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2017年6月6日

横山昭 (28歳)

チャンス・ザ・ラッパーとパンク革命の続き

ロンドンコーリングからボストンコーリングへ

自分の人生の中で最高の選択の1つになった。

5月にアメリカのボストンで開催されたフェス、ボストンコーリングに行ってきた事。

このフェスのラインナップが1月に発表された時は、かなりテンションが上がった。今1番自分が観たい人達が揃ってたし、どのフェスよりも「今の時代」が1番反映されたラインナップだと思った。何よりラインナップにチャンスザラッパーとボンイヴェールが並んでた事(2人共去年のマイベストアルバム)。これは、今年の他のフェスでは、殆ど無かったと思う。日割り発表はまだ先だったが、この時点でこれは最高のフェスだと確信した。メジャー過ぎず、少しインディー寄りで、映画で言うと、リチャード・リンクレイター的な感じで、本当に理想的だった。

去年初めてアメリカのフェスに行った。両方ともロサンゼルスの同じ場所であったフェスで、1回目がFYF、2回目がCAMP FLOG GNAW。チャンスはCAMP FLOG GNAWで観て、それまでの自分の価値観を変えるぐらいに素晴らしいライブで、それ以降は特に彼の事が大好きになってたし、あの時のライブを日々思い出すにつれて、自分の中でヒーローになっていった。なので、すぐにまた観たいと思ってた。ボンイヴェールは、2枚目のアルバムが特に好きで、去年のアルバムも素晴らしい音楽で、どうやってこんな音が鳴ってるのだろうと、生で体感したかった。色々考えるだけで、自分の中のテンションが上がっていった。

ただ、現実は仕事のスケジュールもあるし、去年アメリカのフェスに2回行ったせいで、貯金も底をついてきてたので、半ば諦めてた。理想と現実の狭間で悶々とする日々が続いてた。そんな日が続いてた時に、日割りラインナップが発表された。

5月26日の金曜日のラインナップ、チャンスザラッパー!ボンイヴェール!おっしゃー‼︎そして、ソランジュ、マックデマルコ、カーシートヘッドレストにホイットニー、フランシスアンドザライツと、観たいアーティストがかなり金曜日に固まってくれた。ラインナップ発表日は3月3日。主催者は確信犯的にこの日を発表日に選んだのか、兎に角自分の中では理想的な1日のラインナップになった。絶対にこの日は行ってやろうと思った。

そして、ボストンコーリングのチケットを確保した。金曜日の1日券。飛行機は日本航空のチケットを、ホテルは交通の便の良いダウンタウンのホテルを確保した。4月の中旬と遅くに飛行機・ホテルのチケットを確保したせいか、かなり高額になってしまった。ほぼ1日だけの為に、普通の人には考えられない金額だが、こんなお金の使い方、自分らしくて良いなと、今では思っている。

フェスの2週間前にタイムスケジュールが発表された。やはりこの主催者は確信犯的に組んできた。後半の順番はソランジュ(緑)→ボンイヴェール(赤)→チャンスザラッパー(緑)とボンイヴェールはステージは違うが、緑と赤のステージは殆ど隣りどうしで、緑と赤の演奏終了と開始の空き時間も10分ぐらいと、「今の時代」の音楽が連続で感じられる、2017年最高の並びだと思った。このフェスを創ろうとしてる関係者の人達の事を、心から素晴らしいなと思った。
 
 

