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mol-74が魅せた“夜明け”

ワンマンツアー“Morning Is Coming”で彼らが描いた物語

2019年4月20日の福岡公演から始まった、メジャーデビューアルバム「mol-74」を引っ提げての今ツアー。
彼ら自身も「特別な想いで回るツアー」と話していたが、私にとっても間違いなく特別なツアーだった。

「君を待ってた ずっと前から」
昨年のワンマンツアーファイナルのアンコールで初披露された「あいことば」から始まった今ツアー。10年先も100年先も、彼らの未来を描くような美しいメロディと歌詞。
曲の終了と共に間髪入れずに「エイプリル」、今回に限ったことではないけれど、mol-74のライブは本当に1本の映画を見ているようで、曲のつなぎまでもが美しい。

赤黒い炎が揺らめくような、ゆっくり血液が流れるような映像、厳かな「アルカレミア」の演奏にあまりにもぴったりだった。続く「赤い頬」では泡沫がふわっと浮かび上がるような幻想的な映像。加えて天井からランダムに吊るされた電球。正直私は演奏があれば演出はあってもなくてもどちらでも良いと思ってしまうのだけれど、ファイナルのマイナビBLITZ赤坂での演出は息を飲むほど美しかった。

初めて演奏された日から、曲名も知らなかった頃からずっと好きでたまらなかった「不安定なワルツ」、今回のツアーはアルバム曲がメインだろうから聴けないだろうな、と勝手に思っていたが、私の大好きな大切な曲を全公演で聴くことができた。
「掴まって 離さないで 吹きとばされぬよう
  僕らは描いていける」
ずっと信じてついてきて良かったなあと心の底から思った。なんて愛おしいのだろう。

mol-74の楽曲は全てにおいて季節や時間、色、匂いを感じることができるのだけれど、このツアーは春の曲から始まり、また季節が一周して春に戻ってくるようなセットリストだった。
“春の曲ゾーン”の「待ちわびた音色」、元々は自主制作盤のミニアルバム「ルリタテハ」に収録されていた曲で、私はこの曲が大好きで何度も救われてきた。「ルリタテハ」が廃盤になってからはなかなかライブで聴ける機会もなかったので、今回この曲が再び陽を浴びてとてもうれしかった。

ファイナル公演の「ノーベル」はMVを編集した映像が演奏と共に流れた。まるで花弁が舞っているかのような4人の演奏と、お花を纏った少女たちの映像。ロゴがふわっと浮かび上がった瞬間に思わず顔を覆うくらい泣いてしまった。世界に色がついたようだった。いつも楽しげに井上さんが煽ってくれる間奏の4分8分のハンドクラップすらまともにできなかった。

ライブ定番曲の「%」、あんなにたくさんの人がクラップする姿と、メンバーの笑顔と。いつも楽しく聴いているはずの曲なのに、どうしても涙が止まらなかった。

インディーズラストの作品となった「▷ (Saisei)」というミニアルバムをリリースするとき、「周りの目を気にせず自分たちが一番かっこいいと思うものを作る、それで結果が出なかったらバンドは解散する」と決めていたそうで。
雑誌のインタビューなどでこの話は既に知っていたけれど、実際本人の口から直接きいたのはツアー初日の福岡、今でもはっきり覚えている、この話をするときに武市さんの綺麗な瞳が潤んでいたことを。
私は前回のツアーにも行ったけれど、実際解散を匂わせるようなことは何もなかった。でもそんな大きな想いを抱えて彼らが昨年のツアーを回っていたこと、汲み取れきれなかったな。
2018年5月13日、恵比寿LIQUIDROOMでのツアーファイナルのソールドアウトか、メジャーデビュー決定か、フェス出演か。何を以って「結果が出た」と彼らが捉えたのかは私には知り得ないことだけれど、とにかく彼らが音を鳴らすことをやめなくて心の底から良かったと思っている。
その先のもっともっと大きな夢もたくさん叶えていってほしい。その姿を見て自分も頑張ろうと思えるので。

今回のツアーはアンコールが何よりも衝撃だった。先に曲名を伝えてくれた上での演奏だったが、武市さんが「アンサーソング」と口にした時は聞き間違いかと思った。
5年ほど前にメンバーに向けて書かれた曲。ご本人曰く「尖っていた頃に書いた」とのこと。
メジャーデビューはもちろん、フェスに出るのも夢だったし、叶えたいことはたくさんあったけれどそれが叶う確証なんてどこにもない、けれど根拠のない自信だけはあった、「絶対におれらはいけるから」…と。
メンバーやスタッフさんはもちろん、何よりも待っててくれたみなさんへ、と。
「待っててくれてありがとう」って、ありがとうだなんていつもこちらの台詞でしかないのに。
待たされているなんて感覚はなかったけれど、それでも笑顔で「待ってたよ」と言いたかった。でもどうにも視界が滲んで、いろんな感情が溢れて止まらなかった。
一体ここに辿り着くまでにどんな苦労があったのだろう。そこに関しては私たちが知ることは叶わないのだけれど、でも、彼らにとって辛い時期が続いていたときも、辞めずに続けてくれて本当に良かった。こんなにも美しい夜明けを見せてくれるバンドを他に知らない。
 

昨年のツアー「▷ (Saisei) release tour」があまりにも素晴らしいツアーだったので、あれを超えてくることなんてあるのだろうか、と思っていた。

が、「かっこいい」は、私の中で更新された。

2019年6月7日に赤坂で見たmol-74の4人は、これまでに見たライブの中でいちばんかっこよかった。
いつか彼らがもっと大きくなったときに、この苦しくなるほど愛おしかった「Morning Is Coming」ツアーのことを思い出すのだろう。
 
 

アルバム「mol-74」を聴いて、あまりにも愛おしいなと思いながらもその眩しさと濃さにくらくらして立てなくなるような感覚があった。

彼らがこんなにも努力を重ねているのに、それを見ているだけの自分はとても弱くてまともに夢すら叶えられなくて苦しい、そんなので本当にいいのか?と何度も自問自答していた。弱い自分は、間違いだらけの自分は誰にも許されないと思っていた、自分ですら自分を赦してあげられなかった。
それでも、ずっと長い間埋まらなかった私の心の空白を、言葉と音で優しく埋めてくれるような、そんな彼らの演奏が大好きだ。
mol-74の音楽を聴くと「もう少し頑張ってみよう」だとか「もう少し人に優しくしてみよう」と、自分の心にプラスに働きかけてくれるので、自分のことをほんの少しだけ好きになれるような気がする。

頻繁にライブに行くようになったのはここ4,5年くらいの話で、それまでは音源を聴いてはいたものの、彼らの生の演奏に触れる機会はそう多くなかった。
行きたかったけれど休みが取れなかったり体調が良くなかったりで諦めた公演も多かった。どれだけ悔やんでも羨ましがっても、もう当時のライブに行くことはできないのだけれど。それでも、私が知らなかった、見ることができなかったmol-74を経て今のmol-74がいるのだと。

mol-74 に出逢えて良かった。
mol-74が音楽を続けていてくれて良かった。
mol-74を好きでい続けて良かった。
彼らの言葉は、演奏は、今もこれからも私の心を惑わせる。
 

どんな映画や小説よりも美しい夢を見せてもらった。
彼らはこれから、より多くの人の目に触れて愛されるのだろうな。
世界で一番笑っていてほしい、今後ずっと彼らにとって幸せな未来でありますように。

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