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新宿歌舞伎町の地下で輝く、わたしの『東京流星群』

眠らない街で力強く歌うSUPER BEAVER【MOROHA自主企画/新宿LOFT編】

突然ではありますが、わたしはお酒が全く飲めません。
何歳になっても飲めない。何なら酔っ払いさんも大の苦手。
飲み屋街は地元仙台の国分町すら恐い。
東京は好きだけど、昼も夜もお酒臭い新宿は、何回行ってもどうも慣れない。
歌舞伎町?勘弁してください。論外とさせてください。

そんなわたしが2019年2月14日木曜日、平成最後のバレンタインデー。世の中が愛だの恋だの好きだの嫌いだので溢れる日、何をしていたかというと。
その日に限っては、デートの約束なんてものの方を論外とさせて頂き(決して妬みではない 悪しからず)、
東京は新宿歌舞伎町。新宿LOFTにてMOROHAとSUPER BEAVERのツーマンライブを観に行ったのだった。

こちらはMOROHAの自主企画『月金でギンギン!〜職場の死神背負って来い〜』という企画。月曜から金曜まで、各地でガチンコのツーマンライブを行うというもの。
去年の12月に情報解禁され、何故か2月14日の新宿LOFT編のみ、共演者は当日発表とのことなのだ。
──MOROHA MCアフロtwitterより。

「共演は当日解禁。何故だと思う?負けられない闘いがあるからだよバカヤロー!わざわざアー写まで撮ったんだ!今年こそ絶対勝つ!」

という内容と一緒に投稿された画像には、MOROHAのMCアフロとギターUK、その間にはSUPER BEAVERのドラム 藤原“30才”広明が。(3人仲良く笑顔でハートの風船を掲げている。)

そう、公式であからさまにネタバレをしているのである。そのツイートに便乗してSUPER BEAVERボーカル渋谷龍太が、
「対バン誰なの?バレンタインデーに新宿LOFTって。2月14日首洗って待ってな。ねエ、対バン誰なの?」とツイート。

このニクいやり取りが2つのバンドの関係性を物語っており、愛おしいのだ。
わたしも便乗し、誰なんだよゲストは。気になって夜も眠れない…あれ?もしかしたらもしかするの?なんて、望みをかけてチケットの発売日をチェックしたのだった。(何もかもわかっているけどこのノリが楽しいでしょう。)

因みにこの2組。2018年2月14日も新宿LOFTにてツーマンライブを行っており、チョコレートの数を競っていた。
「そもそも2対4じゃ不公平だろ」と、最も力があるとされる(?)ドラムの藤原がMOROHAに引き抜かれている次第なのだ。

結果から先に申し上げると、チョコレートの数はひとまず置いといて。とても素晴らしい最高のツーマンライブだった。
今回は、自分の想いをこれでもかというほどに込めて、SUPER BEAVERについて触れさせて頂く。少し、いやかなり長いかもしれないが、それは彼らへの愛が大きすぎる故に。ご愛嬌。

話は多少前後するが、企画の情報が解禁になった直後 わたしは手帳とにらめっこをしていた。
平日かあ、仕事休めるかなあ、なんて。
バレンタインデーに、渋谷龍太の生まれた新宿歌舞伎町にて。しかも盟友MOROHAとのツーマンライブが観れるなんて。わたしのするべきことはひとつしかなかった。

凄いことだ。音楽の力というものは本当に凄い。人間の固定観念をいとも容易く覆す。
冒頭に述べたとおり、わたしは歓楽街、ネオン街が非常に苦手である。よっぽどの理由や事情がない限りまず近付かないし、立ち入らない。
そんなわたしが迷いもせず決心した『よっぽどの理由』とは、前記したとおり、だ。

このニクいほど愛おしい2組のツーマンライブが観れるのなら仕事だって休んじゃうし勇気を出して歌舞伎町にだって飛び込む。言葉を選ばずに書いてみよう。いちファンとして、有りのままの表現をしよう。
「バレンタインに新宿でぶーやんの歌が聴けるなんてさ、考えただけで最高じゃない?上等じゃん、待ってろ歌舞伎町。」
呆れるほどにシンプルな感情は、苦手克服にすら影響してくるのかい。我ながら天晴れ。
因みに“ぶーやん”とは、彼らが高校時代、ギター柳沢亮太が命名した渋谷龍太の愛称である。

