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2017年5月29日

クローバー (29歳)
40
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美しく凶暴な大人たちへ

THE YELLOW MONKEYの居ない10年を過ごした私の話

私が吉井和哉の音楽を聴き始めたのは2006年リリースのアルバム「39108」だった。
そこからじわりじわりと吉井和哉の沼にハマり、気がついたら頭の先まで沈み、もはや自力で浮上することは不可能な状況にあったし、浮上する気すら無かった。

吉井和哉が好きな私にとってTHE YELLOW MONKEYは触れてはならないものだった。リアルタイムに聞いていない上に、後から追いかけたバンドの歴史、吉井和哉の自伝で語られる当時の出来事、映画「パンドラ」の中の彼らの姿、その全てが私にとって重く、暗く、悲しかった。
「このバンドは2度と帰ってこない」
戻らないものを求めて悲しむくらいなら最初から欲しくない。そう思っていた私はTHE YELLOW MONKEYを自ら避けて通った。

吉井和哉の音楽のルーツを辿る時、その歴史の教科書の1つとしてTHE YELLOW MONKEYの音楽があった。私にとってTHE YELLOW MONKEYはそれ以上でもそれ以下でも無かった。
THE YELLOW MONKEYを知りたい時、簡単なのは数多くリリースされていたベストアルバムを聴くことだ。私にとってTHE YELLOW MONKEYとはベストアルバムの中にいるバンドだった。
オリジナルアルバムは聴けなかった。当時の私にとってそれは聴いてはいけないものだったのだから。
数あるベストの中でも2013年にリリースされた「イエモン」は良い教科書だった。1枚で彼らのキャリアの歴史を味わうことができたし、メジャーな曲からアルバム収録曲までカバーされ、ライトリスナーの私が「ちょっと今日イエローモンキー聴きたいな」という気分の日にはちょうど良かった。
2016年1月8日までは。

2016年1月8日
その日はやって来た。
それまで見て見ぬ振りをして来たTHE YELLOW MONKEYととうとう対峙しなければならい時が来たのだ。
再集結。
私自身がTHE YELLOW MONKEYに向ける疑いの目。
「あなた達、死んでしまったのではなかったの?」
抗えない大きく強く鮮やかな流れに巻き込まれて2016年の私は思考、生活、金銭の大部分をTHE YELLOW MONKEYに費やした。
10年もの間ベストアルバムの中にしか存在させなかったTHE YELLOW MONKEYは確かにそこに存在したし、私の想像を遥かに超える美しさと凶暴さで襲いかかって来た。
彼らは確実に生きていたのだ。
恐ろしいことに、日を追うごとに私はTHE YELLOW MONKEYに陶酔していったし、THE YELLOW MONKEYは進化し続けた。
気づいたらTHE YELLOW MONKEYは私にとっても日本にとっても当たり前の存在になっていた。

2017年デビュー25周年を迎えたTHE YELLOW MONKEYは「イエモン」の新録「THE YELLOW MONKEY IS HERE NEW BEST」を発表した。

2016年の1年をかけて行われたライブと、私自身による過去の作品の復習でギラギラしたTHE YELLOW MONKEYに慣れきった耳に、あまりにシンプルな新録は新鮮だった。
そして、そのシンプルさはTHE YELLOW MONKEYの楽曲の持つ力とメンバーの持つ力の大きさを際立たせた。
もちろん、その曲が生まれた当時はその曲を作りたい時、作らねばならない時だから「勢い」や「熱」はその時とは違う。
時間が経って大人になった彼らが奏でた曲達は美しく優しく強かった。
最初の1音であまりの楽しさに笑ってしまったし、途中、息をするのももったいない瞬間がいくつもあった、アルバムを聴き終わる頃には自分でも理由のわからない涙がボロボロ落ちていた。
生きたTHE YELLOW MONKEYがそのまま音になった。THE YELLOW MONKEYはここにいる。まさにそんなアルバムだった。
2017年の最新作「ロザーナ」で歌った通り16曲を「キレイな色で塗り直した」のだ。
 

「39108」収録の「WEEKENDER」にこんな歌詞がある
「遠回りしても 良かったと言える 大人になりたい」
2006年、大人になりかけていた私を捕まえた言葉が11年後に繋がるなんて思いもしなかった。
THE YELLOW MONKEYは盛大な遠回りをして大人になったのだ。
それも美しく凶暴な大人に。
本当にタチが悪い。
それでも私はTHE YELLOW MONKEYがここにいる美しい日々を生きる。

おかえりなさい、THE YELLOW MONKEY。

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