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異端とは自由であり無限である

sukekiyoという唯一無二の音楽集団について

世界には色々なジャンルの音楽がある。ヒップホップ、ロック、クラシック、EDM……
多種多様なアーティストが存在するが、人は大抵そのアーティストを「ロックバンド」「ラップユニット」「R&Bシンガー」などと何かしらのジャンルにはめて分類してしまう。

としたら、本当の意味でジャンルとして分類できないアーティストがいるだろうか?
大体探せば「このジャンルは多分当てはまるだろう」と言えるアーティストしかいないんじゃないか?

そんなことはなかった。
いたのだ、本当に何と形容したらいいか分からないアーティストが。
それがsukekiyoという異端の音楽集団である。

sukekiyoは元々、DIR EN GREYのボーカルである京が中心となって新たに結成したバンドだ。
ということはロックバンドなのかと真っ先に考えるだろうが、全くそんなことはない。

初めてのリリースとなったアルバム「IMMORTALIS」は、いきなり異国の雰囲気が漂う「elisabeth addict」で幕を開けてその予想を気持ちいいくらいに裏切り、そのあともクラシックや歌謡曲のように旋律の美しい収録曲が続く。
かと思いきや「vandal」や「the daemon’s cutlery」など、京が得意とする多彩な声色を駆使した混沌としたナンバーも混ざり、ロックの枠組みを易々とはみ出している。

その後リリースされた作品も、やはりロックとは違う様相のものが続く。
「ADORATIO」という一昨年リリースされたアルバムではさらにEDMを彷彿させるデジタルな肌触りの音色が加わり、今までのような古めかしさを感じさせる音世界と混ざり合った結果さらにジャンルの分類が出来ない作品となった。

作品だけではない。いわゆるビジュアル系によくありがちな「ギター2+ベース+ドラム+ボーカル」のバンド編成ではあるが、各パートのメンバーは違う楽器も扱っている。
ほぼ毎回ギターを持ち変えるばかりかピアノまで弾く上手ギタリスト、電子パッドやウッドベースも持ちだすベーシスト、ヴィオリラという見たこともない楽器を弾く下手ギタリスト。
ドラマーは一応ライブではドラムに専念しているが、PVなどの映像演出は彼の手によるものだ。
ボーカルの京は暗黒舞踏のような舞いを見せたかと思えば、テルミンやサンプラーなども最近は駆使してDIRにはない一面を見せている。

ライブの雰囲気も、よくあるバンドのそれとは違う。
喪服のようなモノトーンの服で参加するようにとルールを設けられた観客たちは、歓声もあげられず、手拍子やコールもしない。
MCを挟まず次々に演奏される楽曲にただ聞き入るのみの様子は、音楽ライブというよりも観劇や美術館に近い。

こんなsukekiyoというバンドを、一体どんなジャンルに分類できるというのか?
まさにこれこそ異端という言葉にふさわしい。そんな音楽集団が日本に生まれたことの奇特さ。

しかしながら、そんなマニアックなスタイルから生み出される楽曲が聴きづらいものかというとそうでもない。それこそ日本ではお馴染みの2時間サスペンスドラマのエンディングに流れそうなイメージが近い楽曲も少なくない。

バンド結成時、京は「バンド名を聞いてもどんなバンドか想像がつかないものにしたい」「他にはない音楽をやりたい」と語っていた。
その結果として集められたメンバーは京いわく「音楽の変態」であり、だからこそ「何が生まれるか分からない面白さがある」という。
異端であることが彼らのアイデンティティだが、そこさえ貫いていれば後は何だろうと許される自由さ、多彩さもあるということだ。
ほぼ毎回、特典ディスクとして国内外のミュージシャンとコラボレーションした音源が初回盤に付属しているが、その人選も常に予想外の名前がちらほら出ている辺りが自由さの象徴だろう。KONTA (ex.BARBEE BOYS)、三上博史とコラボレーションするなんて他に誰がやるもんか!

自由であるが故の異端。
異端であるが故の楽しさ。
sukekiyoにはそれがある。

CDショップではほとんど名前が出ず、ライブ会場や特定の通販サイトでしか音源を入手出来ない辺りは少々間口が狭いかもしれないが、
そのハードルさえ越えれば、普段はなかなか触れられなかった異端の芸術に手が届く。
本当の意味での唯一無二が何かをきっと知ることが出来るだろう。

今年、彼らは新たに「INFINITUM」という音源をリリースするという。
無限の名を冠するそのアルバムが示すのは、まさしくリスナーの想像が追いつかないような、音楽が持つ無限の可能性かもしれない。

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