さて、日付は当日2月14日の0時。MOROHAからの情報解禁ツイート。
「共演はSUPER BEAVERだ!新宿!決戦!」
それに対して、渋谷龍太からのツイート。
「対バン俺らなの?困ったな、知らなかったじゃんね。デートすっぽかしてバレンタインデーが一番似合わない奴らとツーマンかよ。」
思わず声を出して笑った。
嗚呼、間違いなく良い日になるなという確信を抱きしめて、ニヤニヤしながら幸せな気持ちで眠りについた。

2月14日木曜日 東京、晴れ時々曇り。
上等だ、なんて勢いよく言ったものの 結局オドオドしながら挙動不審に山手線に乗り込み、新宿歌舞伎町を目指す。
新宿駅到着。はあ、人混み、人混み、人混み。だんだんと近づいてくるネオン街。
覚悟を決める。「さて、行きますか」ひとつ大きな深呼吸をし、胸を張って歌舞伎町のアーチを潜り、突き進んだ。右手にはチョコレートが入った袋。チョコの数で勝敗を!だなんて公式でアナウンスするもんだから、律儀にチョコを抱えている次第だ。

勢いなんてモンは何とも脆弱で、あっという間に打ち砕かれる。時折耳に付く大声や、ハイテンションで声をかけてくる謎の店員に震え上がり、心が折れる寸前。こんなもんで負けてたまるかとイヤホンの音量を上げる。流れてくるのは『irony』。

「駆け引きなんてさ 恥をかかないための 陣取りゲームでしょう」
「嫌いじゃない 好きとは言えない 認めてしまえば負けちゃうとか 不毛すぎる自問自答」
「切り出せない 面倒くさいと 捨てられるのは耐えられないから 繰り返すだけ」

皮肉、とは。
選りに選ってバレンタインデーの夜に、新宿歌舞伎町をひとり彷徨う成人女性に、軽快なメロディに乗せて切れ味が鋭すぎることばを向ける彼らの名は、SUPER BEAVERである。
いつもならば、化膿した傷を消毒して絆創膏をそっと貼ってくれるような音楽を与えてくれるのだが、今日ばかりは傷に塩をなするかの如く。
はて、これは一体…「これくらいで怯むな!乗り越えて来いよ!」というメッセージなのだろうか?なるほど、上等である。

本来苦手なはずのギラつくネオンすらキレイに思えてくる。半ばヤケクソだ。ギラギラギラ。
更に奥へ、足を運ばせる。イヤホンからは『予感』のキラキラ輝くイントロが流れ始めた。キラキラキラ。

「ならば嫌うより 好きでいたい 想うまま 想っていたい」
「会いに行こうよ 会いたい自分に」

何ということだ。先程の『irony』は伏線だったと言うのか。

「予感のする方へ 心が夢中になる方へ 正解なんて あって無いようなものさ 人生は自由」

『予感』の誠実な歌詞が泣けてくる。やはり、不安なときには必ず手を繋いでくれる そんな音楽を鳴らす彼らの名は、SUPER BEAVERである。
迷子になっていたテンションが、自分自身に号令をかけて一気に前を向き始めた。
そう、会いに行くのだ。苦手すらも跳ね返す力と勇気をくれた彼らに、わたしは会いに行くんだ。

目的地まであと少し、のところでトドメを刺すように耳元でトラックのクラクションが響き渡る。最悪である。背筋が凍りかけたがぐっと耐える。もう迷子になってたまるかよ。不安と緊張でクラクラし始めたら、おまじないのように心の中で、こう叫ぶ。

「オーケー ベイビー ゴーゴーゴー!」
やっと着いたわ新宿LOFT。
わたしマジで頑張った、えらいえらい。
※この不思議な掛け声は一体何?と思った淑女紳士諸君。焦ってはいけない。後に説明させて頂く。

