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雨にまつわる THE YELLOW MONKEY

ロビンとエマの物語

THE YELLOW MONKEY の楽曲のほとんどは ロビン(吉井和哉)が作詞作曲を
している。彼が作ってきた原石をメンバーが各々の技術と楽器でもって形作り、色付けし一つの完成した楽曲にと作り上げる。
まさに4人の才能が絶妙に絡み合い、あのアンサンブルが出来上がるのだ。
ロビンが主導権を持っていたとしても、彼らなしではあの奇跡のような楽曲は生まれない。

意外に知られていないのは、イエローモンキーの楽曲には、エマ(菊地英昭)作曲の曲もけっこうあることだ。
「空の青と本当の気持ち」、「TVのシンガー」、「創生児」などなど。
ギタリストのエマの曲についてロビンは
「エマの曲はいつもイエローモンキーの曲にアクセントをつけてくれる」
と語っていた。

季節は梅雨。
今回は「雨」をテーマにTHE YELLOW MONKEYについて書いていく。

まず、彼らの楽曲で「雨」と聞いて最初に思い出すのは

「This Is For You」

この曲の作曲はロビンとエマの合作である。
内容は、男色の男と20歳前後の若い青年の話。
青年は男娼だろうか? 雨の日に出会った男と夜を共にする青年との切ないような でもどこかピュアな恋物語。ロビンはこの曲をライブで披露するとき、必ずこう言う。

「幸せな雨の歌」 と。

「In the rainy day 降り続く 雨の夜にちぎれても
 冷静なポーカーフェイスの
 My sweet darling, this is for you」
 
               (This Is For You)

ゆっくりとしたバラードで歌われるこの曲は、そのアウトロではいつもエマがアコスティックギターを持つロビンに寄り添ってギターを弾く。

「this is for you…」

と歌い終わり、アウトロが終わると、二人はちょっとだけ目を合わして、にっこりとほほ笑む。何とも言えないほっこりした気分になる瞬間だ。

This Is For You は彼らの初期の曲。1stアルバムに収録されている。
そのころから歌詞にもメロディーにも類を見ない感を漂わせる。
ようやくメジャーデビューを果たしたロビンにとって、この時代の「雨」は優しいものだった。

時は移り、彼らは日本ロック界をけん引するモンスターバンドへと成長していく
その時代を象徴する曲 「JAM」の歌詞にはこんな一節がある

 「外は冷たい風  街は矛盾の雨」

優しい雨は、矛盾の雨に変わった。大海原に漕ぎ出た彼らにとって世間の雨風は
優しくはなかったのだろうか

JAMを発表した後、SICKS という名アルバムをリリース。いよいよ彼らの天下が
始まる。
だが、思いのほか、そのイケイケの時期は長くなかったようだ

パンチドランカーツアーという前代未聞のツアー(1年113本のライブをやるというおよそ正気でないツアー)を経て、彼らの様相は少しずつ変化していった

雨を歌った曲はたくさんあるかもしれないが、私にとって印象に残っているのは、そんな彼らが迷いの中にいたころのこの2曲だ。

「パール」 と 「バラ色の日々」

ちょうど、このパンドラツアーが終わった後に作られた楽曲で、初の外部プロデューサーを入れた曲である。

「愛情の庭に種はまいたが 雨は降るのに花はなかなか」
              
                        (パール)

雨は恵みの雨にならなくなった。愛情の庭にまいた種は花を咲かせない

この曲の歌詞は、当時私を迷わせるものだった
自分を鼓舞し、負けんなよっと言いながら、結局「言えなかった」「逃げていった」
で終わる。
「なんなの? オチはないわけ?」 とは当時の私の正直な感想。
ロビンも何かしなければ、変えていかなければと葛藤しながらも、答えを見つけることが出来なかったのかもしれない。
 

この歌は、再集結後、奇しくも被災地への応援歌のように歌われるようになった
「負けんなよ! 朝に負けんなよ!」
という歌詞が応援歌になっているのだが、
このとき、雨は必ず

「雨は降ったのに」

と替え歌される。この時の雨は間違いなく試練になっている
 

そして「バラ色の日々」
 

「雨の中を傘もささずに走るのは 過去の悲しい思い出のように大事なような」

「雨の中を何も見えずに走るのは 深く生かされるのを感じたような」
                             
                            (バラ色の日々)

前述したように、「パール」と「バラ色の日々」をリリースしたころは、
彼らにとってまさに試練の時期だった。
成功と野望と疲労、達成感を味わった後に訪れた喪失感。目標も見えなくなっていた。

