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大好きなロックバンドTHE NOVEMBERSとの出会い

THE NOVEMBERS “ANGELS” ONEMAN TOUR 2019に寄せて

 好きなバンドやアーティストや音楽ライターのツイッターを見るのが好きだ。何かに不安だったり迷っていたりモヤモヤしている時に素敵なツイートを見ると、笑わしてくれたり考えさせてくれたり鼓舞してくれたりするからだ。でも、何より一番楽しみで嬉しいのが、レコメンドされているバンドやアーティストについてのツイートである。そこで紹介されているバンドやアーティストのMVや音源から、新しい音楽との出会いが生まれるからだ。もし、それで大好きなバンドやアーティストができれば、音楽人生に新たな光や希望が生まれるし楽しみが増える。
 THE NOVEMBERSは、そうして出会った大好きなロックバンドだ。

 THE NOVEMBERSについては、それまで名前を知っていはたが曲をしっかりと聴いたことはなかった。たまたま、好きなライターのツイッターを見ている際「BAD DREAM」という曲が紹介されていて、その音源を聴いてみたのが出会いの始まりだ。その曲のイントロ数秒を聴いただけで何かワクワクゾクゾクするモノを感じてニヤニヤとした笑顔が溢れてしまった。問答無用にロックで、声も含めた音、メロディ、構成、雰囲気が自分の好みにマッチしていて何度も繰り返し聴いた。
 そこから、THE NOVEMBERSのHPやツイッターを見る頻度が増えた。新譜の『ANGELS』がリリースされるタイミングで「BAD DREAM」以外にも数曲アルバムの中から聴けたのだが、そのどれもが素晴らしいクオリティで美しくて楽しい。過去の曲についても聴いてみたが、今まで彼らにアクセスしてこなかった自分に後悔するくらいにカッコイイ。新譜のツアーがリリース後にあり、日程的にツアーファイナルが自分が参戦できる日だったので、チケットを取りアルバムを買ってライヴの日を楽しみに過ごした。

 4月6日@マイナビBLITZ赤坂で行われた新譜『ANGELS』を冠したツアーファイナルは、凄まじいライヴだった。
 客電が落ちると『ANGELS』の1曲目の「TOKYO」のドドドドというイントロが流れ出し、下手から上手に流れていく紫の照明の中、バンドメンバーが1人ずつ登場。衣装は黒系がメインでビシッと決まっていたが、最後に登場したVo/Gtの小林祐介はオールバックの髪にサングラスにモッズコートで格好良さにプラスしてエロさも醸し出し、フロントマンとしてさらにビシッと決まっていた。メンバー全員が登場したところで曲が進み照明も変化していく。構成も完璧だ。Gtのケンゴマツモトは曲の序盤ギターを持たず、スティック2本を持ちタムを打ち鳴らす形で、僕はそれを見ただけでRadioheadの「There there」のライヴ時のジョニー・グリーンウッドが頭の中に出てきてしまい、ニヤニヤしてしまった。実際今日の彼のプレイを見ていて、超絶的で音数の多いギタープレイをするのではなく、エフェクティブな音色で曲に彩りを与えたり指やピック以外でギターを鳴らす奏法を見たりすると、やはりジョニー・グリーンウッドに見えてくることがあった。「TOKYO」のブレイク時には観客から歓声が上がり、曲をさらに盛り上げていく。曲の終盤では最初淡々と怪しくエロく歌っていた小林が声を張り上げていきバンドの演奏も激しさを増していく。その激しさも、打ち込みの音が含まれる「TOKYO」では、我を忘れたノーコントロールなモノではなく、特にDrの吉木諒祐のドラミングとBaの高松浩史のリズム隊が、非常にタイトなプレイで曲の表現の土台を支えていた。ちなみに、Baの高松は、今日のライヴでよくコーラスをとっていたのだが、音程、声量もこれまた非常にタイトで、小林の声との親和性が非常に良く、ハモりがこんなに上手いベーシストを、僕は初めて観て感動した。1曲目から僕は昇天させられた。2曲目の「Zoning」では演奏の激しさから小林のサングラスが取れて、目元を赤くメイクした顔が現れる。偶然に起こった何気ない出来事だが、それすらも格好よく見えてしまうのは、小林の仕草1つ1つが理由もなく格好いいと思わせるロックスターの才能を持っているからだと思う。その後の別曲演奏時に起こったマイクトラブルでは、機転を利かせて隣のベースのマイクを使い歌を観客に届けた。その姿勢と、トラブルすらも味方にしてしまう彼の表現がいちいち格好よかった。
 ライヴでは、hide with Spread Beaverの「HURRY GO ROUND」のカバーも演奏され、『ANGELS』というツアーでこの曲をやる意味を考えさせてくれる場面もあり、選曲も完璧だと思った。続く「Everything」「plastic」「Misstopia」「Hallelujah」の演奏は、音としてはクリアでソフトな印象で、バンドの曲の振り幅の大きさを改めて実感した。ただ、単純にソフトというわけではなく、必ずどこかに痛みや歪みや苦味の存在を音の中に感じるのは、バンドの表現の根幹がそれらだからと僕は考える。
 ライヴのハイライトは終盤に訪れた。『ANGELS』収録の「DOWN TO HEAVEN」から「BAD DREAM」の流れだ。「DOWN TO HEAVEN」はモコボコっとした不気味でポップなイントロから、Aメロは淡々とした感じで歌う小林の声とバンド演奏が、サビでは大爆発して気持ちよすぎた。Gtのケンゴマツモトのおどろおどろしい低いハモりも完璧で、2番目のAメロの途中から出てくるギターのアルペジオは技術的には難しいモノではないと思うが、これがあるとないとでは曲の色や良さや気持ちよさが全然変わってしまうくらい最高のアルペジオを奏でていた。曲終盤、小林の悲鳴のようなシャウトが爆発する。この悲鳴のようなシャウトはTHE NOVEMBERSを知って初めて聴くシャウトで、小林しかこのシャウトはできない天性のシャウトだと思う。「BAD DREAM」は、ライヴで体感できるだけで幸せだった。声も含めたバンドの音と打ち込みの音の混ざり具合が絶妙すぎる。曲を聴いた時に感じたロックに不可欠な大胆不敵さも見事に表現されていた。曲は攻撃的だし、メロディはよく言われている泣きメロというものではないけれど、ロックが大好きな者として、僕は「BAD DREAM」にロックの希望を大いに感じ、喜びの涙を流した。ロックで歌われる絶望やネガティヴィティは、希望やポジティヴィティも表現している。それを、こんなに強く感じたのはいつぶりだろうか。
 小林が特別と思っていると言って演奏された「Close To Me」。

