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『BLUEHARLEM』のその先へ-

Yogee New Waves『TOUR BLUEHARLEM』福岡公演を観て

「島三部作」の完結編として発売された3rdアルバム『BLUEHARLEM』を携え、全国14ヵ所を訪れるワンマンツアー「TOUR BLUEHARLEM 2019」を開催中のYogee New Waves。ツアー2本目となる福岡公演が6月14日に福岡DRUM LOGOSにておこなわれた。

1stアルバム『PARAISO』で旅をスタートし、メンバーとの別れ・出会いを経て、2ndアルバム『WAVES』で大航海へと漂流したYogeesが、最終目的地として辿り着いた安息の島『BLUEHARLEM』。彼らがそこで感じたもの、その先に続く旅の様相を見せたライブの様子を伝える。

旅の完走を祝うかのような優しいエメラルド色の光に包まれ、角舘健悟(Vo&Gt)、粕谷哲司(Dr)、竹村郁哉(Gt)、上野恒星(Ba)、サポートパーカッションの松井泉、サポートキーボードの高野勲がステージに登場。

1曲目『Summer of Love』のギターリフが鳴り響くと、これから2時間にわたり描かれる「未知との遭遇」への期待を高鳴らせる。

チル感漂うポップ→ダンスビートへと転調する『Summer』、 “今日はうちに帰りたくない”といったフレーズが会場の想いを代弁した『Bring it Home』に続いて披露されたのは、“月まで行こう” というフレーズが印象的な新曲。

BLUEHARLEMへの旅を終えた彼らが、次なる目的地のひとつとして選んだのは、「宇宙」--正真正銘、未知との遭遇である。

乗り物を船からスペースシップへ、場所を海洋から銀河へと移すYogeesの新たな旅の始まりに、ぐっと全身が脈打つのを感じた。
 

「『Good Night Station』で降った雨で水位が上がって、『Suichutoshi』になって、そこに『emerald』の光が射して、最後に『SUNKEN SHIPS』(=「沈む船」」。
 

中盤パート–『BLUEHARLEM』のハイライトを演奏し終えた直後のMCで、角舘健吾は、照れくさそうにハニカミながらも自身が最も手応えを掴んだ、上記の曲説明をした。

先に公開されたインタビューや曲解説でも、アルバムの4曲目から6曲目に位置する『Good Night Station』、『Suichutoshi』、『emerald』の流れに角舘の明確な意図と自信が表れていた部分である。
 

実際に音源を聴くと、自分が彼らの後に付いて旅をしているような感覚–深い海に潜り、海底にエメラルド色の光が射す情景が容易に目に浮かんだ。ライブでもこの曲順でのパフォーマンスを予測できたし、そうしてほしいと期待するほどに美しい構成であった。

そうして待ちに待ったパートをライブで目にしたわけだが、何という言葉で説明したらよいのやら。
 

時間にして約20分。
 

筆者の体はライブハウスの硬いタイルの上で棒立ちしていたはずだが、海に潜る際に息を止めるように、いつの間にか呼吸を忘れ、その魂はどことも知れない空想上の海へトリップする。

マーブル模様の蜃気楼が漂う海上を進むと、降り頻る大雨は水位を高め、我々の住む土地は水中都市へと姿を変えた。

滲んでぼんやりとした街並みを横目に船を進める我々は、燦然と輝くエメラルドの光を道標に舵を切る。ようやく海の上に顔を出し地に足を付けると、旅を共にした船に祝いの火をともし、沈んでいく様を見送った。
 

拍手の音で我に返ると、冒頭の角舘の曲群紹介である。これが俗に言う、幽体離脱の感覚なのだろうか。

ミュージシャンの薬物使用だの、謝罪だのと騒がれる近頃だが、合法トリップをしたければ『BLUEHARLEM』を聴きこみYogee New Wavesのツアーに足を運べ、と心底勧めたくなるほど、わたしも彼らの表現に侵されてしまった、と言葉を残しておく。
 

不可思議な体験を終えた後に待っていたのは、彼らのキャリアをおさらいするような名曲の連続だ。

初期の代表曲『CLIMAX NIGHT』の大合唱で会場とシンクロしたかと思えば、その場を一気にダンスフロアへと変貌させる『Fantasic Show』を投下。噴き出る汗がライブハウスの熱気をさらに高める。

角舘が「僕たちの街、東京の歌をやります。」と告げ鳴らされたナンバーは『Sunset Town』。美しいコール&レスポンスは終演が近いことを知らせ、オレンジ色に光る照明はやけに眩しかった。

『Bluemin’ Days』、『Ride on Wave』とアップテンポなナンバーで幸福の花を咲かせ、『TOUR BLUEHARLEM』の本編は幕を閉じた。

アンコールに呼ばれ再度ステージに上がった彼らが披露したのは『World is Mine』。まさか演奏されるとは思っておらず、恥ずかしげもなくこの日一番の咆哮を上げてしまった。タイトルからしてライブのトリを飾るにふさわしい『SAYONARAMATA』でフィニッシュかと思われたが、「あと一曲だけ!」と『Good Bye』をドロップ。

統一感のない各々のダンスで愛情を示すフロアに真の自由を感じ、筆者も悔いを残すまいと我を忘れて踊り、声高らかに歌った。

演奏を終えた6人はステージのギリギリまで踏み出して肩を組み、カーテンコールさながらに深々とお辞儀。

角舘の「離れたくねぇな!」という呟きが、最後までその場を離れようとしないファンの気持ちを物語っていた。
 
 

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