と、ここまで書いて何だけど、自分はどうしても、マックデマルコが観たかった。発売されたばっかりのアルバム「THIS OLD DOG」が素晴らしかったし、買ってからそればっかり聴いていた。特にアルバムの中の美しい一曲、ONE MORE LOVE SONGが素晴らしくて、どうしても生で聴きたかった。マックデマルコ(青)の演奏時間はソランジュと半分近く時間被ってて、ボンイヴェールとも少し被ってる。しかもマックデマルコの青ステージは、緑と赤のステージから離れてる。困ったなと。どうしようかと、何日間か悶々としてると、金曜日だけスケジュールが更新された!マックデマルコの終焉時間が、ボンイヴェールの開始時間と15分空いた!自分の想いが通じたか、他の人達も同じ事を思ってたのか、兎に角ラッキーだった。ソランジュはマックデマルコと全時間帯被ってしまったが(その後ソランジュは直前になってミーゴスに変更)、ホイットニー(赤)→カーシートヘッドレスト(青)→マックデマルコ(青)→ボンイヴェール(赤)→チャンスザラッパー(緑)と、自分の中では理想で最高なラインナップが組めた。やはり、どのフェスも行く前に頭の中で悩んだり、色々考えてイメージするのがとても楽しいし、ワクワクする。フェスの楽しみの1つで、自分がフェスの事を好きな理由の1つだと思う。

そして、ついに迎えたフェス前日。仕事も4日間休ませてもらい、チャンスの3のキャップも被って準備万端。いざ福岡空港を出発して、成田空港へ到着。そして、ローガン国際空港へ。自分みたいに、日本からボストンコーリングに行く人が居ないかと、辺りを結構見渡したが、それらしき人は見つけれなかった。5月の下旬と微妙な時期ってのもあったのか、結局会場でも日本人らしき人はほとんど見つけれなかった。

約13時間のフライトが終わって、ボストンに到着!ただ、あいにくの雨に気温も寒いと、中々のコンディションだった。ただ、ボストンの建物はモダンでもあり、可愛いくもあり、やはり大きくて、アメリカに来たーって感じがしてテンションを上げてくれた。ボストンは、Tって呼ばれる地下鉄で殆ど行きたい所に行けて、とても便利だった。

そして迎えたフェス当日の金曜日。結局雨は止まなかったが、地下鉄に乗ってフェス会場があるハーバード駅に到着。会場は駅から歩いて10分ぐらいと近場。会場前のBox Officeでリストバンドを貰うが、英語はほとんど分からないので、いつもより手間どった。その後無事にリストバンドを貰う事もでき、いざ会場へ。

開場時間は少し遅れたけど、開いた瞬間にみんなダッシュで会場の中に、それを見た自分もダッシュで会場へ。会場に入る瞬間はやはり何回目でもドキドキする。雨でコンディションは良くなかったけど、みんな始めからテンションが高かった。

自分はまず物販コーナーに行って、チャンスのグッズを買おうと移動開始。普通の物販コーナーとは別に、何とチャンスだけ!の物販コーナーがあった。チャンスはツアーやグッズでの収入が主らしいので、彼の支持者?である自分としては、グッズを買って彼を応援したいという気持ちがある。なので、所持金の半分をチャンスのグッズに費やした。まぁ、日本でチャンスのグッズ(服)を身に着けて観に行ったぞ!アピールしたいって、小さな自分もいる。でも1番はチャンスが行動に移して今色々している事。お金のない学校に寄付したり、実際にチャンスの行動で救われたり、企業や周りが賛同して動いてる事。チャンスみたいな人が行動に移すことによって、それまでそんな事を知らなかった人に、問題提起するのは、中々出来る事ではなくて、凄いと同時にとても大切な事だと思う。自分には出来ない、素晴らしい事をチャンスはしているから。そんな彼に自分も共感して、少しでもグッズを買って援助出来て関われたら、自己満足だが嬉しい。

会場の大きさはそんなに広くなくて、コンパクト。広さは、毎年行ってるサマソニ大阪会場の3分の2ぐらい?なので、ステージ間の移動がとても楽。ステージも3つで、緑と赤のステージはとても近くて、懸念してた青のステージも緑と赤からそんなに離れてなく、ちょうど良かった。トイレもメインの所は混んでたけど、穴場的な所はトイレの数も結構あり、いつも空いてて、快適だった。年齢層は、去年ロサンゼルスで見た時はほとんど若い世代ばっかりだったけど、今回10代や20前半の若い世代はもちろん多かったけど、30代から〜60代?ぐらいの人も多くて、幅広い世代がいるなって印象だった。
 
