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藤巻亮太の中の“レミオロメン”

弾き語り LIVE TOUR 2019 “In the beginning”に寄せて

“レミオロメンの藤巻亮太ではなく、藤巻亮太の中のレミオロメンを大事にしていきたい”
 

今年4月3日にレミオロメン時代の曲をアコースティックアレンジでカバーしたアルバム「RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010」のリリース時のインタビューで藤巻自身が語っていた言葉。
  

この言葉をカバーアルバムによって自ら表現し、ライブの場で自ら体現していったこの藤巻亮太 弾き語りLIVE TOUR 2019“In the beginning”は、原点であるレミオロメンという存在と向き合ったことで過去を受け止め、今の自分自身が歌い、そして今の自分自身を歌うことで更なる輝きを放ち、またこの先の彼の新たな可能性を感じることができた、そんな4月から6月にかけての3ヶ月間だった。
 

追加公演を含めた全21公演。
3ピースバンド編成の4公演と追加公演で“Epilogue”と名付けられたウッドベースとピアノでのトリオ編成の1公演、それ以外は全てアコギでの弾き語りライブとなった今回のツアー。
各会場ごとにセットリストやMCの内容を変えいていくことを挑戦としていて、レミオロメンの曲、ソロ曲、新曲、カバー曲、60曲以上を自由自在に織り交ぜながらのセットリストは、今日という1日を大事に、目の前の今その時その場を楽しむ、まさに彼の楽曲「日日是好日」を彷彿とさせるもの。
 

私は3ピースバンド、弾き語り、トリオ編成合わせて6公演に参加したが、聴きたかった念願の曲に喜んだり、予想外の曲に度肝を抜かれたり、思い出の曲に涙流したり、至近距離での歌声の力強さや美しさに酔いしれ、かき鳴らされるアッパーのギターに興奮し、温かくやさしく紡ぎ出されるアコギの音色に引き込まれ、どの公演もとても贅沢で幸せなライブ空間だった。
 

またMCもレミオロメンの神社時代、メジャーデビューを果たした頃、大ブレークした粉雪、史上初の滑走路ライブといったバンド時代もあり、ソロになってからの登山や旅先でのエピソード、自身初の主催フェスMt.FUJIMAKIへの思い、その土地ならではの語り継がれてきたご当地話・・・多岐に渡って繰り広げられ、じっくりと丁寧に自分の言葉で届けようとするのが伝わってくるものだった。

レミオロメンの頃の話になると、メンバーの前田啓介や神宮司治の名前がごく自然に出てくることもあった。
時に懐かしくなり、時に初耳の話に驚いたり、彼の発する言葉一つ一つに夢中で耳を傾けていたら、あっという間に時間が過ぎて最後1曲を残すのみということも。

それだけ藤巻がいつぞやの公演で話していた自分の部屋でライブをしているような距離感、弾き語りという間近でこじんまりとした空間でじっくり歌いつつ、ゆっくり思いを語りつつという、藤巻にしか生み出せない唯一無二の濃密な時間だったのだと思う。
 
 

レミオロメン結成から19年、メジャーデビューから16年、活動休止してから7年。

昔から応援している神社時代からのファン、粉雪でのブレーク時にその存在を知り好きになったファン、活動休止してからふとしたきっかけで音楽を耳にして魅了されたファン、レミオロメンの存在を知らずにソロアーティスト藤巻亮太の曲がきっかけになったファン・・・彼には様々なリスナーがいることだろう。

そのリスナーの思いも様々で、レミオロメンの再始動を待ち続ける人もいれば、ソロのライブでレミオロメンの曲を歌ってほしいと願う人、逆にソロでは歌ってほしくないという人、レミオロメンよりもソロ曲を聞きたいという人・・・ここにはとてもじゃないけど書ききれない、リスナーそれぞれの心の内、感情、揺るがない思いがきっとある。
 

私自身、レミオロメンを10年以上応援してきたその存在があまりにも大きく、藤巻のソロデビュー当初から、ソロではソロをという思いが強く、ソロでバンドの曲を披露することをなかなか受け入れることができない時期があった。
ソロ活動していく中で彼自身もレミオロメンとソロの狭間で苦しんでいたこと、それを乗り越えようとする彼が作り出す音楽、姿勢や思いを目の当たりにすることで、少しずつそんな自分勝手な思いが浄化されていった。
ソロ活動の中で周囲からレミオロメンの曲を求められる声が多く、藤巻曰く“今、レミオロメンの曲を歌えるのは自分しかいない”という揺るぎようのない現実を実感してから、徐々にソロのライブでレミオロメンの曲を歌い、セットリストの中にも何曲か組み込まれていくようになっていった。
そんな中でも、レミオロメンの曲を聞けることで喜ぶ人もいれば、ソロでバンドの曲をやるならレミオロメンをはやく復活させてほしい、過去の成功にすがっているんじゃないかといった厳しい意見が出てくるし、そこでも色んな思いが渦巻いていること、藤巻自身が一番思い悩んでいたことだろう。
 

