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B’zが31年目に見せた、目に見える変化と期待

どれだけ愛していても、ファンがアーティストの動きを予測することは不可能だ

2018年にデビュー30周年を迎え、ヒット曲中心の特別なセットリストが組まれたPleasureツアーや27年ぶりに行われたハワイでのファンクラブイベントなど様々な活動を終えたB’z。Pleasureツアー終了直後に発表された情報通り、2019年はアルバムをリリースし、それを携えたツアーをいつものように行うのだろうと思っていた。そう、いつものように。

忘れていたのだ。彼らが常に変化を求めるアーティストであり、その変化から我々ファンはいつも新しい音楽を楽しませてもらっていたことを。

1月も終わろうとしていた頃に待望だった2019年のLIVE-GYM開催が発表されたのだが、その知らせにファンは歓喜と同じくらい動揺することになった。B’zのライブは、開催と同時にサポートメンバーも一緒に発表されるのが通例だ。近年はずっと固定されたメンバーで、長くてキーボードの増田隆宣で初めてB’zのサポートについてから26年、外国人メンバーであるドラムのシェーン・ガラースは16年、ベースのバリー・スパークスは15年と長くB’zのサウンドを支え続けてきた。短くてもギターの大賀好修で7年だ。二人もインタビューで「今が最高のバンド」と言った過去もあることから、しばらくはこのメンバーで活動していくのだろうと思われていた。

しかし、酷な言い方をするかもしれないが、サポートはあくまでサポートである。主軸にいる二人が求めるサウンドが変わればそれに合ったメンバーを新たに選ぶことは至極自然なことだ。そのことを忘れていたのだ。

30年を経過しても自分たちの音楽に着地点を設けず、新しい音を探し求めていた。それを行動に移したということなのだろう。よく稲葉浩志はストイックだと言われる。しかし、実際には稲葉浩志だけでなく、B’zという母体そのものがストイックに音楽を追求し続けているのだ。

一旦は今までのメンバーとは離れることになる。しかし、必要になったらまたその名前をB’zのツアーサポートメンバーやCDのレコーディングクレジットで見ることもあるかもしれない。サポート経歴の長さは関係なく、欲しいと思った音を取り入れる。彼らはそういう人間なのだ。

それを象徴するのが、今度新しくツアーのサポートメンバーに選ばれた人物の名前だ。ドラムのブライアン・ティッシーは過去にB’zのレコーディングや、ギターの松本孝弘のソロプロジェクトTMGのレコーディングに参加している。また、ギターのYukihide”YT”Takiyamaは元々氷室京介のツアーサポートとして活動しており、氷室からの紹介で2017年に発売した「DINOSAUR」のメインアレンジャーとして関わっていたこともある。
キーボードのサム・ポマンティも同様に同アルバムの「SKYROCKET」と「ルーフトップ」でキーボードではないものの、バックボーカルで歌入れに参加した経歴がある。

この三人は過去にB’zと仕事上で関わりがあり、今回ツアーサポートとして選ばれたのだ。メンバーを一新しようという話をした際にきっと、しっくりきてオファーをしたのだろう。そうなると、これから変化を見せるB’zの音楽をより強固なものにしてくれるはずだ。

B’zとの共演は初めてとなるベースのモヒニ・デイは、まだ20代前半でありながら3歳からベースを習っており、スティーブ・ヴァイなどのミュージシャンと共演経験がある実力を持っている。
ここで思い出したのが、稲葉浩志のソロプロジェクトである。2014年と2016年に行ったソロツアーで稲葉はサポートメンバーにギタリストのDuranとJUON、ドラムにSATOKOを起用している。JUONとSATOKOはFUZZY CONTROLのメンバーとして活躍しており、Duranも現在はEXILE ATSUSHIが率いるバンドRED DIAMOND DOGSのメンバーとしても活躍するなど、それぞれの技術力の高さが国内でも知られている。
この頃から稲葉は若手の才能に注目していることを強く表に出すようになった気がするのだ。今回のモヒニ・デイの起用もその視点を生かしたものかもしれない。

私が今回の発表で戸惑ったのは、今回のサポートメンバー一新がここ最近で一番“目に見える形での著しい変化”だからかもしれない。もちろん、これまでにもB’zの音楽は幾度となく変化をしてきた。しかし、サポートメンバー4人のうち3人、増田・バリー・シェーンが揃ってからはもう15年以上経つ。B’zは現在デビュー31年目に突入しているわけだから、その歴史の半分だ。今思えば、その間に起こったサウンドの変化はマイナーチェンジのようだった。
マイナーチェンジを繰り返す車は、いずれフルモデルチェンジをする時が来る。31周年を迎えて、B’zが取った行動がフルモデルチェンジだったのだ。時代のニーズに合わせて流されるのではなく、自らに変化をもたらすことで新章に入ることを決めたのだろう。

2019年3月現在、まだCD化されていない楽曲で『兵、走る』という新曲がCMで使われている。この曲には

『ゴールはここじゃない まだ終わりじゃない
やむことのない歓声 あなたは先の方 ずっと先の方
追いつきたいなら今はトライ』

というワンフレーズがある。
これはリポビタンD ラグビー日本代表応援ソングとして書き下ろされたものだが、B’zの活動姿勢そのものにも通ずるものがあると私は思う。

アーティストとして活動していく以上、リスナーの歓声を浴びることは重要だ。そのためにいつも新しく、心をつかむ音楽を生み出す必要がある。
30年間ただ同じような音楽を演奏しているだけでは、ここまで長く支持をされることはないだろう。彼らはきっといつまでも自分たちの音楽にゴールを作ることはないと思う。頭の中にある音を形にするために走り続けているのだ。
彼らが見据える“音楽家としての高み”はもっと先の方にあり、トライをラグビー用語というより言葉の意味そのもので捉えると、その高みへたどり着くためには何事もトライ=試すしかない。
このワンフレーズに、私はこういったB’z自身の音楽に対する姿勢を垣間見た。

長く慣れ親しんだメンバーが一斉に変わることに対する驚きと動揺をすぐに治めることは難しいかもしれない。しかし、それによって今まで聴いたことのなかった真新しいB’zを見聞きすることができるのは確かだ。既に2019年はツアーの詳細が発表されているほか、アルバムのリリースも予告されている。その新しいサウンドをじっくり堪能できる時ももうすぐやってくるだろう。

時代のブームに流されず、自分たちの頭の中にある要素を取り入れて生み出した新しい音楽を使って、きっとこれからもB’zは私達ファンを…いや、日本のロックシーンを更なる高みに連れて行ってくれるはずだ。

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