動させるという意味で、「弾を撃つ」という表現が使われている。
ただKing Gnuの常田大希がリスペクトするケンドリック・ラマーなどのヒップホップのリリックには、銃社会ならではの悲哀が赤裸々に描かれている。暴力的な銃弾の代わりに、極上の音楽という弾を撃つ!これが常田の本意だろう。
個人的な解釈を深めると、「何を信じればいい?」という問いに対する答えは神様であり、King Gnuだ。
私はKing Gnuを知って以来「神様ありがとう」と日々感謝するようになった。宗教的な意味はまったくない。それでもKing Gnuというバンドが現代の日本に出現したのはあまりにも奇跡的な出来事であり、神様がいるとしか思えない。
自分自身は相変わらずろくでもない日常をおくっているが、怒りや落ち込みといったネガティブな感情がまったく起きなくなった。なぜならKing Gnuの音楽に出会えたから。それだけで涙が出るほど嬉しい。生きていて良かったと心底思える。
ヒットマンに心の底を撃ち抜かれたわけだ。さらに「Hitman」の歌詞を深読みしてみる。
<世界が終わりかのように 息巻いてさ>
人生がうまくいかず絶望したとき、人はまるで世界が終わるかのように嘆きわめくものである。その感情をそのまま表すことで注目を集めた某バンドが想像される。くれぐれも個人的な妄想であることは断っておく。
<笑顔の仮面を取れ>
個人的な妄想が増長される。根拠はまったくない。もし某バンドとテレビ番組で共演することになったとき、常田はどのような反応をするのだろうか。これは密かな裏テーマに留めておく。
ろくでもない人生に絶望して泣き喚いたところで、世界は終わらない。偽りの笑顔で本心を隠したまま生きていれば、いつか心は壊れてしまう。
King Gnuの音楽さえあれば、終わらない世界を生きられる。偽りの笑顔は捨てた。仮面を取るのは他でもない、King Gnuの音楽を聴いた私自身だろう。
- 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
- 利用規約を必ずご確認ください。
- ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。