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BUMP OF CHICKENからの優しいおせっかい

ラストワンを聴いて思うこと

 ラストワンはアルバム“RAY”の5曲目にあたる。このアルバムのレパートリーは様々で、そのどれもが魅力的で好きだけれど、社会での痛々しい事件や事故、自分の行動に嫌気がさした時などにラストワンが思い出される。
 規則的に始まるギターのイントロが聴く準備を与えてくれて、さあ、今から歌うからちゃんと聴いてね、と諭されているような印象を受ける。でも曲調は軽く、ノリのいいリズムで。藤原さんの優しい声と、チャマ、増川さん、升さんの楽しそうなコーラスで終わる。だから聴く側もあまり感情的にならず同調できる。
 はい、わかりました。今後気をつけます。そんなふうに反省の弁を述べてしまいそうだ。藤原さんは20代の頃ラジオでBUMP先生と呼ばれていたそうだが、確かにこの曲の前では、ききわけのよい子どもになった気分だ。(もし藤原さんの声が野太くて、3人のコーラスもすごく低い声だったら、こんな冷静な気持ちではいられないかも?)
 
 歌詞だけ見れば、卑屈で自意識過剰な匂いがぷんぷんする。表では仮面をかぶって、言い訳ばかり探していた以前の自分を思い出す。

「何もない誰かさんが 何かを見つけたんだって くだらないって誤魔化した その時間がくだらない」
「動こうとしない理由並べて 誰に伝えたらどうなるの 周りと比べてどうのじゃない 解っているんだ そんな事は」
 
 他人の行動にうらやましさや嫉妬を感じながら、さて自分の行動は希望に沿ったものだったかと自問自答している。

「どれだけ傷付いたって 誰にも関係ない事 鏡の中の人とだけ 二人で持っていける」
「何でちゃんとお腹が減るの 何のために息は続くの 明日もきっと生きてるよ 誰にも関係ないままで」

 自分のことだから、自分で解決すればいいよね?自分で完結させるしかないよね?でも身体は正直で、何もしなくてもお腹はすくし、眠っても目は覚めるし。

 この曲にはすでに設定があると思う。希望、夢、誰かとの約束、自分のいろんな可能性に向けて何度でも努力しようとした形跡がある。でも思った通りにいかなくて、どうにもならない感情のやり場があって、諦めの境地にいるような、そんな悲しい設定。

 「大声で泣き出したいよ 慣れてなくてうまく出来ないよ」
 「何度でもなんて無理なんだ 変われるのは一度だけ 鏡の中の人と 交わした希望の約束」

 自分について精一杯自問自答してみたのに、わからない自分が嫌になる。だから泣いてみたいけれど、へんなプライドが邪魔をする。何度でも、という言葉はもう聞き飽きたから、これで最後だと決意する。そうして鏡の前で今までの自分と対峙する。

 「変わらないままの人と 鏡の前で向き合えるように」
 「そう変わるんだ 一度だけ変わるんだ そう変わるんだ」
 
 一度だけ変わる、と断言しないと無理だから、ラストワンだから。最後は力強い言葉で締めくくられているけれど、なぜだろうか、確かな安堵感に気付き、納得してこの曲を聴き終える。ストレートな歌詞は苦手な私なのに、この曲を受け入れることができるのはBUMP OF CHICKENというバンドの得意技だと思う。それと同時に、このバンドの、音楽にかける情熱の強さに尊敬する。
 
 歌詞の1番では、「嫌いな自分と一緒に 世界まで嫌わないように」
 最後の方では、「嫌いな世界と一緒に 自分まで嫌わないように」

 まず、自分自身を好きになれないと、他人や周りの事象にも興味を持てないだろう。あなたの好きなこと、興味あることってなあに?過去の出来事だけでなく、周りの景色を見てみようよ、きっかけを大事にしようよ。周りは、あなたにとても大きなものを求めているわけではないから、肩ひじはらずこの曲のように、軽いノリで扉を開ければいいんだよ。

 社会の中で自分だけが悩んでいる、自分だけが苦しんでいると感じている人たちにぜひ聴いてほしい一曲だと思う。この曲を聴いて、世界は自分だけのものじゃないと知ることができればそれで充分で、そこから始めればいい。自分で気付くことを周りの人たちは望んでいると思うから。

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