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2017年6月13日

みっち (21歳)
8
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日はまだ高く

人生最悪の日とG-FREAK FACTORY

人生最悪の瞬間は突然訪れるとはよく聞いていたが、自分の身に起こるとは全く想像していなかった。

私は2年前、研究室の忘年会で彼を好きになった。彼の笑顔は太陽のようだった。その恋が3ヶ月前、ようやく実り、付き合い始めた。
そして忘れもしない5月21日。
彼にお昼ころ、カラオケに誘われた。その日は大好きなG-FREAK FACTORYのライブも夜にあって、最高の日になる予感がした。

それはカラオケを出て、彼の家に向かう道中だった。
「新しい彼女ができたから、ごめん。」
死角からアッパーが飛んできたような衝撃だった。

やつらは2週間の教育実習でペアになり、朝早くから夜遅くまで一緒にいたようだった。彼曰く、「人生で最も充実した2週間」だったようだ。どっから出てきたかわからない女にふらっと私の2年間は奪われた。

それからどうやってライブハウスの駐車場に辿り着いたのかは覚えていない。地下への階段を下り、ドリンク代の500円を払って重い扉を開いた。
ちょうど、ジーフリーク独特のミュージックラインに乗ってボーカルの茂木洋晃が出てくるところだった。
しかし私の頭はまだ真っ白なままだった。楽しみにしていたライブが全く耳に入ってこない。自分が自分ではない感覚を初めて味わった。

しかしライブの中盤、茂木の祈りにも似たラップ、が聞こえた。観客の上を歩き、天井に捕まり、ひとりひとりの顔を見て言葉を紡いでいた。
一番後ろにいた私にもその言葉は届いた。閉塞感漂う日本へ、最愛の故郷へ、日々を戦う私たちへ。

そこからはただただライブに夢中になった。あっという間にライブは終わってしまった。そして間もなく、アンコールに応えてメンバーがまたステージに上がった。

最後に、何百回と聴いた大好きな曲を演奏してくれた。
ライブの醍醐味、コールアンドレスポンスで

限りない自分に愛を
分かち合える光を
情けない自分に愛を
あの日が上がるまで

一緒に歌い、叫んでいる隣のお客さんはさっきまで起きていた私史上最悪のことなんて絶対に知らないし、ジーフリークのメンバーだって観客の中に大フラレした人間がいるなんて想像もしていないだろう。

しかし、その時、ライブハウスにいる人全員が私を励ましてくれているように感じた。

次の日、私の頭上に日は高くあり、眩しく街を照らしていた。
昨日は人生最悪の日だったことは確かだ。彼氏にフラレるし、大好きなバンドのライブの前半は全く覚えていないし。しかし、そんなことにはお構いなく太陽は昇り、今日という日が始まる。
世の中は変わることなく回る。

生きてこうと思えた。あんなクソ男のことなんてどうでもいいなんて強がりも言いながら。
「日本のアフリカ」で意地張って強がっているバンドを見てしまったんだから。

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