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昔のアジカンと今のアジカン

ホームタウンツアー参戦を経て。私とアジカンの話。

アジアンカンフージェネレーションが、最新アルバム「ホームタウン」の全国ツアーを行っている。全国の、小さなライブハウスから大きなホールまで、日本を約2周するという非常に大きなツアーだ。

私はこの機会に、「あ、アジカンを生で観よう」と決めた。

アジカンと言えば、私の青春ど真ん中のバンドだった。田舎町の小さなカラオケ店で、田舎者丸出しの見た目をした中高生の頃の私は、友人たちと何度も何度も、飽きもせずにアジカンをいっぱい歌った。「音楽」にハマったばかりの私は、シングルの定番曲もいいけど、アルバムの曲もいいんだよ、と得意げに、皆が歌わない曲を狙って歌ったりした。

今、私は所謂アラサーと呼ばれるまで歳を重ね、上京して都会に出てきてなんとか働いている。考え方や好みなど、色々と変わったが、好きなアーティストについて、アルバムの曲もいいんだよ、と言いたくなるのは、「音楽」にハマったばかりの頃と変わっていない。
 

アジカンのことは、相も変わらず好きだった。アジカンの情報をSNSで見たり、新曲も聴いたりしていた。それでもどこか心の中で、アジカンは「思い出のバンド」という感覚があった、のだと思う。そこまで積極的に情報を取り入れることもしなかったので、「あ、ライブあるんだ…行けないけど…」ということもしばしばあった。また、ふとライブに行きたいなあ、と考えても、絶対に行きたいと前々から考えて準備をしている人たちとのチケット戦争には勝てないだろう、とゆるく諦めたこともあった。
そういう、特に理由のない理由で、まだアジカンを生で観たことはなかった。

そんな中、今回のホームタウンのツアー規模を知って、「良い機会なんじゃないか」と思った。ちょうどその時期はYouTubeの公式チャンネルが配信するアジカンのMVを観て、アジカン熱もあがって来ていた。そうして申し込んだチケットが無事当たり、私は特に理由のない理由で観ていなかったアジカンを、勢いで観に行くことにした。

今思えば、その勢いでの決定が、すごく良かったなと思った。
なんとなくライブに行きたい、アジカンが聴きたい、生で観たい。難しいことを考えずにそういう感情に任せて、行きたいときに行けばよかったのだ、と納得した。
私は以前から、自分の好きな物事について文章を書いたり言葉を紡いだりすることが好きだったが、音楽の魅力というのはどうにもうまく言葉にあらわすことができなくて、非常に難しいジャンルだと思っていた。楽器や音楽の歴史などの知識がないから、音楽に関する語彙力はゼロに等しい。でも、多分それで良いのかもしれない。良い音楽が良いのは良いに決まっているのだから、できないくせに、理屈で表現しようと頑張っても意味がない。
そういった音楽を表現することへの結論が、今回の勢いでの参戦決定と似ていると思った。

そうして迎えた5月19日、私は大量のグッズを買って身に着け、ライブに参戦した。

初めてのアーティストのライブでは、どうやってノればいいのか? と考えて緊張してしまうことがあるが、ゴッチは初めに、「みんな好きなようにしていいから」と言った。実際にライブ会場中では、皆が自由に、それぞれの好きなように踊ったり、リズムをとったりして、アジカンを楽しんでいた。私たちだけではなく、きっとアジカンの皆もそうだ。それぞれが自由に個性を出して、それでいて一体となっていた。

その日演奏されたのは、もちろんホームタウンの収録曲がメインだったが、昔の曲もいっぱいあった。中にはアコースティックアレンジ演奏なんかも含まれていた。

私はとにかく、生のアジカンにずっと興奮が止まらなかった。
ホームタウンの曲を聞くと、「今のアジカンって最高」と泣きそうになり、昔のアジカンを聞くと、「昔のアジカンって最高」と自分の意見をころころ変えながら、とにかくずっと楽しんでいた。そんな私に向かって(正確には会場全体にだが)ゴッチは、MCで言った。

「昔の俺らがよかったって言われることがある。でも、曲は出して終わりってわけじゃない。昔の曲もこうやって今日、演奏してるんだから」

私は息をするのを忘れていて、軽く咳き込みながら、食い入るように話を聞いていた。

「だから、昔の俺らを背負った今の俺らが一番いいに決まってる」

その言葉を聞いた途端、崩れ落ちそうになった。
そうだ! と叫びたかった。
私自身、今まで「昔のアジカンの方がよかった」と思わなかったかというと、正直思ったこともあった。しかし、ライブで生のアジカンを見て、その言葉を聞いて、もう何も思わないと決めた。

中高時代の思い出のアジカンが、今目の前にいて、そして、今日がこれからの思い出になる。さらに、アジカンはこれからも続いていく。昔を背負った最高のアジカンが明日もまた、やってくる。私にまた思い出を作ってくれる。

私はアジカンを目の前にしながら、自分の中高時代をフラッシュバックさせていた。
昔の私も今の私も、正直なところ、至らないことばかりで、どちらもうまく愛することができない。それでも私は昔の私を抱えながら、さらに最高の私を目指して、今日を、そして明日を歩むのだ。

前述通り、私は音楽を文章で表現することはすごく難しいと思っている。それでも勢いで、今回のアジカンへの感動を思いのまま伝えたくて、ここに綴る。

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