開場時間の18:00。バーカウンター脇のダンボールには次々とチョコレートが積まれていく。
自分が持ち込んだチョコレートに「さあ、今日もヨロシクね」と気持ちを込めて、そっとダンボールの中へ入れてみた。そしてNOiDタオルをぎゅっと首に巻き、気を引き締める。

開演時間の19:00。暗転して、ライブが始まる。
満員御礼の新宿LOFTは、外の寒さとは真逆に、期待と高揚感で熱を帯びていた。
メンバーが登場する。胸が高鳴る。この瞬間は何度体験してもたまらないな。

「バレンタンデーに!デートをすっぽかして 此処 新宿LOFTに来たあなた!我々が当日解禁になったゲスト、SUPER BEAVERでございます!」

渋谷龍太が声を張り上げてオーディエンスを沸かす。
彼らのライブを観るにあたり、わたしが超個人的に楽しみにしていることのひとつ、渋谷龍太のシャツの柄をチェックすることだ。この日は原色のド派手な柄ではなく、モノトーン?最近は見かけない柄だな?と思ったら、2016年4月10日、都会のラクダSP Zepp DiverCityのオンステージで着ていたシャツじゃないか。やっぱり今日は良い日になる!と心の中でガッツポーズ。

始まりの合図は、『美しい日』の手拍子。
「手拍子がちいせえぞ!」と、どこまでも煽る渋谷龍太。「新宿!全員でジャンプできますか!」と柳沢亮太。負けず劣らず手拍子、ジャンプで熱意を表現をする。冗談じゃない、こちらもバチバチやるつもりで来てんだ。わざわざ歌舞伎町まで攻略したんだ、本気なんだ。
「特別は そうだ 普遍的な形をした 幸せだ」の歌詞に続けて、「今日みたいな日のことだよ!」とオーディエンスに向けて渋谷龍太は叫ぶ。これほどシンプルで説得力のある台詞はなかなか無い。
「今にある幸せは 今生きる自分で 気がつくものだったんだ 優しさも 楽しさも 愛しさも 笑い声も」
説明不要、全くその通り。わたしの目の前で渋谷龍太が歌っていることがまさしく当てはまる。

力が有り余って仕方ないオーディエンス一同、渋谷龍太の出方を待つ。
「あなたの前で歌っている今日も!この時間も!」「あっという間に終わってしまうよ!」
という強いメッセージで始まる『閃光』。
彼らのオンステージ、余所見している暇なんて1秒もない。我々オーディエンスも全く同じことを思っている。そう、彼らと共有できるこの貴重な時間は光のようにあっという間に終わってしまい、二度と手に入らないのだ。

曲間のMCでは、MOROHAの2人を揶揄する場面があったり、本日に限りMOROHAに引き抜かれたドラム藤原について、「一体どういうつもりで叩いてるの?」と笑いを誘い、緊張感が和らぐ。しかし彼らの眼差しをじっと見据えると、優しさの奥にギラつく闘志が確認できる。まさに「ガチンコ」でやってやるぜ、という気合いがビリビリと伝わってくる。

『うるさい』の歌い出しではその剥き出しの感情を痛いほどに表現してくる。荒々しく上杉研太のベースが唸り、柳沢亮太のギターが轟く。先程のMCで「やりづらい」なんて言っていた藤原“30才”広明だったが、力強いドラムの音からは、実際問題そんなこと思っていないことが伝わってくる。

わたしもシンガロングの声に乗せて感情を剥き出す。
「うるさければ 耳を塞いで でも あなたの声は 聞こえてるよ 大切だから 言わせてよ」
大声、とは。こういうときに使うんだな。

渋谷龍太がMOROHAとの関係性を語り始めた。
「MOROHAの2人とは同じ歳で…同じ歳ってさ、何かバチバチしない?…あれ、しない??」
一般的にどうかはわからないが、わたしは同意見だ。同じ年齢というだけで、バチバチに意識してしまう。勿論応援したい気持ちが高まるし、時には比べる意味などないのに比べてみたりもする。
偶然か、必然か、運命か、どれも当てはまらないか。さてどれだろうか。
ボーカル渋谷龍太、ベース上杉研太、MCアフロ、ギターUK、そしてオーディエンスのワタクシ。同じ年齢。31歳。

