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カップリング曲が輝く彼ら

GARNET CROWのカップリング曲たち

 

今更だが、2013年に惜しくも解散してしまった、GARNET CROWの話をしたい。
理由としては、自分の周りにGARNET CROWのファンがおらず、何よりA面として世に出た曲より、カップリング曲を聴いてほしいというファンとしての気持ちが強くあったからだ。
実際のところ誰のファンであれ、カップリング曲をオススメしたくなるのは当然だ。
しかしGARNET CROWのファンは口を揃えて「カップリング曲が良い」と言っていたし、それが本人たちにも伝わりB面アルバムを出すことになるまで及んだ。
この理由を突き止めたいし、彼らのカップリング曲を聴いたことない人には是非、知っている方は改めてGARNET CROWの曲を聴くキッカケにして頂きたい。
 

まず、GARNET CROWと言えば…
「コナンの主題歌の人でしょ?」と浮かぶ人が多いだろう。
確かに、「名探偵コナン」のアニメのOPやED、映画でのタイアップもあった為、「コナンから入った」というファンも多かったであろう。
私もその一人…と言っても、「コナン」ではなく、2005年に放送されたアニメ「メルヘヴン」の主題歌であった「君の思い描いた夢 集メル HEAVEN」から本格的にファンになった。
初めて聴いた、当時小学生の私の率直な感想はこうだ。「変なの!」
当時不思議に感じたのは、(GARNET CROWの楽曲ではよく耳にすることができるのだが)サビ前にグリッサンドで盛り上げる歌い方である。
文字にすると、サビ前の最後の音とサビ始まりの音までを繋げて歌うのである。
これは文字にしても理解し難いと思うので、実際に聴いていただきたい。
「祭りのじかん」という楽曲では、ラスサビで下の音に転調するのだが、この時も同じ手法で歌っていて、彼らの得意としていた「ダークさ、神秘性」を感じられる曲となっている。
 

さて、手法に触れたものの、私は音楽用語に乏しい。
この先の話は更に抽象的な表現が多くなることを許して頂きたい。
 

その前に、改めてGARNET CROWのメンバーを記しておく。
作曲・ボーカルの中村由利、作詞・キーボードのAZUKI 七、ギター(コーラスも担当)の岡本仁志、編曲・キーボードの古井弘人の男女4人組だ。
彼らはメディアに「クリエイター集団」と紹介されていた通り、それぞれ個々の活動として、同じレーベルのアーティストに楽曲提供していた。
そんな実力のあるメンバーだったからこそ、作り上げた音楽たちの魅力は素晴らしかったのだと思う。
 

GARNET CROWと言えば、不思議な世界観が売りで、それを生み出す一つに歌詞がある。
作詞家 AZUKI 七による歌詞は、ストーリー性のあるもの、宗教に感化されているようなもの、舞台がファンタジーなもの、人間性を露にしたもの等、幅が広い。
「ダーク」と言われている彼らだったが、実は前向きな歌詞が大半で、一般的な視点より斜めからの視点が多く、良い意味でひねくれた歌詞も多く存在した。
更には、様々な映画や小説、画家の作品等に影響されている歌詞もあり、彼女の描く世界観の一つであった。
そういう楽曲は大抵、カップリング曲や、アルバムの収録曲などに盛り込まれている事が多い。
「in little time」という曲では、「髪結いの亭主」というフランス映画の影響を受けているのも、ファンの間では有名である。
他にも太宰治の「人間失格」や、サガンの「悲しみよこんにちは」等、挙げるときりがないほどだ。
単に、一般受けしないという判断なのか、偶然なのかはわからないが、だいたい表に出る曲ではなかった。
その中でも、私がファンになったキッカケの曲「君の思い描いた夢 集メル HEAVEN」には”「青い花」を咲かす「ノヴァーリス」の扉を…”と、詩人の名前と作品名を歌詞に入れ、A面として…タイアップ曲として出したのは珍しかった。
当時小学生の私には、歌詞の意味はわからなかったが、知識は一つ増えることとなる。
歌詞の深さを知る為に、影響を受けている作品に触れたファンも少なくないだろう。
そして更にその曲の深みを知り、「良い曲だな…」と感じていくのだ。
AZUKI 七の歌詞の世界観は、ファンの間でも人気で、様々な考察が飛び交う事もしばしばあった。それもだいたいカップリング曲やアルバム収録曲だ。
この奥深い曲が、なぜ表に出なかったのかという事情は明かされていないし、本人たちは「なぜカップリング曲の方が推されるのか?」と疑問を抱いていたほどなので、偶然かもしれないが、A面曲だけで彼らの音楽を語れないということが、歌詞だけをピックアップしても伺えるのだ。
 