 

後は少しだけ、簡単な事しか書けないけど、ライブの感想を。

まずは1番最初に見た、LUCY DACUSから。彼女の事は、ステージを見るまで知らなくて、始めて聴いたけど格好良かった。一曲目からガツンと持って行かれて、とてもロックだけど、カントリー調でもある。コートニーバーネットとジェニー・ルイスの間?ぐらいの感じで、聴いてて、とても気持ち良かった。5曲とあっと言うまで、まだまだ聴いて聴いていたかった。ボストンコーリングのメイン(緑)ステージの1発目とあって、やはり素晴らしいアーティストだった。好きになったので、日本に帰ってライブバージョンのEPを買った。
 

次は隣りの(赤)ステージのホイットニー。去年出たアルバムは、普段カントリー系を聴かない自分には新鮮で、今年の来日公演も行けなかったので、楽しみにしてた。ホイットニーの演奏中は少し天気も良くなって、気持ち良く聴けた。持ち時間が50分近くあったので、途中で単調だなと思ったりもしたけど、色々な世代が居るライブで楽しかった。

3番目はカーシートヘッドレスト。離れた(青)ステージだったので、7.8分ぐらい移動して到着。お腹も空いてきたので、到着に近くのお店で、マフィン型のピザを注文。美味しい。フェスで食べる食事は特に幸せに感じる。(青)ステージは結構広いけど、お客さんもかなり入ってたので、ビックリ。もっと少なくて、前の方に行けると思ってたので、カーシートヘッドレストのアメリカでの人気を侮っていた。その証にボーカル(雰囲気がアジカンのゴッチに似てる)のそっくりさんのファンが何人か居た。演奏が始まった。一曲目から盛り上がりが凄い。ハイライトはDrunk Drivers、めちゃくちゃ格好良い。彼の声が堪らなく魅力的。しかもみんな大合唱。最後までテンションが落ちずあっと言う間のスピードで終わってしまった。カーシートヘッドレスト、凄い格好良いロックバンド。
 

まだ、カーシートヘッドレストの興奮の余韻が残りながら、楽しみにしてマックデマルコが登場!マックは家に居るみたいな自由の振る舞いで、バンドメンバーの友達を勝手にステージ上にあげたり、最後はクラウドサーフィングで観客のブラを取った(貰った?)りと、本当自由な感じ。でもそんな感じのマックがONE MORE LOVE SONGを歌ったりするから、不思議な感じだった。演奏中タバコに火を付けようとして、ライターがどんどんステージに投げられたりして、本当に観客に愛されてるなと思った。そんな雰囲気の笑いが絶えないライブだったので、演奏をじっくり楽しむって感じではなかったけど、あの場に居れて幸せだった。
 

そして、ダッシュで(赤)ステージに戻って、ずっと楽しみにしてた、ボンイヴェール!ただ、トリのチャンスを前で観たいって事もあり、隣りの(緑)のステージ寄り前方でボンイヴェールのライブ見届ける事にした。これがいけなかった。演奏が始まっても、近くの観客が私語を辞めない!これが、キツかった。賑やかなライブも良いけど、ボンイヴェールのライブでこれは無いだろうと思った。日本のライブではあまり考えられない光景で、私語がうるさ過ぎて、中々集中して聴けない。しかも少人数じゃなくて、結構多い人数。移動しようにも、人が集まり過ぎで動けない。しょうがないので、心の中で、シャラップ!って叫びながら、演奏を聴いた。ボンイヴェールの演奏は素晴らしかったと思うし、日本に帰ってYouTubeでステージ近くの人が撮った映像を観ても、とても良い雰囲気だった。やはり観た場所が悪かった。自分が想い描いた雰囲気で、ボンイヴェールを聴く事は出来なかったが、良い勉強になった。
 