「踊れる曲が無いSUPER BEAVERですけれども。まあMOROHAはもっと踊れないんですけれども。この曲なら少し体揺らせるんじゃないかなぁって。恥ずかしい人も、少し揺らしてみようっていう気持ちだけでも見せてください」という台詞から始まったのは『irony』。

笑えてしまった。仮にもこの場所に来るまでの道中、試練と言わんばかりに刃を向けてきた曲が、およそ2時間後にはわたしを満面の笑みにさせているのだから音楽って摩訶不思議。不敵な笑みを浮かべ、お立ち台の上でステップを踏みながら、この皮肉たっぷりのラブソングを歌う渋谷龍太。彼からのバレンタインのご挨拶といったところだろうか。だが、彼からの極上の愛が間違いなく込められているナンバーだ。

『27』『証明』『予感』『青い春』というナンバーを全力で奏で、歌い、彼らのオンステージは終盤へと向かう。

「さあ、今夜、この場所で、この曲を、あなたに歌います。シンガロング、よろしく。」
そうして始まるのは『東京流星群』。
この日の夜、物凄い光景を目の当たりにした。音楽が、歌が、光となり目の前で花火のように弾け飛んだのだ。

──『東京流星群』という固有名詞。
SUPER BEAVERのメンバーは4人中4人、つまり全員が東京生まれ東京育ちのシティボーイズなのだ。故に「上京」という経験をしたことが無い。
「僕にとっての故郷は 誰かの憧れ 誰かが鼻で笑ったのが 僕の宝だ」
彼らにしか歌えない詞であることは、一目瞭然。
「眠らない街の片隅で 僕が眠りについた夜 明かりの消えた空には 星が流れたらしい」
何度聴いてもこのフレーズが好きで好きでたまらない。
この後に続くシンガロングが待ち遠しくなる、いつだってそうなのだ。
しかし、この日の夜はいつもとは何かが違った。

上記のフレーズの後に渋谷龍太が「さあ行こうぜ!」
最強のシンガロングの合図だ。ここまでは、よく知っている、どうしようもなく好きで仕方ないオンステージのワンシーンである。準備はとっくにできている。さあ、来るぞ来るぞ。

《東京流星群!》

一瞬何が起きたかわからなくなった。

ん?此処は、新宿LOFTだな?そうだよな?
わたしの身に何が起きたかというと、
今日、新宿駅に到着してから──『東京流星群』のシンガロングが起こる1秒前。ついさっきまでの出来事及び情景が、シンガロングと共に再生された。何だこれは?混乱している。と、同時に。このシンガロングの声量は一体何だというのだろうか。音、という領域を超え、光りを放ち輝いているように見える。これは何だ?
 

SUPER BEAVERの全ての楽曲、全てのオンステージに共通していること、ひとつ。
「音楽でひとつになるとかじゃない、束になってかかってくんな、お前1人でかかってこい。」「あなたたちじゃない、あなたに歌ってるんだ。」
すなわち、彼らはわたしたち もとい わたしと、何時いかなる時も一対一で向き合っているのだ。

もうひとつ。
「最初から『当たり前』なんてものはひとつも存在しない。偶然や愛や想いや小さな奇跡が積み重なったものの上に成り立つのが『当たり前』なんだ。」

後者について、この新宿LOFTを舞台として説明をさせて頂く。
同じことを繰り返すようだが、『東京流星群』のシンガロングがスイッチとなり、自分自身の先ほどまでの行動が逆回転で再生される。

わたしが今ここに、新宿LOFTに居る理由とは?根本は、「新宿でぶーやんの歌が聴きたい」それだけである。しかし、それだけで此処に来ることは出来ただろうか?ひとつひとつ答え合わせをしてみる。

2月14日だということ。MOROHAとのツーマンだということ。会場が新宿歌舞伎町であること。苦手だとしつこくアピールしてきたネオン街に勇気を出して踏み込んだこと。会社が休暇をくれたこと。山手線が通常運転だったこと。SUPER BEAVERの4人がインフルエンザ等に罹らず今日を迎えて音を鳴らしていること。MOROHAの2人が怪我等なく企画を開催してくれたこと。わたし自身がお腹を壊すことなくここで大騒ぎしていること。
今夜、SUPER BEAVERとMOROHAを愛するオーディエンスがこれほど集まったこと。
どれもこれも、当たり前のようで『当たり前』ではないのだ。ご理解頂けただろうか。

