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「音楽に救われてきた」彼と、彼に救われているわたし

初めてのandropのライブは、あたたかくて自由で帰る場所だった。

出会いはタワレコの試聴だった。

人からしたら大したことないであろう、それでもわたしにとっては人生一の辛いことがあってから、音楽が心の拠り所で、新しい出会いに満ち溢れているCDショップはわくわくする場所だった。

そんな中で、きれいなジャケットだなあという第一印象。
アーティストの名前を知っている程度だったし、添えてあるタイアップの情報も見ていないドラマのことだったから、ほとんど先入観なく手に取ったのが、「Hikari/androp」のCDだった。
ヘッドホン越しに聴こえた音楽に、あーこれは好きだ、と心を掴まれた。
耳から入ってきて全身をほぐされるような優しさがあった。

『光に変えてゆくよ どんな暗闇も
  夢見た未来が途切れないように』

『そこから僕が連れてゆく』

『選んで 選ばれて あなたといる
  一人じゃない』 (Hikari/androp)

ほんの10ヵ月前のことだけれど、それから彼らの音楽を知れば知るほど深みに引き込まれていった。
 

先月、FM802「on-air with TACTY IN THE MORNING」 の50組招待の公開収録で、andropのボーカル内澤崇仁さんをゲストに招いたトーク&弾き語りライブのイベントがあった。
会場は重要文化財で普段は公開されていない奈良国立博物館・仏教美術資料研究センター・関野ホール。
今一番気になっているバンドのボーカル内澤さん、それに毎朝聴いているラジオ番組、さらになにやらすごい会場。
情報が出てすぐに応募した。
あらゆるアーティストのライブのチケットを申し込んできて、はずれまくってきた自分のくじ運には諦めが付いていたのだが、なんと運良く当選することができた。

初めて生で聴く内澤さん。
眩しいくらいに天気がよくて気持ちのいい日だった。
こんな日に優しい声の弾き語りを特別な場所で聴けるのは本当に恵まれていた。
弾き語りは6曲。
青いファイルをめくりながら、「セットリストを考えてはきたが、会場に入って今日の場に合うものに大幅に変えた」と会場の音の響きや天候、雰囲気に合わせてだろうか、その日ならではの曲たちが披露された。

中でも特に印象的だったのが、Hikariとその前のMC。
「僕は音楽に救われて生きてきた人間なんで、音楽の力というのを信じてて、(中略)気持ちに寄り添えるような、今日を特別な日にできるような、音を鳴らしたいなという風に思って、今日ここに来ました。」

ああ、この人は、この人の音楽や言葉は信じられる。
確信した。
何十回何百回聴いたかわからないHikariが、その日一番響いた。

2週間後、初めてのandropのライブに行った。
アリーナやドームのライブしか行ったことがなかったわたしは、ライブハウス自体が初めてで、一人でライブに行くのも初めてだった。
そんな初めて尽くしのライブ。
ステージの上でギターを持たずにマイクスタンドを両手で掴んで 横に揺れながら歌う内澤さんは、つい2週間前に数メートル先で見た弾き語りの姿とはまた違って、どちらも素敵だった。

1回目のMCの時に内澤さんが言った「自由に音楽を楽しんでいってください。」

手を挙げたり、飛び跳ねたり、ハンドクラップしたり、横に揺れたり、シンガロングしたり、心で静かに聴いたり、メンバーの手元を注視したり、曲や自分の気持ちに合わせて本当に自由に楽しんだ。
周りの他のお客さんも、そしてたくさんの頭の間からたまに覗く 光に照らされたメンバーも、みんながみんな、すごくいい笑顔をしていたのが忘れられない。
なんて幸せな空間なのだと思った。
ずっとずっと続いてほしいと本気で願った。

彼らの人柄を象徴するようなゆるゆるなトークを挟みつつ、一度にこんなに聴けていいの?!と思うほど満足度が高いライブが進んでいった。

「andropの音楽に出会ってくれてありがとうございます。今日も来てくれて本当にありがとうございます。」と内澤さん。

初めて行ったのに、紛れもなくそこにわたしの居場所があって、「帰ってきた」という安心感があった。
初めてでも一人でも、何の負い目もなく心から音楽を楽しめる空間だった。

メンバーのことを詳しくは知らないし、曲を作った当時のエピソードや裏話もわからない。でもそんなことは杞憂に過ぎなかった。
そこに自分たちのいいと思うものを追求して表現するアーティストと、それを聴きに来た人々がいて、その間に音楽があった。
それが全てだった。
 

音楽でなにか辛い状況が変わるわけではない。
不甲斐ない自分が、平凡な人生が、生きづらい毎日が輝き出すなんてことは 残念ながらきっとない。

それでも また帰りたいと思える場所があるから、音楽を聴きながら生きていく。

最後の内澤さんの言葉を心にしまって。
「また音楽で会いましょう。」

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