せっかくボンイヴェール→チャンスザラッパーと、今考えられる自分の中で最高の組み合わせだったが、テンションを微妙に上げられない状態で、チャンスの登場を待った。
 

そして、予定より10程遅れてチャンスザラッパーがステージに登場した。
 
 

最高だった。前回観た時と変わらずチャンスザラッパーはチャンスザラッパーで、自分のヒーローのままだった。前回観た時はやらなかった、チャンスの中で1番好きな曲の1つChain Smokerを聴けた。この曲は本当に聴きたかった。 この曲が流れてから終わるまで、自分が世界で1番幸せだった。Chain Smokerが終わってからの流れも最高で、自分の為のセットリストじゃないかってぐらい、特別な瞬間の連続だった。Same Drugsも聴けた。

幸せだった。自分がチャンスザラッパーの事をここまで好きになったのは、チャンスの「暖かさや優しさ」を肌で感じ事が出来るからだろうと、ライブを通じてとても感じた。チャンスがライブや音楽という表現を通じて、人に与えられる感情は「今の時代」にとても必要で、だから今チャンスがここまでたくさんの人を惹きつけてると思う。少なくとも何で自分がチャンスにここまで惹かれてたのか、理由が明確になったライブだった。チャンスザラッパーが今この時代に居てくれて良かった。
 

今回は1日だけのフェスだったけど、アメリカの3回目のフェスで1番満足したフェスだった。チャンスザラッパーのライブが素晴らしかったから、ボンイヴェールのライブでの出来事も今では良い思い出になった。フェスが終わってからの帰り道、お客さんが帰りやすいよう、交通規制も行なっていて、最後までとても良いフェス、とても良い主催者だった。
 
 
 

結局フェスを通じて誰かと仲良くなったり、肩を組んで歌ったり、誰かと写真を撮ったり、話したりする、そういう思い出は一切なかった(物販とピザを注文した時と、ライターを貸してくれと言われ、持ってないからNoって言ったぐらい)それでも、自分にとっては最高のフェスだった。あの時、あの場所に居た事、感じた事、観た景色は一生忘れない。
 

行くか迷ったし、行けるか分からない状態が続いてたけど、行って良かった。「行く」という選択をして良かった。ありがとう、ボストンコーリング。
 
 
 
 

最後に少しだけ、タイトルとサブタイトルは自分が洋楽を聴くきっかけ、海外のフェスまで行くきっかけを作ってくれた、ザ・クラッシュから。

何年もかかったけど、クラッシュ、ロンドンコーリングをきっかけに、チャンスザラッパー、ボストンコーリングまで辿り着いたのは、今思えば不思議に感じる。自分の中では、リアルタイムでは知らないけど、当時のクラッシュと今の時代のチャンスザラッパーは同じに感じている。
 

クラッシュを聴くようになって良かった。ジョー・ストラマーの事を好きになって良かった。おかげで俺のパンク革命が出来たと思う。そして、まだまだパンク革命の続きを続けたいと思う。
 

自分がクラッシュに触れるきっかけになった、ロッキンオン2003年 3号のジョー・ストラマー追悼号より引用〜

では最後に、あなたにとってパンク・ロックとは一体何だったのか?を聞かせてください。
「そうだなあ・・・俺にとってのパンクってのはあくまで個人主義、自主的であることだったんだよね。自分の未来を自分の手で切り開いていく自由を手にすることだったんだ。パンクってのは、基本的に自分自身のイメージを改新することからはじまったわけだよ。・・・俺は、あの革命に関わったことを生涯誇りに思い続けるよ」〜引用終わり

時代は違うけど、クラッシュの存在にとても勇気づけられたし、行動に移す大切さを教えてくれた、ありがとう。

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