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29歳女。初めての転職と高橋優。

高橋優「リーマンズロック」

高校を卒業してから10年半働いた会社を辞めた頃だった。
高橋優に出会った。

それまでバンドサウンドばかり聞いてきた私は、ギター一本、一人で歌う彼の歌をなんとなく聞かず嫌いしていた。
しかし、ひょんなことから高橋優も私の好きなアーティストのファンだと知り、勝手な仲間意識で彼の音楽を聴き始めた。
 

当時リリースされたばかりの「来し方行く末」というアルバム。
歩んできた人生とこれから歩んでいく人生を表すそのタイトルが、人生初の転職をして新しい職場で働き始めたばかりの自分と重なった。

テレビで見る彼は「明日はきっといい日になる」と明るい励ましの言葉を歌うイメージだったが、彼の紡いできた音楽に触れるほどそういう面だけではないと知った。

とにかく彼の知らない一面が知りたくて過去の作品、レギュラーラジオをチェックし、気づけばライブチケットを購入していた。
 

2016年12月21日(水)大宮ソニックシティ

初めて生で聴くと彼の歌声はCDよりもさらに力強かった。
彼には“リアルタイムシンガーソングライター”という肩書きがあるが、まさに今を生き今を歌う生々しい高橋優がいた。

そんなライブの最後に披露された「リーマンズロック」で私はボロボロに泣いていた。
 

“午前4時に起きて吐いてもう眠れなくって”
 

私はそれまで販売の仕事をしていた。
気づけば10年以上の月日が経ち、いつの間にかマネージャーの肩書きがつき、中間管理職になっていた。
21時の閉店後は部下の仕事を手伝い、見送る。
それから自分の仕事を片付け帰宅するのは午前0時をまわる頃。
慌てて夕飯を食べ、お風呂に入り2時頃就寝する。
やっと寝たのに明け方目が覚める。

“何でかわかんない涙と一緒に夜明けを待つ”

そんな日々を過ごした。
 

“出勤してから5秒で怒鳴り散らされて
 何でかわかんないまんまに頭を下げてる”

そんな経験もした。
 

“得意分野じゃないなんて言い訳はきかない”

部下を不安にさせられない一心で、得意じゃないことも出来るように振舞った。
何で私が・・・と思うことも引き受けた。
 

歌詞の一文一文がまるで自分のことを歌っているように感じた。
私はその仕事を辞める決断をしたけど、私のこれまでの孤独や苦しみが救われた気がした。
誰かにわかって欲しかったから。
 

“ロックンロールを大音量で聴くのが好きだ
 歪むエレキに癒されるこのひと時が好きだ
 ワイシャツの中で燃える熱い魂は
 人目をちょっと嫌うので密やかに叫んでる”

バンドサウンドが好きで仕事が休みの日はライブハウスに足を運び大音量で音楽を浴びる。
平日はその熱い思い出を胸にひたむきに頑張る。
私の生き方そのものだった。

同時にきっと一緒に働くあの人も、街ですれ違う知らないサラリーマンも、胸に熱いロックを燃やしながら日々を耐えてるんだと気づいた。
高橋優だってそうだろう。
同じように頑張っている人達のことを思うと不思議と勇気が湧いた。
 

“明日も会社に行こう 生きていく誰かのために
 会社に行こう 生きている証を刻むために”

“さあ胸を張れ 生きていけ”

新しい環境に飛び込んで不安だらけの日々を過ごしていた私の“お守り”のような曲になった。
 

“今日も会社に行こう
 生きていくお金のために”

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