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命を燃やして戦うアイドル

欅坂46、初の日本武道館公演初日

 2019年5月9日、日本武道館。この日は欅坂46、初の日本武道館公演の初日。いや、日本武道館公演のリベンジ、と言った方が正しいのかもしれない。本来は2018年1月31日から2月1日の2日間、欅坂46の日本武道館が予定されていたのだ。しかし、センター平手友梨奈の上腕三頭筋損傷というアクシデントがあり、欅坂46のライブは中止となり、代わりにけやき坂46(現日向坂46)が日本武道館でライブを行なったのである。
そのような経緯もあり、今回のライブは4月に大阪でも開催された“欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE”の東京公演を冠していたが、欅坂46にとって初の日本武道館公演であり、リベンジの日本武道館公演でもあった。

 18時30分を少しすぎた頃、客電が落ちた。そしていきなり、欅坂46のライブとして普段とは違うことが起こった。Overtureが流れずにパフォーマンスが始まったのである。1曲目、始まったのは「危なっかしい計画」だった。欅坂46のメンバーが元気よくはしゃぐように踊りながらタオルを振り回す、夏を思わせる曲である。この1曲を終えると、メンバーは締めの挨拶をして舞台からはけていった。
 たまらず多くの客がアンコールを始める。そして、それに応じるようにOvertureが鳴った。「危なっかしい計画」までは、大阪公演であって、その続きを今から始めようというのだ。
 Overtureが鳴りやむと「避雷針」、「大人は信じてくれない」、「月曜日の朝、スカートを切られた」とダークでシリアスなイメージの曲を立て続けに連発。次の「エキセントリック」ではローファーを片足脱いで振り回したり、アイドルとしては奇妙なダンスを踊ったりとまさに≪変わり者でいい≫という楽曲の意志に沿ったようなパフォーマンスを披露した。

その次には「I’m out」を強くも優しい表現で披露し、続く「Nobody」では打って変わってしなやかなセクシーさを感じさせた後、「二人セゾン」ではバレエの振り付けも入った軽やかなイメージのダンスを披露し、ダークなムードをひっくり返した。
 ここまでMCなしで駆け抜けるようにパフォーマンスをしてきたが、キャプテンの菅井友香がようやく話し始めた。初の武道館公演に対する感謝を述べた後、ステージの構成について説明した。ステージ中央に映し出された砂時計は“時間は平等に流れ、止めることはできないこと”を表しているとのことだった。また、ステージに配置された木々は、“壊れることがあってもまた再生できる”ことを表現していると語った。

 「新しい欅坂46をお見せします。」と菅井友香が語って始まったのは平手友梨奈を中心とした影絵のパフォーマンスであった。その幻想的な雰囲気のまま「キミガイナイ」「もう森へ帰ろうか?」を披露した。立て続けに「君をもう探さない」「東京タワーはどこから見える?」をパフォーマンスすると会場は幻想的な雰囲気から徐々にシリアスな雰囲気に転換していく。続いて披露されたのはスマートフォンと椅子を使ったパフォーマンスや火柱の演出の中でダンスをしていたのが印象的な「Student Dance」だ。
 そのままダンストラックに突入し、ライブは終盤へ。ダンストラックでは二期生のソロダンスなど、激しいダンスが展開された。ダンストラックからなだれ込むように披露されたのは「語るなら未来を…」である。未来へ向かって行く意思を感じさせる、シリアスでありながら熱のこもった欅坂46らしい1曲だ。続いて、メンバーの笑顔が弾ける「風に吹かれても」が披露される。洗練され、息がぴったりの軽やかなステップが目を惹く。息つく間もなく披露されたラストナンバーは「アンビバレント」。そのテンポや激しさに呼応するように、ラストにして観客のボルテージは最高潮に達した。こうして、欅坂46は約90分のステージをほぼノンストップで駆け抜けた。
 このステージ全てを通して、目を瞑る事すらも惜しいような、目を離してはいけない瞬間が表現されていた。欅坂46のメンバーたちはどうしても圧倒的に逃げることのできない「今」を生き、全身全霊で命を燃やしていた。見ていて危なっかしいくらいこの瞬間を生きている彼女たちはとても美しく、格好が良かった。まさに、命の表現であった。

いままでのアイドルはおそらく“元気を与えてくれる存在”であっただろう。しかし、欅坂46というアイドルは私たちの不安や不満を汲んで、それを共に背負い、戦ってくれる。彼女たちが命を燃やしてパフォーマンスをしてくれることで、彼女たちが、そして私たちが戦っているということを強烈に意識させてくれる。そんな欅坂46の生き様の続きをまだもう少し見続けていたくなった。

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