今回の“In the beginning”ツアーは、そんな煩雑複雑に絡み合い混沌としている様々なリスナーの思いに対する、藤巻が出した彼なりの1つの答えだったんじゃないかと私は思う。
 

今まで歩んできた己の道を踏みしめ、次に進んでいく覚悟とともに、レミオロメンと藤巻亮太の境界線を自ら越えていくこと、それを歌声とギター1本でのシンプルがゆえに誤魔化しのきかない弾き語りという形で体現したこと。今まで作り出してきた数々の曲の背景を自分の言葉で伝え明かし、目の前の1人1人と対峙して届けていくこと。
 

“レミオロメンの藤巻亮太が歌うのではなく、藤巻亮太の中のレミオロメンを歌う”
 

そんな決意表明の場が“はじめに”と銘打たれたこの“In the beginning”ツアーで、ここから1人のシンガーソングライター藤巻亮太として新たな音楽人生を歩んでいくのだろう。
 

ツアーを経てこの先の彼の音楽がどう進化していくのかが楽しみでたまらない。

それと同時に、様々なリスナーの中でソロを聞いたことがない、一度聞いたけれどピンとこなかった、ソロを聞かずにレミオロメンの再開を待ち続けている、レミオロメンは好きだけれど藤巻亮太には興味がない・・・そんな人達に対して押し付けることはできないが、少しでも気になる、どこか心の片隅にあるのであれば、是非今の藤巻亮太に出会ってほしい、再会してほしいなぁと切に思う。

今の藤巻亮太が歌うレミオロメン、当時とはまた一味も二味も違った魅力に溢れていると声を大にして言いたい。
 

「ビールとプリン」は、彼が作った20歳の頃のリアルを39歳の美しく艶やかな歌声で当時を懐かしむように愛おしそうに歌うのがたまらないし、「雨上がり」や「五月雨」は一筋縄にはいかない藤巻節をアコギ1本で自由自在にかき鳴らしながら気持ち良さそうに歌い上げる姿がかっこいい。

「永遠と一瞬」は希望と不安の間を揺れ動くバンド初期の頃の葛藤をアコギとドラムと歌だけのシンプルなアレンジで表現していて、シンプルがゆえに切実に訴えかけてくる。

ウッドベースとピアノでのトリオ編成で魅せた、ハンドマイクで情感豊かに歌う「海のバラッド」や「恋の予感から」といった珠玉のバラードも最高だ。

代表曲である「粉雪」や「3月9日」はマイクを通さず、生の歌声とギター1本だけで存分に響かせるという挑戦、その素晴らしさに涙するファンも沢山いた。
 

全ての曲を取り上げたらキリがないので割愛するが、当時は当時の良さがあるのと同じように、今の藤巻亮太だからこそ歌えるレミオロメンの良さを味わい、それぞれの曲に対する違ったアプローチを楽しめ、当時の曲が新しい息吹をもって今もなお生きているという感覚を持てるのではないか。
そんなツアーを経て行き着いた素直な思いをもって、もっともっと多くの人に彼の歌声が届いたらと願わずにはいられない。
 

まずはレミオロメンがつまった「Acoustic Recordings」、そこからソロの作品に繋がったら・・・もちろんその逆でソロの作品から彼の歩んできた道のりをたどり今なぜ彼がレミオロメンを歌うのかに思いを寄せながら「Acoustic Recordings」を聴いてみるのもよいのかもしれない。
彼の音楽との出会いや再会、誰か、いつか、どこかで、どうか、どうかありますように。
 
 

“また新しいシンボルを探して前に進んでいきたい”
 

ツアーの締めくくり“In the beginning Epilogue”公演で3rd.Albumの中の「北極星」を披露する前に語った言葉。

力強い決意とともにスタンドマイクで解き放った、ホール中に響き渡る伸びやかな歌声に、きっと彼はもう自分が向かうべきその先を見据えているんだろうなという安心感と、このツアーを開催しやり遂げてくれたことへの感謝の気持ちが込み上げてきた・・・彼のファンでいて良かった、心底思えた時間。
この時を忘れたくない、いつまでも焼き付けておきたいと思い続けながら、ツアーが終わって1週間が経った。
 

地元山梨が自分の原点であり、変わらない北極星だという想いで作ったというこの曲が生まれた場所でもある、故郷での主催フェス“Mt.FUJIMAKI2019”の成功に向けて、そしてその先の新たな自身の音楽に向けて歩みはじめた藤巻亮太。

彼のこれからを応援し、しっかりとその行く先を見届けていきたいとここに強く誓いたい。

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