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これ、聴いてみませんか?

Benthamが作り上げたたからのやま

音楽と出会うきっかけなんて今の世の中いくらでもある。
無限に溢れる曲の中から今日も私たちはお気に入りの1曲を聴く。
自分がどれだけ良いと思っている曲も隣のあの子には響かないかもしれない。
もしそうだとしてもいいから、とりあえずこれ、聴いてみませんか?

きっかけは何だっただろう、はっきりと覚えていない。
普段からよく聴くわけではないけれどライブには行くし、レギュラーで持っているラジオ番組もたまに聴く。私にとってBenthamはそういう存在だった。私はいわゆる「にわかファン」というやつである。

「MYNE」とは鉱山という意味で…と、メンバーが説明しているのを違うアーティスト目当てで手に取った音楽雑誌で読んだ。「ふーん、そうなんだ」なんて思いながら買おうかな、どうしようかなと迷っていた。普段ならここで買わないという選択肢を取る。でも私の第六感が「このアルバム、良いかもよ」と囁いていた。自分の第六感は侮れないことを私が一番よく知っている。ここは信じて買ってみよう。その日、綺麗な女の人とドライフラワーが装丁されたCDと共に家に帰った。

「まぁとりあえず通して聴くか」楽しみにしているいつものバンドの新譜が出た時とは比べ物にならないくらい落ち着いた気持ちで再生ボタンをタップする。

「cymbidium」は前のツアーで聴いていた。
“どうしようもないと分かってたって とても好きなのです。”
その時はくさいなぁなんて思っていたが、季節が追い付いたせいか、この歌詞が寒い夜にしみる。
それにしてもこのミディアムナンバーが1曲目とはあとにどんな曲が続くのか、ちょっとしたワクワク感。
女性目線だというこの曲に少し自分を重ね、切なくなって余韻に浸っていたら、
“Cry Cry Cry! 泣かないでくれないか”
と、2曲目の「Cry Cry Cry」が流れ始める。曲が始まった瞬間からそんなこと歌うから目が覚めてしまった。「なんというギャップ!」と少し面食らいつつも、途中の遠吠えにくすっとしながらもう私はこのアルバムに引き込まれていた。

3曲目の「Hope the youth」は勇気がもらえる1曲。ウルトラマンの主題歌なのだから納得である。聴いているとヒーローにすらなれそうな気がする。
“未来は君のモノ”
そんな言葉から
“さぁ泣いて笑って越えて行け”
と続く「トワイライト」。
地面から這い上がるような印象を受けた。歌詞が力強い。
“遠ざかる光さえも 自分の手で掴め”
行くぞ!やるぞ!そんな力強さは「five」で芯の強さ、意志の強さへと変わっていく。

“昨日までは自由があった 目指すモノがあやふやになったりした
このままいけばダメなの知ってた“
前半ではこう歌っているのが後半には
“昨日までは自由があった 思い込んでいた 僕等はずっと自由だ
朝までバカみたいにずっと 価値のある日々 まだ夢をみよう“
こう歌っている。
バンドのことを歌っているようだと思わずにはいられなった。「five」は5で、私はそこから「真ん中」を連想する。「ここで終わりじゃない、まだまだ僕たちは途中なんだ」そう言っている気がした。

力強い2曲の次に聴こえてきたのは「ASOBI」。
「five」と作詞作曲は同じなのに毛色が違う。タイトルが「ASOBI」だから歌詞も遊んでいるのかと思いきや、
“oh my サーティーエイジャーズ 愛想笑いはもう出来ない
oh my サーティーエイジャーズ キラキラしてるずっと“
“ASOBI続ける ずっと 今も”
そんなバンドとしての決意のようなものをこの曲からも感じた。
音としてはこんなに踊れるのに歌詞でグッと心を掴まれる。ああ、そうか、やっと気づいた。これがBenthamの魅力なのだ。

「MIRROR BALL」ではエレクトロなメロディに妖艶な歌詞がのる。気づいたら身体は動いているし、「この曲はライブでやったらすごく楽しそうだな」なんてライブの想像までしている。聴き始めた時とは大違いである。
そしてラジオ番組でリスナーから集めたワードで作られたという「BASSBALL」。集めたワードでこんなに良い曲が作れるってすごいなと感心しながら、Benthamが好きなみんなと作り上げたこの曲はファンにとっても大事な1曲であろうし、すごく嬉しいことだよなあ、なんて思った。

あと2曲。
最後が「夜な夜な」であることは知っている。
その前にどんな曲がくるのか。
タイトルは「SUTTA MONDA」・・・すったもんだ・・・???
なんていうタイトルだなどと突っ込みを入れながら耳を傾ける。イントロを聴いた瞬間から無意識に「ドライブしているときに聴いたらテンション上がりそう」などと、ついに聴きたいシチュエーションまで考えるほどになっている。明らかにこのアルバムにハマっている。サビで“スッタモンダ”と一緒に口ずさみたくなる楽しい曲である。

ひとしきり踊って、楽しんで、夜がやってきて、一人の部屋。聴こえてくるギターの音。壮大さを感じる。「cymbidium」とは異なる切なさを感じる。というのも「cymbidium」は女性目線で、「夜な夜な」は男性目線の曲であるという。離れ離れになった二人は互いに切なさを感じている。
“逢いたい でも逢えない ばかだな ばかだな 君の名前を叫んだ”
文字通り叫ぶような声で歌う。もはや泣いているのではないかとすら思うほど。それだけこの曲の熱量やこの曲に対する熱さがうかがえる。
「cymbidium」と「夜な夜な」、アルバムの最初の曲と最後の曲。曲順だけ見ると1曲目と10曲目で離れているのに、ループして聴くと「夜な夜な」の次に「cymbidium」が流れる。隣り合っている。離れていても同じ気持ち、離れているのに同じ想い・・・曲順からまでも切なさを感じた。

あんなに冷静に聴き始めたのに、感情というのは素直なものである。今やもうライブで聴くのが楽しみになっている。「鉱山から宝がザクザク出てくるようなそんなアルバム・・・」メンバーがそう話していたこのアルバムはまさにその通りだと思った。何より私はBentham自身が宝の山なのではないかとすら思った。
これまでつらつらと「MYNE」を聴いて感じたことを独断と偏見で書いてきたが、もっとBenthamを好きな人やメンバーからしたら、そこは違うというところがあるかもしれない。でも、「MYNE」がとても良いアルバムだということは全員同じであると思う。要するに私はそれが言いたかったのである。きっと私はこれからBenthamの「にわかファン」ではなくなるだろう。それくらいこのアルバムに引き込まれ、もっとBenthamの曲が聴きたいと思ってしまっているのだから。

食わず嫌いならぬ、聴かず嫌いの人は多いだろう。実際私にもその節がある。
いつだったか、友人に「Benthamは興味ない」と言われたことがあった。おそらくその友人はBenthamの曲を聴いたことがないだろう。なんだか悲しくて、悔しかった。
今好きな音楽だけでも十分かもしれない。
でも新しい音楽に出会った時、ハマった時の高揚感は忘れられないし、何より好きな音楽が増えることは人生の肥やしになると私は思っている。

音楽と出会うきっかけなんて今の世の中いくらでもある。
「好きじゃない」そう思ってもいい。そこは個人の自由なのだから。
でも、聴く前にそう決めないでほしい。もしかしたら、私のように夢中になるかもしれない。
「MYNE」という宝の山を、とりあえず聴いてみませんか?

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