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星野源 Family Song から家族について考える

私と家族

18年前、母が私を妊娠し父と結婚。いわゆるデキ婚である。次の年には弟が生まれ4人家族になる。

1年前、母は突然逝った。仕事が終わりトイレに座り込んだまま逝った。脳幹出血であった。父は15kgも痩せ細り、弟は中学の卒業式を3日後に控えていた。

そんな私はというと、母が死んだ事に実感を抱くことができずにいた。生前母とは顔を突き合わせる度に喧嘩喧嘩喧嘩の毎日。 “喧嘩するほど仲がいい”、お世辞にも仲の良い母と娘と呼べる関係性では無かった。正直言って、周りのみんなが羨ましいくらいだった。今日はお母さんと買い物に行った、服を買ってもらった、ご飯を食べに行った、そんな話を聞く度にいつも自分の母と比べてしまっていた。

朝トイレで倒れ唇が真っ青になった母を見つけ動転している父。私は学校で習った心肺蘇生法を弟と交代で試すが効果なし。ああ、もう駄目だろうと私は思った。救急車が到着し、私が母の付添人として救急車に乗り込んだ。母を必死に蘇生させようと救急隊員の方々が一生懸命に働いてくれた。しかし心臓が動くことはなかった。病院に着くが回復の見込みが立たず、父自身が延命処置の停止を求めた。

父は母の死から火葬葬式までの1週間で一気に老けた。私たち子供のために17年間も夫婦でいるもんだと思っていた。生前子供の前ではデートすることもイチャイチャすることもなかった。母と父の絆は浅はかであると勝手に決めつけていたのだ。

母が死んでからのある時、ひさびさにアプリを開いて音楽でも聞こうかという気になった。もともと星野源が好きで有名どころの曲からある程度マイナーな曲までアプリに入れ、時々聞いていた。Family Song もその1つとして。イヤホンをつけて Family Song を聞こう、何となくそんな気になった。

“目が覚めて涎を拭いたら 窓辺に光が微笑んでた”

わっと涙が溢れてきた。母との良い思い出が次々に蘇ってきた。母の膝で昼寝をするのが好きだった。母の腕枕で寝るのが好きだった。目がさめると必ず母は おはようと言って微笑んでくれた。

“救急車のサイレンが 胸の糸を締めるから”

小さい頃は自他共に認める心配性だった。授業中、どことなく救急車のサイレンが聞こえると、お母さん大丈夫かな、お父さん倒れたかなと被害妄想をし始める。

Family Song が母との思い出を呼び起こしてくれた。幼い頃の母と過ごした幸せな日々を。どんな事をする時も決して反対せず、そっと背中を押してくれた。部活の大会では休みを取って必ず応援に来てくれた。大会で優勝すると職場の人に自慢してくれた。高校受験で合格したら私以上に喜んでくれた。歌詞と共に様々な思いが脳裏を駆け巡っていく。歌を聞く前は、喧嘩ばかりの切羽詰まった悪い出来事しか思い出すことができなかった。仕事と家事の両立、そして私たちの子育て。男の人には外に7人の敵がいるというが、女の人にこそ7人以上の敵がいそうだ。

女性として、母親として、妻としての苦労困難喜びや幸せ、私には想像がつかないくらい経験してきたはずだ。
母から1つ聞き忘れたことがある。母と父の出会いだ。なんとなく生前聞こうとしたがその度に濁され聞かずじまいになってしまった。父から聞くのは小っ恥ずかしいので、私たち家族の始まりは父と母だけの秘密になってしまうようだ。残念ではあるが、謎が多いほど人生は楽しいといった言葉もあるようだからさまざまなシチュエーションで考えてみたい。またそれも面白いだろう。

最後に母へ。
弟は無事中学を卒業し、高校2年生になりました。父は相変わらずボクシング馬鹿です。家族3人元気に暮らしてます。母の遺影を選んだのは弟です。もっとイケてる写真があったはずなのに。そういえば写真が苦手でしたね。
忙しい日々が続き、あなたがいない寂しさを覚えることは少なくなってきました、少し私も大人になりましたね。周りのみんなのおかげで幸せな日々を送っています。あなたと過ごした時も幸せだったと思う、よく覚えていないけれど。17年間本当にありがとう。今年のお盆に帰ってきてね。待ってます。
 
 

“ただ幸せが 1日でも多く側にありますように”
「星野源『Family Song』」
 

母と父の出会いから18年、今度は私が幸せを作れる人になれるように。

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