 チャイニーズ・レストランで
 美味しいものを食べたら
 すぐに優しくなれて
 なんとなく虚しい

 悲しみの全部を
 鞄に詰めて
 息切らして何処へ
 運んでいこう
 おろす場所なんてない
 渡す人なんていない

 (中略)
 
 悲しみの全部を
 鞄に詰めて
 昨日までの全部を
 両手に抱えて
 花に変えられたら
 羽に変えられたら(「Close To Me」より引用)

 バンドの音は浮遊感のある、それこそ歌詞に出てくるような花や羽をイメージさせる。生きることで生まれる、悲しみや虚しさを優しく包み込むように非常に丁寧に歌う小林の声が沁みた。
 ライヴ本編最後の「ANGELS」。歪んだベースリフの始まりが格好いい。間奏やアウトロでは、ファズをぶちかました轟音ギターを轟かせる。小林はフロントマンだが、がんがんギターを弾いて(他の曲ではギター・ソロも弾いていた)ロック・スターのオーラを輝かせていた。ギターをこんなにがんがん弾くフロントマンはなかなかいないと思う。僕は何だかその雰囲気が、オーラが、プレイスタイルは全然違うけどデヴィッド・ボウイと重なって仕方なかった。

 リズムに合わせて
 呼吸を合わせて
 やっぱ合わないなってところを
 愛すのさ
 ちょっといいかげんくらいで
 別にかまわない
 さあ歌おう
 天使たち
 
 さあ踊ろう
 天使たち(「ANGELS」より引用)

 はっきり言って、他者に対して不寛容になりすぎている国、社会、人、何より自分自身。歌詞は優しく歌われているはずなのに、心に頭に突き刺さる。最高にロックなメッセージだ。ロックで歌われる希望やポジティヴィティは、さらに大きな希望やポジティヴィティになる。

 バンドの演奏、音響、照明、グッズ、ロックバンドとしての説得力、何から何まで現在の『ANGELS』モードのTHE NOVEMBERSを味わうことができた最高のライヴだった。たまたま見た好きなライターのツイートで大好きなロックバンドと出会うことができた。『ANGELS』というかけがえのないロックアルバムを手にすることができた。僕の音楽人生がより豊かで楽しいモノになった。同時にこれは音楽の神様が僕とTHE NOVEMBERSを必然的に出会わせてくれた運命とも思える。嬉しすぎる。まだ、ライヴの余韻が体の中を駆け巡っている。THE NOVEMBERSの次のライヴに参戦できる日を、次の作品に触れられることを非常に楽しみにして『ANGELS』を聴き続けたいと思う。ありがとう、ツイッター、好きな音楽ライターさん、音楽の神様、THE NOVEMBERS。

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