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『漂う人の性』エレファントカシマシ

ー宮本浩次 彼の見据える視線のその先はー

 仕事を辞める事になるかも知れない・・・。そんな重苦しい日々の中、同じくエレカシの大ファンの友人がそっと、さりげなくメールに書き添えてくれたタイトル「漂う人の性」。聴いていてハットした。「潜みしそのプライドに かけて歩み出せよ」。
胸の奥深くその存在さえ忘れかけていたはずのプライド。更に彼はこうも言っている。「さあ出かけよう 五分先へ行こう」。当時の私は、今日一日何とか頑張ろう!と言われても、折れていたに違いない。
 五分先へ・・五分先なら・・行ける。頑張れる。毎日職場で何かある度に自分に言い聞かせていた。五分先へ行こう!・・・。それにしても、何故彼は“五分先へ”と言ってくれるのか。苦しんで涙を流した経験からしかこんな言葉は出て来はしない。彼の底知れない深い優しさ。
 
 ひょんなことからエレファントカシマシにはまり、YouTubeで彼らのライブ映像を追う様になり、30周年のさいたまスーパーアリーナでの公演を見に行って以来、更に宮本浩次氏への興味尽きる事無く、エビバディの一員となった今。
 想像を超える数の彼の作品どれもが彼そのものであり、時折垣間見える彼の深い哲学性に、いったい彼はどこまで行っているのか、知りたい・・・。そんな想いで聴く彼の新旧それぞれの作品が、聴く度に新鮮さを増すのは何故なのか・・・未だに答えに行き当たらず、切なさと、力強さと、激しさと、優しさに包まれて、彼の作品の持つ“音”と“詩歌”の不思議な力に、いつしか私の日常までが変化してしまった事に気が付いた。お陰であれだけ苦しかった仕事の悩みも、今は過去のものとなり、日々仕事の中にささやかな喜びを感じて笑顔で過ごしていられるのは、彼から、いわゆる“花束”を受け取ってしまったのだと、勝手にそう受け止めている。

 不世出の芸術家。しかも彼の中に有る強い他者への想い。自分ももがき苦しみながら、なおも輝く明日へ、みんなで、行こう!と。孤独な道を独り歩きながらも、
自分の為にも他者の為にも強くあらねばと、まるでこの地上に降りて来た事の意味を、彼自身深く自覚しているかのように思われる。

 芸術がある意味“時空”を自在にあやつる力を持つもので有るのならば、彼は既にその特権を存分に駆使し、その先に見ているものは・・・。

 風のような音はいつしか風になり、星ぼしのような詩歌はいつしか時を超えた光になる。

 “人”がそこまでの高みを目指せるものなのだと、今を生きながら知らしめてしまった彼。“不世出の天才”という言葉さえ小さく感じられる程、彼にふさわしい言葉が見つからない。ただ、同じ時代に、しかもごくごく近くで、今、息をして、作品を生み出してくれているという“奇跡”に、「ありがとう」の言葉しか見つからない。

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