突然だが、私は当時からメンバーの中で中村由利が一番好きである。
歌声と、独特のメロディセンスが私にとって好みだったのだろう。
中音域の主旋律で歌う、少年のような歌声はなんとも心地よい。しかし、何と歌ってるのか聞き取れず、歌詞を見ないと空耳で覚えてしまい兼ねないほどの、曖昧な歌い方も特徴的だった。それが歌詞に目を通すキッカケでもあったので、反ってAZUKIの歌詞の深さを見逃さずにいれたのかもしれない。
中音域であったが、高音は透き通るほど美しい裏声を使うので、より神秘性を醸し出していた。
個人的にはデビュー~2003年あたりの歌声が好きだが、彼女も年齢と共に限界があったのか歌い方を変えていったようだった。(それはそれで、ロングトーンやビブラートといった技術が磨かれていたので、なんの不満もなかったが。)
当初歌手を目指していなかった彼女だからこそ、声量も正直なかったし、技術も少なかった。しかし、それも含めてGARNET CROWの楽曲の魅力であった。
私は積極的にGARNET CROWを人に勧めることは少ないが、もしその機会があれば、「Cried a little」という曲を勧めるだろう。
ファンから「もっと適したのがあるだろう」と言われそうだが、中村由利の全てを物語るのはこの曲だと思っているからだ。
この曲は、音があちこちにいくという印象…で伝わるだろうか…。聴くと納得して頂けると思うので、是非聴いて頂きたい。
この”音があちこちにいく”という印象は、Aメロからサビまであり、一定に留まらない面白さと、サビでは高音も入り、この曲の朧げな儚さを感じることができる。
歌い方も、ファルセット以外の技術は存在せず、静かな歌い方で更に曲の雰囲気を作り出している。
彼女の生み出すメロディは、毎度どこか後ろ暗さを感じさせる、ネガティブな印象の曲が多い。その為、タイアップなどで表に出す、明るめのアップテンポの曲だとどこか違和感を覚えてしまうのだ。
そしてカップリング曲の静かで、儚い曲の魅力がグンと上がる。
私はGARNET CROWを説明する時に「ネガティブとポジティブの化学反応」と説明することがある。
ネガティブなメロディに、ポジティブな歌詞が乗ることで「ダークで神秘的な世界観」が生まれていたのではないかと思うからだ。
そして、表に出る「無理矢理なポジティブなメロディとポジティブな歌詞」で作り出されたA面曲を聴いた後の、カップリング曲が引き立てられ、癖のあるGARNET CROWの曲が好きなファンたちにとって、カップリング曲の魅力に気付かされていったのではないかと私は考える。
A面曲ももちろん、素晴らしい楽曲は揃っているのだが、「GARNET CROWと言えば!」と感じる世界観を爆発させていたのはカップリング曲ばかりだったのではないだろうか。
 

ここからは、上記の文で出さなかった、
個人的にオススメしたいカップリング曲を厳選して3曲上げようと思う。
一つは、「夕立の庭」
これはピアノイントロも相まって、透き通った印象だが、「Cried a little」で説明したものと同様のメロディラインも存在する。ストーリー性のある歌詞を読みながら聴いて頂きたい。
二つ目は「Float World」
ただただ美しいメロディラインに、力強い励ましとも取れる歌詞。歌い出しの「衝動に任して全部終わりにしたくなる時ない?」という問いかけは、悩んでいる時の自分に優しく同情してくれるようで、いくつになっても落ち着く一曲である。
三つ目は「Maizy」
これは解散前のアルバム収録曲だ。
技術が磨かれた中村由利の歌声を堪能できるのもそうだが、サビに向かって徐々に主旋律が低い音から上がっていき、サビで爆発するような流れが、聴いていて気持ちいい。
歌詞が聞き取りづらいのでこちらも歌詞を読みながら聴いてほしい。よりこの曲の深みを感じるだろう。
 

2005年から2013年までの間、私はGARNET CROW一筋!というわけではなく、成長に連れ様々な音楽に触れていた。今も全くジャンルの違うアーティストを推している。
それでも、GARNET CROWの楽曲は、他の触れてきた音楽とは違い、不思議な音楽だと未だに思うし、彼らの音楽と似ている様なアーティストに出会っていない。
そして子供の頃、メロディと雰囲気だけで虜になっていた自分が、大人になるにつれ歌詞の深みを知り、感じ方の変化を味わうあたり、いくつになって聴いても新鮮に感じさせてくれるGARNET CROWの楽曲の素晴らしさに気付き、出会えてよかったな、と思うのであった。

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