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ひとりきりでも続く生

ヒトリエ、wowaka氏への憧れを抱いて

大阪から出てきて2年が過ぎた。就職を期に、東京へと移り住んだが、5年前にヒトリエを知ってから出会った友達、音楽、趣味があるからと、強く持ってやってきた街。もはや、怖さよりも楽しみが勝っていたし、なんならライブを見る機会も増えるなぁなんて思っていた。やってやる、知らない街だけど、音楽がある。

そうして持っていた些細な柱が、突然1本折れたのが今年の4月だった。

新アルバム『HOWLS』を引っさげ、3月1日に大阪で開幕したツアーCoyote Howling。1本目の大阪公演は金曜日。有給を取って帰省してライブに行くに決まっている、なんて高をくくっていたが、蓋を開けてみれば外せない仕事。まぁ、ファイナルも行くし、残念やけど地元は次の機会かな、なんて思っていた。

待ちに待った、はずだった6月1日に、スタッフさんや関係者の方々の尽力により、リーダーの追悼会が行われた。全国ツアーが中止となった中、チケットは払戻しを約束され、ドリンク代の徴収もなく。ただただ、尽力の限りに開かれた会。ありがたい限りだと思う。けど、自分の心はどこか、その事実をまっすぐ見れないでいた。

4月8日の月曜日、あの訃報が流れてきてから自分でも不思議で、たまに自分自身に腹が立つことがあった。というのも、あんなにも憧れ、羨み、ただただ尊敬していた人物が亡くなった、と言われたのにも関わらず、涙が一粒も流れなかったことだ。SNSを見れば、仕事が手付かずの人、呆然としている人、悲しんでいる人が多く見られた、もちろん自分も悲しいが、どこかにわかに信じがたい、という要素が勝ってしまっていたのだ。理由も少しだがわかっていた。今まで大切な人が亡くなった、という時、自分の目で見て、確かめて、やっと飲み込んでいたからだ。

だからこそ、追悼会で積み重ねられているその事実が、じわじわと迫ってくることを感じていた。これまで生きてきていた癖で、ヘラヘラしていたが、献花を行う際にはもう、どっちが現実なのかがよくわからなくなっていた。

追悼会。文字だけで報せられたそのイベント、イガラシさんも「ただ1度みんなで集まれる日をつくりました。」と言っていて、献花をさせていただけるだけでもありがたく感じた日だった。

18時になって、暗幕が開いていく。奥の暗幕も同時に開き、映像が流れ出した。2年前の新木場STUDIO COAST公演の「ワンミーツハー」、「目眩」が流れた。僕はヒトリエのライブだと、演奏も当然のことながら、照明も大好きで、COAST公演のライブはどれも照明がキレイだな、なんて思いながら見ていたのを思い出した。2年前も当然のように見に来ていたライブで、目眩の演奏時、リーダーを包む照明が、まるで聖地みたいだった、などと感想を述べていたことを思い出した。

映像が流れ終えて、入場のSEが流れる。ゆーまお、イガラシ、シノダがステージに上がってきた。いつものライブと同じ順番だ。本当に、本当に突然、涙が溢れた。頭・心・身体。全てで理解してしまったのだ、本当にいなくなってしまったということを。

シノダがリーダーのギターを持ってきて、掲げた。それぞれがいつもの持ち場につき、チューニングをする。上ずった声でシノダは言った。「ヒトリエです、よろしく、どうぞ。」

ポラリス。
『「きっとあなたは大丈夫」
「とても強い人だから」
その言葉の奥で笑う顔 いつも救われていたの』

大阪から出てきた僕のそばには、ずっとヒトリエの音楽があった。曰く、最初は頭の中の女の子を動かして書いていた、という歌詞も、段々と自分を伴っていく歌詞へと変わっていき、いつしか寄り添って励ましてくれるような歌詞が多くなっていた。

普段はgt/choのシノダが、vo/gtという、音楽をやっていない僕でもわかる大変さを、サラッとやってのけていた。実際は、この6月1日が決まった日から、どれだけ練習したんだろうか。
ガラシさんは、曲によってはギターパートであるリーダーの曲を、ベースのままカバーしていた。「本当に大好きな曲」と言っていた“青”が始まったときには、崩れるようにしゃがんでいたことの印象も強く残った。
ゆーまおさんは、いつものようにスマートに飄々と、でもどこか、自分の心臓の音が大きく聞こえるほどに、力強く叩いていて。
…どうしても、そこに彼の姿だけはない。けど、それぞれのメンバーがいつも以上にできることを最大限にパフォーマンスしていた。

10曲を終えて、拍手は鳴り止まなかった。
 

人で言う、通夜・お葬式とはまた違ったこの追悼会。様々な思いを持って様々な人が集まった。皆、心にはリーダーのことを考えている。それだけのことが起こりうる人間である、その事実が、僕にとっての尊敬をより増長させた。
メンバー、西槇さん、スタッフさん、関係者の方々。この日を実現させていただくことに関係している全ての方々、本当にありがとうございました。

『ひとりきりでも続く生 夢の終わりを告げる声
誰もいない道を行け 誰も止められやしないよ』(ポラリス)

誰もいない道を行くけど、いつでも心にリーダーがいる気がしている。

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