前者について、話す順序が滅茶苦茶なことを自覚したうえで説明をさせて頂く。
わたしを含めたSUPER BEAVERを愛するオーディエンスは、彼らが自分とマンツーマンで向き合っていることは既に百も承知である。だからこそ、それぞれが全力で拳を掲げ全力で歌う。同じ人間はひとりとして存在しない。その光景はまさに、光り輝く「星」そのものだった。4人はそれを全力で受け止め、更に大きな音として、美しくも逞しく、攻撃的にこちらへと返してくる。

「眠らない街の片隅」それは此処、本日の舞台──新宿歌舞伎町の地下だ。
もう一度聴こえる。渋谷龍太のシンガロングの合図「さあ、行こうぜ!聴かせてくれ!」

《東京流星群!》
《東京流星群!》
《東京流星群!》

もう一度言わせてもらう。物凄い光景を目の当たりにした。ライブハウス全体の音がぶつかり合い、音楽が光りを放って弾け飛んだ。まさに『流星群』を目撃したのだ。

驚いた。こんなものは見たことがない。
それは、此処に来るまでに潜った歌舞伎町のアーチよりも、パチンコ屋の必要以上に眩しい照明よりも、映画館の派手な電飾よりも、何百倍も輝いていた。
シンガロングの音量は、此処に来るまでに耳に付いた他人同士が喧嘩する声、客引きお兄さんのハイテンションな声、トラックのクラクションよりもなんて、比べることすらナンセンス。

そして、新宿LOFTにてオンステージするSUPER BEAVERの4人。
光が弾け、眩しくも『素晴らしい世界』の向こう側に居る彼らこそが──わたしにとっての『東京流星群』だった。
今日の苦しかったこと、つらかったこと、勇気を出して乗り越えたこと、それが100点満点じゃなかったとしても、あなたは『あなた』のままでいいんだよ。
頑張ったね、よく此処まで来たね。
全部シンガロングにのせて聴かせてくれよな。

そう言ってくれているように思えた。それに気付いたとき、再び目の前の空間が輝き弾け飛んだのだ。わたしは変なタイミングで笑っていた。「わはは、スゲェや。」
すげえ。それ以上に感情を表現する言葉が見つからない。

「友達の居ないMOROHAが、友達の少ないSUPER BEAVERを誘ってくれた──俺たちは友達であり仲間だけど、それはこのツーマンには全然関係なくて。
肩を並べて傷を舐め合うのが仲間ではない。言ってることが違くとも、お互いのスタンスを受け入れて吸収していくのが仲間であり友達だ」
「MOROHAに一度、大きな拍手をしましょう」
渋谷龍太は、どんな時も主催者及び共演者に敬意を表することを忘れない。
この日の夜、小さな奇跡を積み重ねた上に成り立つ『当たり前』を作ってくれたMOROHAへ。わたしは精一杯の拍手を贈った。

そして、「僕があなたに伝えたい たくさんの言葉は いつの間にか 意味を変えて 大切なモノになった」と『シアワセ』を歌い上げて、渋谷龍太はステージから降りた。
柳沢亮太が感情的にシャウトした姿が印象的だった。上杉研太のクールな表情の奥に垣間見える熱い闘志。藤原“30才”広明の気持ちを込めすぎた力強いリズム。やはり4人とも夜空で激しく輝く星、にしか見えなかった。

