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2017年6月12日

超イマイ (23歳)

生きることを選ぶ、それだけで100点。

SHE'Sの名曲Tonightとあの日の夜

朝も昼も夜も全部真っ暗だった。
目を開けてもずっと真っ暗だった。
 

就職を機に上京して1年目の冬、私は精神疲労を溜め込んでしまい鬱を患っていた。常に心臓を握られているような気の重さ、情緒不安定、全てのマイナス要素が自分のせいに見える。苦しい。喉が詰まる。ぼんやりとホームに入る電車を目で追う。メンタルの強さだけは自信があったつもりだった。だからなかなか自分の変化に気付けず、1人でどんどん追い詰められていった。

退勤した瞬間だけ少し緩む。帰りの電車でもう既に明日の不安に駆られ、帰宅した瞬間から出勤へのカウントダウンが始まって、どんどん心がダメになっていく。寝たら明日が来てしまう。起きてたって朝は来る。わかっている。それでも怖くて眠れない。眠りたくない。終電も過ぎ、音のしない深夜と私の戦いである。

そんな毎日の中で何かがピークに達して乗り越えられそうもなかったある日の夜、なんとなく再生したSHE’SのTonight。SHE’Sは2年ほど前に地元で見に行ったある対バンライブで見たのがきっかけで好きになった。
公開され、初めて聴いたときから好きだったTonight。けれど、あの夜聴いたそれは少し違って私に響いた。

≪ 君が一人を感じたら この声を頼っていいから ≫

“がんばれ” も “大丈夫” も私にとっては”既にこれ以上どうもならない” し “もう大丈夫じゃない”だった。八方塞がりだった。
あぁ、そういう優しさもあるんだな。何ひとつの押し付けもない≪ 頼っていいから ≫が傷口に優しく沁みて真っ暗な部屋でひとしきり泣いた。

気を抜くとちょっとしたことですぐに泣き出してしまうので、自分を保つために無意識に感情も涙も押し殺し、封じ込めるようになっていた私は、声を出してぼろぼろ泣く自分に少しびっくりした。

≪ 君が笑う理由なら すぐ傍に溢れているから 僕らは生きてこそだ ≫

また涙が溢れてくる。弱音を聞いてくれる友達、笑わせてくれる仲間たちの顔が浮かんだ。私、まだまだ生きてたいんじゃん。こんなに泣けるほど生きたいんじゃん。どうやったら死なんて考えずに済むか、生きていけるか、考えなきゃ。
 

その後、友人からのアドバイスも受けて病院に駆け込み、親にも打ち明け、仕事を辞めた。肩の荷が降りて症状が回復してきた頃、当時の自分の思考や精神状態を思い出したらゾッとした。

仕事を辞めたあと、前々からチケットをとっていたSHE’Sのツアーに2公演行った。その時MCの中で、「この曲は心を病んでしまった友人と熊本の震災をきっかけに出来たものだ」ということを知り、色々と腑に落ちた。(しっかり届いていると思いますよ。)
 

桜が散って緑が青々としてきた頃、私はようやく新しい生活をスタートできた。今Tonightを聴くと、≪ 君(私)が泣いた夜のこと ≫を思い出す。今となっては他人を思い出しているような気持ちだ。ただ、それは辛い思い出を思い出すというよりは、”あぁ、生きてて良かったな” そんな気持ちにさせてくれる優しいものだ。”あんなこともあったね、でも今ちゃんと生きてるね、良かったね” と決して広くない東京の夜空を見て思う。まさに、≪ 不甲斐ない過去を越えて 明日へと繋いできただろう ≫ このフレーズそのものだ。

音楽は世界を変えるだなんて、そんなわけねーだろと思っていた。でも、音楽は人1人の命を救うこともあるし、時に人生を変えてしまうこともある。”誰かが見ている世界”を変える力、それが音楽にはあるのだなと思った。
 

今回はTonightと私の個人的な思いをつらつらと書いてしまったけれど、私はSHE’Sの曲は全部好きだ。本当に全部好きだ。シャッフルして再生を押すとだいたいそのまま最後まで心地よくぶっ通している。そんな大好きなSHE’Sから、もうすぐ新たなミニアルバムが放たれるということで、今度はどんな世界を見せてくれるのかととてもわくわくしている。

私は昔からずっとどこか卑屈で暗くて捻くれてて、希望とか愛とか、そういう眩しい美しさで溢れたものをどうにも直視できないところがある。でも、私にとって眩しすぎるそれらも、SHE’Sというフィルターを通せばしっかり見つめることができる。素直に綺麗だと思える。ちょっとだけまっすぐになれる。
 

あの日、暗闇から救ってくれてありがとう。生かしてくれてありがとう。いつまでも足りなくて、だけど自分じゃ捕まえられなかったキラキラした世界を、私にくれてありがとう。

生きて、生きて、”もっと遠くまで” 行こう。出会えて良かった。応援しています。

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