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平成最後に全員で飛び出した監獄からの脱獄

SKY-HI JAPRISONツアーファイナル

平成の初めに生まれた私は、
初めて元号を変わる瞬間を迎える。
この30年で随分と便利になったとテレビの中で誰かが言った。

私がまだ学生時代だった10数年前
ネットショッピングをしようものなら
母に「危ない!」とものすごく叱られた。

そんな母が今はスマホを握りしめて
「今度ここで買い物したいから教えてほしい」
なんて言うもんだから、確かに時代の変化を感じたりする。
 

・・・・・・

<今の時代はSNSで、24時間誰とでも繋がっていられる。
こんなにも素晴らしい事は無いよ。
でも、その分自分の声を聞いてやる時間が減ったな>

The JAPRISONツアーで「New Verse」を歌う前に
SKY-HIが徐にそう切り出した。
 

(確かにそうだな)と私は思った。
私がまだ中高生だった頃、
SNSと言われるものは確かにあったけど
今ほど普及はしていなかったように思う。
それが大学生になった頃から少しずつ普及を始め、スマホの導入と共に一気に浸透した記憶がある。
 

アイコンを1つタップすればその先に誰かがいる。
「1人じゃない」という安心感は確かに常にある。
 

同時に「常に1人になれない」という状況にも
陥りかねないことを
当時、私たちは気がついていなかったんだろう。

携帯電話というものが普及してから
「笑」という文字を真顔で打つことも珍しくない。
泣き顏を送りながら、爆笑していることだってあるだろうし。

あまり考えたくはないけど
何でもない顔をしながら、
片手で誰かの心を、めった刺しにしている人もいるだろう。

いつでも、誰とでも繋がれる一人にはならなくて済む。
同時に、自分と向き合う時間が減り、表情と感情が、リンクしなくなる。

それが今、私が生きている世界なんだと思う。
 
 

続けてSKY-HIはこう話した。
<なんか辛いことがあるなあと思っても
もう、何に対してそう思っているのかがわからなくなってしまう>

<だからこの曲を作る時に、とことん自分に向き合って自分の声を聞いてあげたんだ。
そしたら、ものすごく傷ついてて。
根気強く聞いてやったら、ボロボロと吐き出してくるもんだから、そんな弱った自分や、嫌な自分を見て「嫌いになるかな?」と思ったんだけど…>
 

“自分のことがちょっと愛おしくなった”
 

そう言った時の彼の目は、表情がものすごく温かいものだった。

・・・・・・

今回のツアータイトルの「The JAPRISON」のJAPRISONは、
「JAPAN」+「PRISON(監獄)」と、
「JAPanese Rap IS ON」(日本のラップはイケてる)という
2通りの意味の造語からできている。
(SKY-HI公式サイトの紹介より)
 

開演前のSKY-HIのホールツアーのお楽しみの時間も
観客は、監獄の中に連れて行かれているという設定だ。

囚人達の点呼を行う最中、
囚人番号「1212」の姿がないことに気がつき、
脱獄した彼を監視員達が慌てて探し始める。
そんなところから始まるのが
1曲目の『What a Wonderful World!!』だ。
この楽曲は、ステージ一面に大きなスクリーンで映像を映し、演者の姿は見えない。

『What a Wonderful World!!』から
『Shed Luster』へと移る時、スクリーンが上がり
いよいよSKY-HI & THE SUPER FLYERSの姿が
私たちの目の前に現れる。

目の前に現れた
囚人番号「1212」であるSKY-HIの姿は、
両手には手錠をかけられ
黒のフードを頭からかぶり表情はほとんど見えない。

ただ、そのフードの奥に時折見える目の力強さには息を飲んだ。

両手を挙げ、
<Shed Luster on you 道に光りあれ>
(Shed Luster歌詞より)

そう言うと勢い良く手錠の鎖は引きちぎられ
彼の両手は自由となった。
 

畳み掛けられるように次々と曲が続く。
何よりも印象的だったのが、
SKY-HIのラップや歌はもちろんのこと
表情や、目、動きの細部にわたる表現力の高さだった。

きちんと両足で踏ん張って立っていなければ、
その迫力に飲み込まれそうなほどの圧倒的存在感。

1時間、止まることなく曲が続いた。
最後に1曲目の『What a Wonderful World!!』の続きを
歌うとSKY-HIはステージから去り1部が幕を降ろした。
・・・・・・