それでも活動を続けるために、あがく。
ロビンはこのころのことをこう述懐する。

「気持ちは全くバラ色ではなかった。ほど遠い気持ちの中で作られた曲だった」

大嵐のFUJIロックフェスでこの曲を披露した彼ら。
ロビンにとってはまさに

雨の中を何も見えずに走った ライブだったろう

その後、アルバム8がリリースされるも、ツアーを行われることはなかった
カラ元気のなかで、「これが終われば解放される」とロビンに言わしめた、
初東京ドーム公演が行われ、彼らは活動休止に入る
そして4年後、解散。
2004年7月
 

それから月日は流れる。
4人はそれぞれの道を歩みながらも、お互いをいつも気にかけていた
(と今回のアルバムツアーでロビンが告白)
再集結までの道のりは長く、途方もなく困難なようにも思えたけど
彼らの強い気持ちがそれを実現させた。

再集結後の彼らの活動は、ただの打ち上げ花火でなかった。
私達ファンに一生をプレゼントしてくれた。
それはもう誰もがご存知のことだろう。

彼らの雨の物語は意外な形で引き取られた。

「降り続いていた雨も すっかり止んで去った」
            
              (Horizon)

あっさりと書いてくれた
もう、雨なんか降ってない。どこかへ去ってしまったと。

Horizon は彼らの再集結を追ったドキュメンタリー映画「オトトキ」の主題歌
イエローモンキーで、初めてエマが作詞作曲した

ツアー中にエマとアニー(エマの実弟 菊地英二)のお父様が亡くなった。センシティブな状況のなかでエマが書いたその曲は、メンバーへの、そしてその周りの人々への感謝の歌だった。

エマは言う

「再集結できたこと、いままで頑張ってきたこと、解散前の葛藤も見て来て、こうして一緒にまた音楽できている。メンバーへの感謝の気持ちを今書かなくていつ書くのか」と。

解散させたことをずいぶん悔やんで、責任を感じていたロビンにエマは歌詞にして届けてくれた。誰も責めていないのに何度も謝っていたロビンに。

「もう一度触れられるのなら ずっと離れはしないさ
 あの夏の夕立ぐらい泣いていいから 
 川のような道みたいに流してくれるだろう
 外からなんて何もわからないさ」

「大丈夫僕ら君の味方だよ そうさいつも君の味方だよ」
 
「We must go on」
                   (Horizon)
 

エマの雨は悲しみすら流して去っていった。
残ったのは、もうずっと離れない君の「味方」。

まさに愛と絆のHORIZON。
 

この曲を聴いて、メンバーそれぞれが涙したという。
アニーももちろん、ヒーセ(廣瀬洋一)も号泣した。

ロビンも初めは、ファンの人に向けて書いたのかと思ったという。でも、
「メンバーに向けての歌詞だった」
というか、たぶん、多くは自分に向けての…。

4人の絆を再確認するように、彼等はこの曲を心の奥深くから共有した。

良かったね。
苦しんで、孤独を感じて、でも前を向こうともがいて。
全てが無駄じゃなかった。そしてもう、二度と離れない。

Horizon はTHE YELLOW MONKEY の新たな代表曲となった。
 

さて、ここで雨にまつわる物語は一旦終わったと私は思っていた。
いつか、ロビンにとって、また優しい雨が歌えるといいなと思って。

だが、実はまだ続きがあったことを、つい最近気が付いた。

「Changes Far Away」

ニューアルバム「9999」の一曲
ロビンが、歌詞が優しすぎた、との感想を述べていた。
歌詞もメロディも、QUEENオマージュのアレンジも優しい曲だ。

エマの大好きなQUEEN、ロビンはエマに彼の崇拝するギタリスト、
ブライアン・メイ になって弾いてくれと言った。エマにとって、嬉しいオーダーだったろう。
 

「一雨ごと変わる 季節の成長 あんな風に人もキレイに変われたら
 雨や風の日や強い太陽 全部味方なのにね」
                   
                    (Changes Far Away)
 

ロビンの雨は、成長の糧へと変わっていた
 

「遠くにあるのはきっとキレイな月」

「過去に光るのは 誇り高きラプソディ もっときれいな月」

                  (Changes Far Away) 
 

雨が上がって見る月は、過去も未来も美しい

愛だけを支えにしてここまできた彼ら、もう迷うことはないだろう。
美しい月を目指して進んでいく。

私たちは、ただ彼らについていくだけだ。
たとえ試練の雨がまた降ったとしても、乗り越えていける。
彼らは共に、雨を楽しむように乗り越えていくだろう。
 

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