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超特急の黄金時代が幕を開けた

ラクをしないで魂を燃やす決意

2019年は超特急の年だ。
去年末の11月に3rdアルバム「GOLDEN EPOCH」をリリースした。直訳すると『黄金時代』。メンバーが多くのメディア媒体でコメントしている通り、このアルバムで黄金時代を築きあげていく意味がアルバム名には込められているという。
 
 

アルバム1曲目のリード曲「need you」からすぐ、彼らがこれまでに歩んできた道のりとこれからの時代を進んでいく決意が感じられる。超特急は「ダサかっこいい」というコンセプトのもと、今まではPOPな楽曲に特徴的な振り付けをしオーディエンスにインパクトを与えるものが多かった。容姿端麗な6人組が、キャッチ―な曲を変顔しながらどこかダサい振り付けで全力で踊り歌うことで、私が彼らを初めて見たときは度胆を抜かれると同時にどこか親近感を覚えていた。
しかし「need you」はピアノイントロから始まり音数が少なく、従来の超特急にはなかった曲調だ。ボーカルの7号車タカシは儚げに力強く丁寧な歌い方をする一方、ダンサーの2~6号車は感情を爆発させるように踊る。そこにはダサかっこいい姿はなく、ただただ伝えたいなにかをダンスを通じて訴える姿にみえた。need youの振り付けはダンスリーダーの5号車ユーキが、欅坂46の振り付けなどでも知られるTAKAHIROと共作で考えているのだが、ユーキは「振り付けに結成当初からの想いをすべてぶつけた」と語っていた。Bメロではダンサーメンバーの歴代のセンター曲の振り付けを新しい曲から交互に展開していき、だんだん過去へと戻っていく。その後のサビでは歌詞がなく、音だけの空間の中でボーカルを含めた6人で踊る。メインダンサーバックボーカルグループという、過去にない唯一の道を進んできた彼らにしか見せることのできないパフォーマンスだ。
ミュージシャンは自分の伝えたいことは歌詞に起こし、曲を作り、私たちに届けてくれる。超特急は自分たちで、このリード曲こそは作っていないけれども、見てくれる人たちに伝えたいことをダンスとして最大限に表現し届けてくれる。そこには音を聴くだけじゃ伝わりきれない、見て感じるものが確かにある。私が元々超特急にハマったきっかけはフェスで彼らを見てそのパフォーマンスに圧巻されたからだったが、「need you」で改めてきっかけを思い出すことができた。今までのダサかっこいい路線を否定するのではなく歩んできた道を踏まえたうえで、新たな時代へ進もうとしている決意をこの楽曲から感じられた。
 
 

「GOLDEN EPOCH」を聴くうえで「超特急です!!!!!!!!」は外せない。この曲は6号車ユースケが初めて作詞作曲に携わった楽曲だ。元々2017年末のアリーナツアー時にファンクラブ会員限定で音源自体は発表されていたのだが、そこから約1年の時を経てようやくアルバムに収録され、多くの人に聴く機会ができた。私は2017年末に初めて聴いたとき、可愛い曲だなぁという感想だった。ユースケが言っていた“超特急を広げるための名刺代わりになる曲”という通り、歌詞にはメンバー1人1人の自己紹介が好きな食べ物と一緒に入っていたり、普段は歌わないダンサーのメンバーもセリフやコーラスとして参加していたりと、超特急らしくわちゃわちゃしている。曲自体はアップテンポな曲調で、ももクロなどの作曲家として有名な前山田健一が編曲していることもあり、コール&レスポンスが多く打てる終始盛り上がっている曲だ。一度聴くと耳から離れないサビ部分や、メンバーが歌うというよりは叫んでいる箇所もあり、聴いていると思わず笑いがこぼれてしまう。タイトル名でもある「超特急です」をコール&レスポンス部分では何度も歌わせるし、実際2018年末のライブでアンコールとして披露した際には、会場が一体となってコールしメンバーも体力をすべて使い切るほどのパフォーマンスをし、ライブ全体を通して一番熱狂の渦に巻き込まれていた。
だが、2回目3回目と繰り返し聴いていくうちに、ユースケの紡いだ歌詞や彼らの歌声から想いが伝わってきて、気づいたら涙がこぼれていた。今流行りの言葉でいうと「エモい」の一言で片付けられてしまうのかもしれないが、片付けたくない。エモーショナルだし感傷的で情緒溢れるけれどもそれよりももっと、言葉では言い表しにくい高揚感と加速感、そして威圧感を感じた。曲を聴きながら歌詞を改めて思い返してみると決して楽しいだけの曲じゃないことが分かる。自己紹介ソングではあるのだが、彼らの決意が痛いほど伝わってくるのだ。
 

止まらない 止まらない 君がいるから
見せたい景色が 溢れだして
ラクしない やり遂げろ 世界に届けろ
 

『ラクしない』という言葉を公言的に自分たちに言い聞かせるグループを初めて見たし、聴いたときに少し違和感を覚えた。ラクをする、ということ自体は悪いことではないと社会人になったとき会社の上司に教えられたことがある。普段の生活を過ごしやすく「ラクをする」ために、今までに存在しなかった新たな製品やアイデアは生まれ、私たちの日常はより便利なものへと進化してきた。世の中がIoT社会へと変化しているのは、人々が「ラクをしたい」ために環境が変わってきているのだと思うし、仕事ではラクをするために苦しんでいることが多々ある。
だが、ユースケは『ラクしない』ことを初めて作詞した曲のサビで伝えてきた。傍から見たらアーティストがラクをしているかしていないかなど分からないし、結局は自己判断だ。『手を抜かない』でもなく『サボらない』でもなく『ラクしない』という言葉で表現した彼は、私がいつも見ているブレのないそのままの姿で安心したし信頼できた。
また、ラスサビには次のような歌詞がある。
 