ドリンクバッジを探すのすら忘れてしばらく呆然とする。
確かにこの目で、歌舞伎町の地下で、『東京流星群』を目撃した。頭の中で繰り返される。

MOROHAのオンステージについて、ひとつだけ書かせてほしいMCアフロの台詞がある。

「予感のする方へ。楽しい予感のする方へ…。予感もいいけど、だけどそれ以上に欲しいのは…
『実感』だーーー!!!!!!」

シビレた。彼らは彼らのスタンスで、SUPER BEAVERに噛み付いている。
彼らの武器を使い、それもまた、共演者へ最大級の敬意を表しているように感じた。計り知れない愛も感じた。MOROHAも、新宿で、ひっそりではあるが、存在感のある星となり輝いていた。
「俺たちは言っていることやスタンスは違うかもしれないけど根っこを辿ると想うことは一緒でさ。ただ、お互い慰め合うだけの関係なら要らないんだ」と、アフロも想いを語る。
2つのバンドの関係性。こんなに熱く美しいものが此処に確かに存在している。

これにて新宿LOFT編、終演。
相変わらずお酒が飲めないわたしは、大好きなジンジャーエールを片手に新宿LOFTに別れを告げた。
「楽しかった、また来るよ」
3時間前のわたしからは絶対に出ない台詞。

帰り道、もちろん歌舞伎町。空を見上げて歩く。不思議だった。あんなにビクビクしながら歩いていた歌舞伎町。苦手なことに変わりはないのだが、妙にリラックスしている。
音楽とは魔法である。今夜、わたしに『東京流星群』を魅せてくれた新宿歌舞伎町に感謝すらしていた。
魔法?いや、魔法じゃないな。予感でもない。
これは確かな『実感』だった。

ふと、ドラッグストアの前で足を止め、歯ブラシを忘れてきたことを思い出す。買わなくちゃ。店頭で真っ赤な包装紙に包まれた板チョコを発見する。1枚手に取り、頑張った自分へのご褒美としてチョコレートを買ってあげることにした。

新宿から少し離れた場所で眠りにつく予定のわたしは、今日の出来事に胸騒ぎが収まらずなかなか眠れなかった。板チョコを少しだけかじって、イヤホン装着。
「眠れない夜の裏側に 僕を待ってる朝があって 眠らない街の片隅で その日を信じてる」
また会えるだろうか、あの『東京流星群』に。
「楽しい予感」を募らせ、「シアワセ」な気持ちで目を閉じた。
 

あの日の出来事から数日経つ今も、全く余韻から抜け出せない毎日を過ごしている。抜け出す気も毛頭ない。けど、それで良いのだと思う。

光り輝く4人が、
「あなたは『あなた』のままでいいんだよ」
と言ってくれるのなら、わたしは無敵になれるのだ。

東京は新宿歌舞伎町。勢いまかせに踏み込んでみるのもまた一興。
2019年2月14日木曜日 東京、晴れ時々曇りのち星空。
全ての情景を巻き込んで、光り輝く流星群となり、わたしの、その日の一部始終を『美しい日』にしてくれた彼らの名は、『SUPER BEAVER』である。

2月の仙台はとても寒い。夜の空気は張り詰めている。
きっと4人は、日本の何処かで今日もまた音を鳴らし、全力で歌を歌っている。もしかしたらまた──あの『東京流星群』を巻き起こしてるかもしれない。

SUPER BEAVERにとって、彼らの目の前に居るオーディエンスのあなたにとって、今日が、今夜が、『美しい日』となりますように。そんな想いを込めて わたしは夜空に向かって心の中で、こう叫ぶ。
「オーケー ベイビー ゴーゴーゴー!」
※詰まる所、この不思議な掛け声は一体何?と思った淑女紳士諸君。お待たせした。こちらは彼らがオンステージ前、円陣を組む際に叫ぶことばである。本人達は、全くイケてないと思っているらしいが今更やめられないとのこと。気合いを入れたり、彼らに感謝の気持ちを表する際、勝手にお借りしている次第だ。

もう一度、夜空に向かって、敢えて口に出して、叫ぶ。
「オーケー ベイビー ゴーゴーゴー!」
あの日、光り輝く『素晴らしい世界』へ 優しくも強引に手を取って導いてくれた──わたしの愛して止まない『東京流星群』に。

最大級のありがとうと、どうしようもないくらいの極上の愛を込めて。
「シアワセ」な気持ちで、赤い包装紙の板チョコをかじりながら。
また会えるその時まで。「楽しい予感」を募らせながら。

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音楽について書きたい、読みたい