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あなたはNEWSを知っていますか

想像力で作り出す最高の虚構

 あなたはNEWSを知っていますか。
 メンバーの顔や名前はわかっても、彼らがどんな楽曲を歌いどんなステージを見せているかはおそらく知らないのではないかと思う。知りたいとも思っていないかもしれない。
 それでも伝えたいことがあって、こうして言葉にしている次第です。
 
 

 ここ最近のNEWSはとにかく楽曲が多彩だ。その多彩な曲たちを軸となるひとつのコンセプトでまとめ、全体を通してひとつの世界を構築するようなアルバムをつくっている。そして音楽で表現した世界を可視化して実際に“体験”するツアーを回る、という流れだ。聴き手はまずアルバムを聴いて楽曲が表現するさまざまな世界に想像の翼を広げ、コンサートではその想像を上回る世界を体験する。

 2017年のアルバム『NEVERLAND』の初回盤にはNEVERLANDへの鍵がついていた。これは比喩ではなく本当に“鍵”で、同じく初回盤についているDVD映像ではひとりの少女がその鍵を手にして不思議な世界へ旅立つ様子が描かれている。
 アルバムを再生すると、まずミスター・インポッシブルと名乗る声が「NEWSのNEVERLANDの世界へようこそ」と、これから旅立つ世界について説明してくれる。聴き手は鍵を手にしてNEVERLANDに迷い込んだ“主人公”なのだ。『はてしない物語』『ナルニア国物語』などの王道ファンタジーのような世界観を彷彿とさせる。主人公は、ミスター・インポッシブルの言葉によれば、火・水・光・音・踊・魔・愛の七つのエレメントに彩られた世界を、NEVERLANDの案内人であるNEWSとともに冒険してゆくこととなる。続くアルバムと同名の楽曲「NEVERLAND」は、物語の幕開けにふさわしい壮大なアレンジと重厚な歌声で、聴き手をフィクションの世界へ連れていく。
 収録されている楽曲は様々な色を見せる。m-floの☆Taku Takahashi・LISA提供の「Brightest」、JUON提供のロックナンバー「BLACK FIRE」、亀田誠治による王道J-POPアレンジ「流れ星」などなど。曲の合間には、INTERとしてミスター・インポッシブルがNEVERLANDの世界を紹介してくれる。
 アルバムの最後の楽曲は「U R not alone」。この曲だけ、他の収録曲と毛色が異なる。というのも、これまでの楽曲はNEVERLANDという世界のなかを表現していたが、この曲はNEVERLANDの長い旅を終えて聴き手を現実世界へと送り出す楽曲となっているのだ。NEWSとファンがともに歌い、その歌声によって互いの存在を感じ、明日からまた日常に戻っていくための応援歌。幸せに包まれて、聴き手は現実世界へ帰っていく。

 次に発表された『EPCOTIA』というアルバムは宇宙旅行がテーマ。『NEVERLAND』ではファンタジーの世界観を展開したが、今回はSF要素が濃くなる。宇宙旅行が気軽にできる世界で、聴き手はEPCOTIAライナーという宇宙旅客機に乗り、宇宙をめぐるツアーへと出発する。初回盤特典はEPCOTIAライナーの搭乗チケットだ。
 前作同様にアナウンスから始まるのだが、今回はEPCOTIAライナーの機長、コーティー・ティプトリーからの機内アナウンスという形式になっている。NEWSはEPCOTIAライナーのアテンダントという位置づけだ。
 収録楽曲は『NEVERLAND』以上にバラエティに富んでおり、いわゆるアイドル的なかわいらしさのある「恋する惑星」、ピンク・レディーのオマージュとも思える「UFO」、ヒップホップな「JUMP AROUND」「BLACKHOLE」などなど多彩。特にヒップホップを取り入れた楽曲の恰好よさときたら!ラップも低音も効かせまくりかましまくり。ジャンルにこだわることなくさまざまな楽曲をリリースできるというのは、間違いなくアイドルのメリットのひとつだ。
 コンセプトアルバムだけにシングル曲が浮いてしまいそうにもなるが、機長の「機内音楽をお楽しみください」というアナウンスのあとに唯一のシングル曲「LPS」が入る粋な演出もあり、浮くどころかぴったりと収まっている。
 前作の「U R not alone」のように、今回の最後の楽曲「HAPPY ENDING」も聴き手を現実に帰すための曲であり、この曲を聴くことで宇宙へと行って帰る物語としてアルバムが完成される。まるでひとつのアトラクションのように満足度の高いアルバムだ。このアルバムをもってツアーを回った映像も発売されており、さいたまスーパーアリーナが宇宙となった様子を見ることができる。年末年始には京セラドーム・東京ドームをも宇宙にしてしまった。

