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カンタンには言えない始まりの1日

THE ORAL CIGARETTES アリーナツアーを通して

2019年3月17日。あの日自分の世界観が一気に変わった。いや、4年前の冬彼らに出会った時から少しずつ変わっていたのかもしれない。

場所は横浜アリーナ。JRがない群馬の田舎から電車で片道3時間。Color Tokyoの舞台でもある渋谷を通って目的地の新横浜へ。待ちに待ったTHE ORAL CIGARETTESのアリーナツアーファイナル公演だ。

少しだけ私のオーラルに対する気持ちを語らせて欲しい。4年前、偶然聞いていたラジオのゲストが彼らだった。初めは関西人の面白いトークに心を惹かれた。ただ面白い関西のバンドだと思っていた。だが、曲を聴いた瞬間今までにない衝撃を受けた。トークの雰囲気からは想像出来ないくらいかっこよかったのだ。しかし、普通に思うかっこいい音楽とは違うかっこいいを感じたのだ。それは人間の闇を肯定する歌詞にあったと思う。その当時の私は人間関係に悩みすぎて人間不信に陥っていた闇だらけの人間だった。ゆえに明るい応援ソングばかり聴いていた。少しでも闇を晴らすために。そんな私にとって闇を肯定する音楽は新鮮であり、自分自身を肯定してくれる自分のための音楽であった。その日から私の日常には彼らの音楽が必要不可欠だった。そして日々彼らを、彼らの音楽を好きになっていった。だが好きになった当時中学生だった私は片道1時間もかかる高崎のライブハウスに連れて行ってもらえるわけもなく、私の地元群馬で彼らのライブを見たいという夢は遠のいた。その後行われた都内のライブハウスでの公演も、初の日本武道館公演も、彼らの地元関西で初の大阪城ホール公演もどれも行けずに終わった。そろそろオーラルのライブを見たいと思っていた矢先ある発表があった。彼らの全国ツアーの発表だ。どうせまた行けないと半分諦めの気持ちで公式Twitterのツアー詳細の画像を眺めていたら一番最後の公演に嬉しくなった。いつもの様に平日ではなく休日の日曜日に少し遠いが関東圏内でツアーファイナルがある。私には希望しかなかった。両親に何を言われても絶対行くと決めた。その後1回止められたがなんとか説得して行けることになった。出会ってからかなり月日が経ち、色々あったからこそ今回の横浜アリーナは本当に大切な公演だった。

横浜アリーナ当日。ついにこの日が来てしまった気持ちと、やっとこの日が来た気持ちでごちゃごちゃだった。この日が私にとって初めてのTHE ORAL CIGARETTES、初めての横浜アリーナ。とにかく楽しみ以上の感情があった。現地に着き液晶に流れるツアーヴィジュアル、KKアリーナツアーのオブジェ、会場周辺に溢れるオーラル勢。実感が湧いてきて、今日まで生きていてよかったと開場する前から涙が込み上げてきた。開演20分前に中に入った。ステージの両サイドにあるスクリーンにはツアーヴィジュアルが映り、花道の先端の天井には四角い何かがあった。座席はオーラルのグッズを纏った人達で溢れ、皆これから始まる出来事にそわそわしていた。

暗転し、オーラルのライブでは恒例の4本打ちのコールがなった。このコールが聞けたことでさえ奇跡すぎて涙が止まらなかった。その後ステージに赤くKisses and Killsの逆再生のマークが映った。マークが消えステージのスクリーンに近代都市が映りTHE ORAL CIGARETTESと表示され、会場は拍手が鳴り響いた。やがて表示が消えスクリーンには

「‪人間は両極端のものをもつことで成立する」‬

と‪いう文章が流れた。衝撃の始まりに、これから何が起こるのか、どんなライブが始まるのか分からず会場は静寂に包まれていた。そこから人間の感情についての文がスクリーンに流れ続けた。そしてスクリーンの映像に合わせてドラマー中西雅也が下から出てきてドラムを叩いたと同時にKISSESと表示され前半戦が始まった。最初のMCで語られた四角い箱の正体、人工知能のKKくん。ライブ中は四角い箱の側面で映像を流したり、花道にきたメンバーを照らしたり重要な役割を果たしていた。Kisses編はその名の通り1曲目What you wantから、10曲目山中拓也のReI弾き語りまで全て愛を伝える明るい曲で構成されていた。メンバーもファンもとにかく笑顔で楽しんでいて、お互いに対する感謝をぶつけられた時間だった。山中拓也の弾き語りが終わりメンバーのいないステージのスクリーンにまた文章が流れた。‬

