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新潟でMy Hair is Badを見た

過去はぜんぶ次回予告なのかもしれない

ツヤツヤのコシヒカリ、ノドグロの刺身、美味しい日本酒。ついでに観光しようと思って食べた美味しすぎる名産は全てただの予告篇になってしまった。
ファンタスティックホームランツアーのファイナル朱鷺メッセ。開場前に朱鷺メッセの31階にあった展望台へ行った。
五頭連峰の方を眺めてみると山頂はまだの白い雪が残っているのが見える。まだ雪が残っているんだという驚きと、My Hair is Badはここで育ったのかと感慨深いものを感じた。
ステージに現れた椎木、バヤ、やまじゅんの3人は雪山のような白いTシャツ姿だった。まだ何色にも染まらない白に新しい始まりを感じた。
「hadaka e.p.」はMy Hair is Badの新しい一面を感じたし、アリーナ公演も含まれるツアーだったので今回は新しい武器が見れるんだろうと思っていた。けれど現実は真逆だった。フラッとステージに入ってくるとこや、雑談のような緩いMC、大きい会場だからといってストリングアレンジをするわけでも、風船が飛んできたりするわけでもない。あくまでも普段通りだった。

印象的なのは“裸”だった。タイトル通り、身につけたものを全部脱ぎ去って、シンプルな音で勝負したMy Hair is Bad。“裸”は誤魔化しが効かない。ウソすらつけない。
あまりのシンプルさゆえに、少しでも誤算があれば台無しになってしまう可能性を孕んでいるはずなのに過不足を感じない。やまじゅんの力強いドラム、バヤの安心感のあるベース、椎木のギター、言葉がステージから心まで真っ直ぐに刺さった。

“フロムナウオン”も裸みたいだ。ステージにあるのは、ただ演奏のみ。裸は無防備なのに、脆弱さや心許なさを感じない。演奏の熱量、生まれたての言葉からは生身の人間の力強さを感じる。
椎木が自身の生い立ちを話したあと「こんなこと誰も予想してなかった」と叫んだ。
高校で組んだバンドが、生まれ育った場所の一番大きな会場で音を鳴らしてる現実。
まさにホームランみたいな一言だった。清々しくて、高揚感があって、最高だった。
「自分に価値をつけてくれるのは、他の誰かだ」
椎木の放ったこの一言はMy Hair is Badなりの感謝の言葉だと思った。
3人だけでは成立しない。ファンが増えただけでも成立しない。メジャーデビューしただけでも成立しない。マネージャーや、音響スタッフ、照明スタッフ、会場内のスタッフ、会場に来れなかったファンもそうだろう。
何か一つでも欠けてたらMy Hair is Badは朱鷺メッセのステージに立っていなかったかもしれない。彼らに関わったすべての人間がMy Hair is Badに価値をつけた。

照明の美しさが印象的だった。
シンプルな演出なのに、演奏の一コマ一コマが写真のようだった。
光には喜びや悲しみなんて書いていないはずなのに、たしかな喜怒哀楽を感じた。My Hair is Badの音楽も同じだ。ただ好きと表現するだけじゃなく、〈赤い首輪はついたまま〉と表現する。
直接的じゃない言葉を用いることによって、その愛をより深く感じる。照明に携わった人が彼らの良さを理解していて、My Hair is Badのことを愛していることが伝わってきた。
本編最後の曲は“夏が過ぎてく”。
「hadaka e.p.」の春みたいな優しさと切なさを孕んだMy Hair is Badもたまらなく甘酸っぱい気持ちになるけど、「昨日になりたくて」の持つ夏のようなガムシャラさのあるMy Hair is Badも大好きだ。
アンコールのとき、貰った風船を手にしてステージに戻ってきた椎木、バヤ、やまじゅんのラフさは、教室や部室にたむろする男子そのものだった。地元で和気あいあいと音を鳴らすMy Hair is Bad、かっこよすぎて逆に涙が出る。

「まだまだ挑戦していく」
椎木がそう言ってMy Hair is Badは熱狂を終えた。その後に配られたチラシには次のアルバムのアナウンスがあった。名前は「boys」。
「narimi」という1人の女性の名前から始まった女性に冠したアルバムから一転。まさに挑戦を感じるネーミングだ。
友達みたいな3人の男が鳴らす「boys」はどんな音がするんだろう。
発売日の6月26日になったら、五頭連峰の真っ白な雪は溶ける。木々の緑は夏が近づくほど更に深くなる。My Hair is Badの季節の変わり目に立っている。

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