普段、体を動かし、リリックをかぶせながら
盛り上がる私だが
この1時間、体をほとんど動かせなかった。
むしろ、瞬きや1度開いた口を閉じる事すらも忘れていたようだ。
完全に魅入っていた。

印象的だったのは、比較的アルバムの曲順通りに
セットリストが組み込まれている事だった。
合間に今回のアルバム以外の楽曲も入っていたり
元々発表されていた曲は一部前後していたが。

・・・・・・

そして
SKY-HI Dancer(BLUE FLAP QUARTET)の
4名によるセンテンスの時間が始まると
先程まで私と同様に魅入っていた
会場のファン(FLYERS)も、うって変わって盛り上げに応戦する。

センテンスの最後に登場したSKY-HIが
自身の仲間であるSUPER FLYERSを紹介したのち

<SUPER FLYERS 、 FLYERS…
そして、It’s Me SKY-HI!!
“こんなイケてるチームなんざっ”>

と声をかけるとFLYERSもSKY-HIに合わせて
「他にない!」と声が掛け合ったところで『Snachaway』が始まった。

アップテンポの曲が続き
そこからは
今までのSKY-HIのライブを振り返る構成になっていた。

というのも、このツアーが終わったあと
彼の仲間であるSUPER FLYERSとのツアーが予定されていない。
これまで毎年、このメンバーでホールツアーを
5年間続けてきたから、
FLYERSにとっても、思い入れの強いメンバーである。

彼らとのこれまでのショーを20分、10曲連続メドレーとして披露してくれた。

SKY-HIが2017年武道館を終えた後に

<俺は自信あるわ。
何に自信があるかって俺にも自信あるけど
君たちに自信があるわ。

でもって、SUPER FLYERSの先頭に立つのが
俺しかいないって自信もある>
(SKY-HI TOUR 2017 “WELIVE”inBUDOKAN DVDより)

そう言っていた言葉を思い出しながら
色んなツアーでの思い出を噛み締めながら
この20分に詰め込まれた5年分の
SKY-HIからのスペシャルなショーをめいっぱい楽しんだ。

・・・・・・

そして冒頭で話をしたNewVerseへと繋がっていく。

私は話を聞きながら
自分の弱いところや、隠したい自分、
そして嫌いな自分を考えた。

ここで書ける程度の嫌いな所といえば
例えばこういう文章を書くのにも
語彙力もなければ、まとめる力もない。
書く時にもう少し感情豊かに書きたくても
どうもこのような書き方になってしまう。
そんな自分もまた、あまり好きではない。

そんな自分を一つ一つ束ねて花束にした。
なんて不格好な花束なんだろうと
思わず苦笑いしそうだけど、案外悪くないかもしれないと思った。

・・・・・・
いつの時か、SKY-HIが
「本当にかっこいいライブは音がなくてもかっこいい」と
ラジオで言っていた記憶がある。
その時はピンとこなかったが、
今ならその意味がわかる気がする。

きっとこのショーは、無音でもかっこいい。
でもそこに曲間の0.1秒…いやもっと細かくだろう
作り込まれた音が、
そして全ての力を注ぎ込まれたSKY-HIのラップや
SUPER FLYERSの演奏。

目から耳から、全身から感じとることが出来る
このライブにふさわしい言葉は一体なんだろうと
考えに考えたが私の語彙力では到底追いつかない。

「最高」や「幸せ」だけでは物足りない。
それ以上の言葉を探し続けている自分がいる。

・・・・・・

SKY-HIは、このJAPRISONのファイナルで
一旦SUPER FLYERSとの旅をお休みをして、

これから相棒でもある盟友、SALUと
アジアへ飛び出していくと言った。

「がんばるよ」そう言った彼の表情は
すごく幸せそうだった。

平成が終わって、令和が始まる。
SKY-HIの2章が終わって3章が始まる。

これは私も置いていかれないようにしなきゃな。

私の手元にJAPRISONのチケットが握りしめられている。

「鍵はこの手の中」

これがきっと、私にとっての鍵なんだろう。
どの扉の鍵を開けるかは自分次第。

私は、1つの扉の前に立っている。
この扉の先に何があるかは
まだ分からないけれど、うん。きっと大丈夫。
 

SKY-HIありがとう。
SUPER FLYERSありがとう。
FLYERSありがとう。
JAPRISONありがとう。

平成31年4月30日

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