‪「人は愛ゆえに憎悪を持ち 負の感情を原動力にする」‬

最初の文章よりもっと衝撃的なものだった。負の感情についての文が流れた後、天井‪のKKくんの側面に負の言葉が順に表示されていった。会場中みな息を飲んでKKくんを見つめていた。そして先程と同じようにスクリーンに今度はKILLSと表示され、Ladies and Gentlemenのイントロが流れ始め後半戦が始まった。オーラルの本職と言っても過言ではない闇深い曲の多いKills編は、前半と変わってみな手を挙げ頭を振りライブだからこそできる暴れ方で各々の負の感情を飛ばしているようだった。後半戦では不思議なことが起こった。オーラルのライブといえばのキラーチューン祭りのはじまりでKKくんがバグを起こし‬

‪「人類を滅亡させよ」‬

‪と言ったのだ。それだけではない。本編最後のBLACK MEMORYでバグを起こしたKKくんは煙を出して壊れたのだ。これは後日落ち着いて考えた自分の見解だが、自分の感情を持たない人工知能がオーラルのライブ中に感情を覚え壊れてしまったのではないかと。あくまで持論なので違う可能性の方が高いがどちらにせよ気になる出来事だった。‬

‪アンコールの2曲はとにかく衝撃でしかなかった。1曲目ONE’S AGAINはオーラルの中でも特に闇を光に変える曲であることは音源が出された時から分かっていたが、時間が経つにつれその力の強さがどんどん増していると思った。それはこの曲を歌う前の山中のMCからも伝わった。暗く深い闇の中から見える一筋の光がオーラルから伝わってきた。後ろのスクリーンにはライブの初めに出てきた近代都市が崩壊する様子が映し出された。そして曲の終盤その崩壊していった都市の中で力強く咲く一輪のピンクの花が印象に残った。闇の中にある一筋の光。これをこの花で表しているのだ。またこれこそ私の中でのTHE ORAL CIGARETTESでもあった。闇の中で一筋の光を示してくれるのがオーラルであった。‬

‪「‬技術の発展というものが本当に経済の発展に繋がるのか。‪」‬

‪山中がギターをかき鳴らしながら始まった最後のMC。山中が昔から言っている自分自身で判断して欲しいというものだった。しかし今回のMCはいつも以上に説得力があった。それは今回のライブで扱われてきた人工知能、近代都市が人間の感情の衰えに繋がっていることを表していたからだ。このMCにより始まりの演出から全てが繋がった。最後に山中が力強く呟いた‬

‪「‬この世から人間の感情が無くなりませんように。‪」‬

‪この言葉はあの日オーラルのライブを見ていた全ての人が絶対に忘れない言葉だろう。そしてそのまま始まったラスト嫌い。この曲の演出も終演後に話題になったくらいなのでアリーナツアーに行った人は勿論、行けなかった人でも印象に残り忘れない演出だろう。その演出というのが1曲中ずっと真っ白なスクリーンに、白い照明が当てられ続けメンバーの表情が全く見えないというものだ。過去にこのような演出でライブをしたアーティストがいただろうか?とにかく衝撃的であった。最後に「嫌い」と力強く山中が歌いそのまま楽器を置き、真っ白な横浜アリーナのステージからTHE ORAL CIGARETTESは去った。会場は動揺に包まれながらも、終演のアナウンスを聞きこの日1番の拍手を彼らに送った。‬

念願のオーラルのライブということもあったがこの日は本当に伝説的な日だったと振り返り思う。何故今更3ヶ月前のライブのことを話すのか疑問に思う人もいると思う。それはこの日をはじめに山中拓也が本当に伝えたいこと、示したいことを考えはじめたからだ。はじめはこのアリーナツアーの演出のみを調べていった。そして後日山中が仕掛けてきた罠を回収しているという発言があり、過去のライブも調べ始めた。そうすると驚く程様々なところに伏線が張ってあり、今まで自分は何をみていたのかと悔やんだ。Kisses and Kills Tour、それと並行で開催されたFC限定ライブBKW!! Premium Party ~最初の晩餐~にもよくよく考えてみると繋がりそうなところがあったり、とにかく至る所に種が隠されていた。この種を探すのがかなり頭を使い悩むところもあるが見つけた時の驚きと嬉しさ、そしてその度に増すオーラルに対する尊敬心をもっと多くの人に感じて欲しい。そう思い今まで読むだけであった音楽文に今回の文章を投稿した。自分が何に気づいたかも語りたいが、自分自身で気づいて欲しいとも思うのでここでは語らない。音楽の知識が足りず読みづらい文章で申し訳ないが最後まで読んでくれたオーラルが好きな人、興味ある人は是非彼らが示したいものを探して欲しい。

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