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寂しがり屋で不器用で優しい君へ

ココロオークション「VIVI」リリースに寄せて

4月3日にリリースされたココロオークションのミニアルバム「VIVI」。自らに向けて放った言葉が、光が、強さが、乱反射して誰かを照らす光になる。それはとても素晴らしくて美しくて、そして驚くべきことだ。ヘッドホンの向こう側にいる、かけがえのない「君」に音楽を手渡し続けてきたココロオークションだからこそ歌える歌が、ここにはあった。

ミニアルバムの幕開けは「RUN」。Vo.Gt.粟子の歌い方がこれまでとまるっきり違う。「ギラッ」としている。めちゃくちゃかっこいい。Ba.大野の「今までの積み重ねとか、成功とか失敗とか全部ひっくるめて前に進んでる曲達ができている」という言葉の意味が、曲を聴いたらわかった。彼らのここまでの道のりが平坦ではなかったからこそ、“信じた正しさを貫ける勇気は 自分の中にしかない 世界にひとつの靴で走れ”という歌詞が嫌みなく確固たる説得力を持って胸に届いた。

 二曲目は「アイデンティティ」。イントロのベースで持っていかれた。あなた自身の思うところこそが大切なのだ!というストレートなメッセージソング。生きていたらいろんな声が聞こえてきて、自分の感じ方や正しいと思うこと、進みたい道、美しいと思うものに自信が持てなくなってしまうことがある。「RUN」で“誰とも比べなくたっていい これまでの歩みは間違いじゃない”と歌っていたように、ここでも“人と違うことは みんなそれぞれにあって 不安になって悩むのは 誰もが同じだ”とココロオークションは、 人と違うことを不安に思わないでいいんだよ、と私が私でいることを肯定してくれる。

ここで登場するラブソング「ハンカチ」。恋のいいところを詰め込んだような一曲。すべての行動の中心が好きな人になったり、好きな人のやることなすこと全部可愛く思えたり。思わずにやけてしまうくらい、可愛らしい。世の中にはラブソングがたくさんあるが、ココロオークションの書くラブソングは本当に気持ちが良い。

ドラマ『マジで航海してます。~Second Season~』のエンディングテーマとして書き下ろされた「向日葵」。夏の歌だが春も似合う。4月、新生活が始まる人もいる。自分の希望していた進学先や就職先に進む人もいれば、希望とは違うところで働く事になった人もいるだろう。私はこの曲を後者、「希望とは違う場所に立っている側にいる人」に是非聴いて欲しい。前に進めていない気がして焦って、この日々を過ごしていいのか、無駄にしてるんじゃないのか、不安に襲われる日々の中「大丈夫 ちゃんと進めている」という歌詞に、救われた。うつむいた時に手を差し伸べてくれる曲は自分を守ってくれる。

続く「手のひら VIVI Ver.」。アコースティックギターの音が鳴って窓から柔らかい風が吹いた。アーティストというのは続けていけばいくほど、「~節」というものが板に付いてくる。いわゆる「ココロオークション節」が炸裂しているのがこの一曲だ。

 ミニアルバムの最後を飾るのは「タイムレター」。“ロックバンドを組んだ ロックバンドを組んだんだ”、という一度聴いたら忘れないサビ。人の心をプラスの方向に持って行ってくれるような、それでいて決して上から目線なんかではなく、同じ場所に立つ人から「与える」歌だった。

前作Musicalの中で彼らは「生き様を鳴らせ 傷跡を誇れ 世界にひとつの 君のミュージカル」(「Musical」)と歌っていた。この曲に繋がるのがこの「タイムレター」であると思う。実際に生き様や傷跡を歌にして、「君にしか歌えない歌」を奏でる。今日AIの台頭について毎日のようにニュースで取り沙汰されているが、そんな中で生身の人間が曲を作って演奏するということの面白さの一つは音楽の向こうにそのバンドの人なりが見えることだろう。この一枚をお守りみたいに抱きしめて大事に持っていたいと思う人が、きっとたくさんいる。

今回のミニアルバムのタイトルとなっている「VIVI」。ラテン語で「生きていること」という意味を指す。Vo.Gt.粟子が先日大阪・BIGCATで行われたライブで、「ライブをしている時にはじめて生きてるって思えた。聴いている人たちにも、音楽でそういう気持ちになってほしいと思いながら歌っている」と言っていた。ちょうど一年前にリリースされた前作、「Musical」でも日常の景色と刹那の景色のコントラストに「生きることとは」という命題を乗せていた。あなたも生きているし、僕も生きている。そのことを認め合うために、彼らは音を鳴らすのだ。ココロオークションのロックはそんなことを伝えているように感じた。

5月からは今作「VIVI」を引っ提げ全10公演に及ぶ全国ツアーが始まる。5月3日、金沢はGOLD CREEKを皮切りに始まる今ツアー。彼らの夢は「日本中、世界中に音楽好きな人を増やすこと」。靴紐はしっかりと結ばれた。準備は万端。この一枚を持って、私たちは夢の続きへ進んでいける。

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