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King Gnu追加公演ライブレポート@なんばHatch

疾風怒濤の“ロックの初期衝動”!King Gnu初期の集大成ライブは伝説になるだろう

時間と空間に“ロックの初期衝動”の密度があるとしたら、間違いなく4月15日の大阪なんばHatchは地球上でもっとも高密度だったと確信する。

King Gnuは現段階でまだアルバムを2枚しか出していない。ライブで披露されつつ未発表の音源を含めても、90分のライブがギリギリ成立する曲数である。必然的にワンマンライブでは既発の全曲が演奏されることになる。

この段階で開催された“Sympa”ツアーには東京・大阪での追加公演が加わった。本公演のファイナルが4月12日の新木場 STUDIO COAST。その3日後が大阪なんばHatchでの追加公演である。「少しだけ内容を変える」という常田大希のアナウンスがあったが、たった3日で何を変えられるというのか。

結果は激変。いや、演奏曲は変わらず、曲順が多少入れ替わり、アコースティック演奏がなくなっただけである。それだけなのに疾走感が格段に増し、ひとつのライブとしての完成度がぐっと高まった。さながらアルバム『Sympa』のごとく。まさにKing Gnu初期の集大成。“ロックの初期衝動”のかたまり。疾風怒濤のライブだった。

“トーキョー・ニュー・ミクスチャー”を掲げるKing Gnuの強みは多様性にある。本公演ではアコースティック・コーナーが設けられ、井口理の独特なMCが随所に挟まり、ジャズテイストなサウンドやアットホームな雰囲気に酔いしれる“間”があった。

その“間”は、セッション出身メンバー3人を擁するKing Gnuの真骨頂ともいえる豊潤なひとときであり、メンバー同士が仲の良いKing Gnuだからこその微笑ましい楽しみだった。ただ、既発曲を中心にしながらもひとつの作品としてドラマチックな世界観にまとめ上げた名盤『Sympa』を世に放った常田なら、ライブとしての統一感やまとまりをもう少しもたせたかったはず。

「少しだけ内容を変える」の真意はこの対策かと思われた。あるいはツアー中に常田が新プロジェクトmillennium paradeを始動させたことで、ロックバンドKing Gnuの方向性がより明確になったのかもしれない。

「Sympa Ⅰ」のSEをきっかけにメンバー4人が登場したあとは、「Slumberland」から「It’s a small world」までの13曲がほぼ一息だった。多少の挨拶と曲紹介、曲終わりの決め台詞“センキュ”を挟むくらいで、長いMCはなし。この畳みかける展開こそがロック色を強めた。

おかげで「Hitman」のイントロにあたる常田のシンセソロが、束の間の静寂のごとく美しく響き渡った。音源化が待ち遠しいジャジーなアッパーチューン「Vivid Red」から、勢喜遊の爆発的なドラムソロに至る流れでは、一瞬でヒップホップの聖地ブロンクスに飛ばされた。行ったこともないのに。

ライブではおなじみの「Teeneger forever」では180センチの大男・井口がステージ中央で活きのいいエビよろしくビチビチ跳ねまくり、ぶっ倒れる始末。直後に本編ラストの「The hole」をしっとり歌い上げるなんて、ギャップ萌えにも程がある。変態好きが大喜びしてしまうではないか。新井和輝の落ち着いたMCに救われるパターンもすっかり定着した。

追加公演はロックバンドKing Gnuとしての改めての決意表明だったのではないだろうか。その意志を感じたのがアンコールラストに「Tokyo Rendez-Vous」をもってきて、ヘッドバンギングしたくなるほど激しい重低音のアウトロで締めくくったこと。

酔いしれている場合じゃない。本物のロックンローラーはこうだぜ!常田の声が聞こえた気がした。本能的な勢いではなく、意図的に“ロックの初期衝動”を演出するなんて誰にでもできることではない。ロック史に刻まれる名ライブ。King Gnuなら更新し続けるに違いない。

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