 そして今年2月20日に発売された最新アルバム『WORLDISTA』。ファンタジー、宇宙と続き、次は仮想空間!アイギア「WORLDISTA Ver.10」を装着し、時間も距離も超越してしまえるような仮想空間へと旅立つ。アルバム初回盤特典として「WORLDISTA Ver.1」=青と赤の3Dメガネがついてくるところも、発想の勝利を感じる。アルバムを再生すると、仮想空間のガイド音声が流れ、聴き手はWORLDISTAの世界にログインすることとなる。
 『EPCOTIA』が楽曲の彩り豊かさを誇るアルバムだとしたら、こちらは楽曲の深度を誇るアルバムだ。ひとつひとつの曲が自立し主張し、仮想空間のなんでもあり感を演出している。
 仮想空間の中で、聴き手はNEWSとゲームを楽しむ。疾走感あふれるまぶしい楽曲「DEAD END」はレースゲームの世界を表現していて、続く「CASINO DRIVE」はカジノゲーム。ガイド音声が「eスポーツゾーンへ」と言うと、次は「SPIRIT」「BLUE」といった日テレのサッカーテーマソングが続く流れは、なるほど!と唸ってしまう。もちろん今回もm-floの☆Taku Takahashi作曲の楽曲が収録されている。仮想空間のイメージと相性のよい楽曲だ。かと思いきや愛に満ちたバラード「リボン」や季節外れの(と言いたくなるが、時間も空間も関係ないのがこの仮想空間なのだ)クリスマスソング「サンタのいないクリスマス」もある。「Strawberry」はNEWSの15周年を記念した楽曲で、「「生きろ」」はドラマの主題歌でもあり、今のNEWSの生身の思いが詰まった曲でもある。ひとつひとつの楽曲が、今まで以上に深い。前作で幅の広さを手に入れたNEWSは、今作では深さに焦点を当てたのかもしれない。
 4人の歌唱力・表現力にもさらに磨きがかかっていて、さまざまな声色・歌い方を使い分けて楽曲のもつ世界を表現している。4人しかいないのに、4人以上の迫力をもって迫る歌声といえるだろう。全員がサビを歌うという構成だけでなく、それぞれが自分のパートを歌いつないでいくというパターンも多い。
 実はこれまで紹介したアルバムは頭文字が「N」「E」「W」となっている。つまり、次に「S」がくるということ。ここまで紹介してきたコンセプチュアルな世界は、アルバム4枚を通してのプロジェクトなのである。起承転結の転となる今作は、今までの2作とは違って謎が多い。今まで以上に不思議で壮大な世界へと、聴き手は歩みを進めることとなる。
 今回のアルバムでは、公式から「#想像することがみちしるべ」という合言葉が提示されている。それを使って、コンサートの演出・セットリストや楽曲に隠された意味についてなど、さまざまな想像が繰り広げられている。
 
 

 ファンタジー世界で主人公を導く声や、宇宙旅客機の機内アナウンス、仮想空間のガイド音声は、いってしまえばただのCDトラックである。しかし、ただのCDトラックを聴きながら、聴き手は夢の国に迷い込み、宇宙旅行の参加者となり、VR世界を堪能する。言葉を選ばずに言えば“ごっこ遊び”だ。世界で一番真面目で、世界で一番楽しい“ごっこ遊び”。それぞれの世界で割り振られた役割を、NEWSも聴き手も演じている。
 アルバムの発売とツアーが決まるたびに、まるで一緒に遊ぼうと誘われているような気持ちになる。こんなに面白いものを考えたよ、だから一緒に遊ぼう、と。一緒に遊ぶという行為は、ひとりでは決して成り立たない。NEWSのアルバムやコンサートは、一方的に受け取るのではなく、自分がそこにいることを実感させてくれるのだ。“私”がかけがえのないひとりの人間であることを、改めて気づかせてくれる。さまざまな虚構の世界を通して、私は“私”という現実を知る。

 アルバムで、そしてコンサートで、NEWSは虚構の世界をつくる。しかし、コンサートに行って知るのは、NEWSというアイドルが“生身の人間”であるということだ。コンサートにて、彼らは全身全霊で歌い踊る。自分が“今”歌うことで届くものがあると信じているのか、素人が見てもわかるほどダンスが激しい楽曲でも“今”のその声で勝負する。決して粒がそろっているとはいえない歌声。けれど、それぞれの声がしっかりと生きている。ただ歌うのでも、ただ踊るのでもない。自分がそこにいることを証明するかのように、彼らは肉体を駆使する。気迫に満ちたその声と姿に、アイドルの語源は“偶像”を意味するものだとしても、彼らは間違いなく人間なのだと思い知る。
 汗を散らして、筋肉を総動員して、虚構の世界をつくるために全力を尽くす。歌声とは空気の振動なのだと、痛いほど胸に響く音に気付かされる。ときには声が枯れているときもある。でも、ステージを全うしようという意志が、その目に宿っている。
 そんな生身の彼らを前にしたら、我々は“見ている”だけではいられない。観客が“観客”ではいられなくなり、いつのまにか物語の主人公となって虚構の世界に参加している。一緒に歌ったり、ペンライトを輝かせたりしながら、NEWSと一緒に虚構の世界を冒険し、確かな“体験”を得る。あのとき歌った声、手拍子、笑顔、涙。心を動かされた体験は、コンサートが終わっても残る。今、NEWSがつくろうとしているのは、そういう“体験”を人の心に残すような、最高の虚構だと、私は思う。
 虚構=フィクションに必要なのは、想像力だ。きっとNEWSは、世界中のどこよりも人間の頭の中が一番広いということを、信じているのだ。
 

 あなたの想像力も、飛び立ちたくてうずうずしていませんか?
 一緒に冒険の旅に出ましょう。
 最高の虚構へ、ようこそ。

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