好きだから 好きだから やめられないの
僕たちの音楽を たくさんのピーポーに
広げたい 広げたい 世界に広げよう
唯一無二のチーム その名も僕たちは 超特急です
 

ユースケにとって超特急の活動はラクしないものであり、好きだからやめられないのだ。
やめられないほど好きで、ラクを望んでいない。この歌詞から単にグループ愛だとか売れたいだとかいう以上に、気迫や執念がひしひしと伝わってきた。語弊を恐れず言うと、超特急に対して必死にしがみつくと同時にこれしかないという縋る想いも感じられた。
また、その想いがあまりに大きくて受け止める側も覚悟が必要だと思った。メンバーが自分たちのファンのことを8号車と呼びいつも、8号車含めて超特急である、と言い続けてくれる所以を改めて痛感したのだ。
もちろんそこまで深く考えず覚悟を伴わない応援の仕方だって間違いではないし、受け手によって捉え方も変わるので大きく意味することではないのかもしれない。けれども私は、彼らが覚悟をもって表現してくれている姿を見て、こちらも負けたくないなと思うし広めたい気持ちが溢れ出てきてしまう。再度音楽文に投稿し語りたいという厄介な自己欲により、文を打つこの手は止まらず文章も拙くなってきた。グループに対してメンバーとファンお互いに熱があり、この良い意味での負けない緊張感こそが私が超特急を好きである最大の理由かもしれない。
 
 

去年の夏に発売した15thシングル「Jesus」のカップリング曲で「SAIKOU KOUSHIN」という曲がある。メンバー全員が分担して作詞に携わった楽曲で、超特急主催の夏フェステーマ曲ということで彼らがライブに対する心情を詩に起こしたと語っていた。
 

命を燃やすより魂を燃やせ
悔いなき選択をせよ
さぁ行こう 行進
俺らこそ唯一無二
心通わせ 最高更新
 

私が一番好きな歌詞で、リーダーの3号車リョウガが作詞したパートだ。『命を燃やすより魂を燃やせ』に、彼らのライブに対する感情がすべて込められていると感じた。精神論に近く、先ほどのユースケの『ラクしない』と通じる部分がある。ライブでパフォーマンスする彼らはいつだって全力全身でフルスイングだが、もっと根本的な魂の部分でも身を削っているのだろう。変化すると今まで付いてきてくれたファンが離れてしまうかもしれないけれども、変化を恐れていたら彼らの目標には届かないかもしれない。変わることと変わらないことは表裏一体であってどちらも同じくらい選択するのが難しい。その中で悔いなき取捨選択をし、夢を掴み取ろうと彼らを見ているとこちらの魂が揺れ動く。
 
 

高校生の時、スペシャのパワープッシュでTHE BAWDIESの「IT’S TOO LATE」を初めて見たとき衝撃を受けた。それまでもバンド音楽はずっと好きだったが、日本人でこんな声を出せる人がいることに驚いたし、何より迫力が凄くライブを生で見たいと思った。長野の田舎に住んでいた当時、片道4時間かけて高速バスで東京に来てリキッドルームで見たステージは10年経った今でもはっきりと覚えている。オーディエンスが各々音に合わせて好き勝手に踊って楽しんでおり、BAWDIESを初めて見られたことに感動したけれどそれよりライブハウスの空間に軽くショックを受けたのだ。周りは知らない人ばかりで普段の生活を過ごしていく中では決して出会わない人たちと、同じ音楽を共有し楽しむ。今まで知らなかった世界を悔やむと同時に出会えて良かったと心から思った。それはフェスで初めてスカパラを見たときも同じで、周りの目を気にしないでモンキーダンスする人もいればスカを踏んでいる人もいて音に身を委ねていた。慣れないうちは怖かったけれど、それでもライブ会場にいるときはどこよりも生きていることを実感したし日常を忘れることができた。
そんなライブに行き始めた頃のドキドキを再び思い出させてくれたのが超特急であった。魂が震えるライブは大人になっても味わうことができる。自分の知っている音楽が全てだったときに、まだ知らない世界を教えてくれ新しいレールに連れて行ってくれた。初見ではこんな火傷するくらい熱いレールが敷かれているとは到底思わなかったが、鈍行列車よりは暴走列車くらいがちょうどいい。超特急はグループ名を英語表記するときに「BULLET TRAIN」を使っているのだが、BULLET TRAINは直訳すると弾丸列車。魂を燃やしながら走り続ける弾丸列車は誰にも止めることはできない。
 

気持ち先走んな時代先走れ
僕らはまだ誰も走らないレールの上行くんだ

一緒に行こうよ 乗せて行くから
乗り遅れないでね
 

ライブのアンコール「走れ!!!!超特急」で彼らはいつも導いてくれる。最高を更新し、探し求めていたものを掴んで進む全盛期は今だ。超特急の黄金時代はもう始まっている。

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