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描いた理想と現実を、イコールで繋げるように。

sumikaが歌うまっすぐな夏

“理想と現実を繋ぐ記号に焦がれる 無限を泳ぐ歌。”

sumikaのボーカル・片岡健太がそう語る曲。
爽やかで厚みのあるイントロは、心の奥の方から巻き起こる衝動を想起させ、何かが始まりそうな予感がする。

「南風で 髪がなびく
 あの子の横顔に
 苦笑いやめ誓ってやる
 今年の夏の日は」

真っ青な空、真っ白な雲、茶色いグラウンドを真っ黒に日焼けした少年少女が走り回る。
そんな景色が、眩しいほど鮮やかな色彩で描き出される。
少年少女の掛け声、セミの鳴き声、風が木を揺らす音、そして大歓声まで聞こえてきそうな気分になる。

優しく耳に届く歌声と、柔らかい楽器の音が、少しゆったりしたリズムに乗る。
応援歌に特有のしんどさはなく、そっと背中を押してくれる温かい曲だ。
ほとばしる情熱とほんの少しの儚さが共存するこの曲は、僕たちの大人になってしまった心をそっとふるわせる。

「Stand By Me そばにいて
 今ミックスしよう 素直と理想を」

繰り返し出てくる「理想」という言葉。
心の奥底から沸き上がる輝かしい「理想」を追いかけようとする、希望と絶望の入り混じる感情が伝わってくる。

ふと思った。
今sumikaは、どんな“理想”を描いているのだろう。
この歌詞を書いた片岡健太と、彼が所属するバンドsumikaは、Mステにも出演し、武道館のワンマンも成功させた。
ミュージシャンとして確固たる地位を築いた成功者と言える。
そんな彼らが今抱く“理想”は、どんなものだろうか。
「僕らの音楽を、もっとたくさんの人に届けたい」と優しい笑顔で言ってくれるかもしれないし、もっと売れて金持ちになることかもしれない。
もしかしたら、本当はもっと違う音楽がやりたくて、今のスタイルは理想とは程遠いという可能性だってある。
ライブやメディアで話すことはいろいろあるだろうが、本当のところは本人にしか分からない。

それでも、彼らが大きな“理想”を描き、そこに向けて進んでいることだけは、紛れもない真実だろう。

雨天決行、ファンファーレ、グライダースライダー、Flower、彗星…
sumikaは、何度も夢を諦めないことの尊さを歌い、自らの背中で示してくれた。
そして今度は、「理想」という言葉を使って、僕らに勇気を与えてくれている。

たとえ、青空の下グラウンドを走り回ることはなくなっても、
あの頃と同じぐらい気高く、時々どうしようもなく胸を締め付ける“理想”が、今も自分の中に横たわっているだろう。
自分の実力とか、周囲の環境とか、できない理由とか、そんなものを言い訳にしたくない。
あの頃みたいに無鉄砲に、真っ直ぐに追いかけていたい。

雨が上がったら夏が来る。
どんどん高くなる気温に導かれて、自分の体と心も熱くしていきたい。
数年前の夏みたいな熱量に、もう一度身を委ねたい。
僕らの青春は終わらない。

描いた理想と現在(いま)を、イコールで繋げるように。

“あなたたち”ではなく“あなた”に届けることを貫くsumika。
この曲も、もちろん“あなた”に向けた応援歌だ。

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