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『あなたへ』エレファントカシマシという光

誰かのために生きること

エレファントカシマシを知ったのは、音楽番組で流れた『獣ゆく細道』のパフォーマンスがきっかけだった。
ボーカル宮本浩次さんのパワフルな歌声とパフォーマンスに衝撃を受け、エレカシのアルバムを借りた。PONY CANYONの自選作品集だったと思う。今宵の月のようにはうっすらと知っていて好きだったが、それ以外にはそれほどピンと来ず、宮本さんというなんだかすごい人がいるとだけ認識した程度だった。
その後、私は就職活動に入った。
将来への不安の中で、たまたま四月の風と悲しみの果てを聴き、第2の衝撃を受けた。
励ますのではなく、ただただ自分の中にある不安に寄り添ってくれるような気がして、心に風が吹いたようにすっと気持ちが軽くなった。
第一志望の企業の最終面接には、俺たちの明日を聞いてから臨んだ。無事に就活が終わると、そこからはどんどんエレファントカシマシの音楽にのめり込んでいった。
中でも私にとって1番大切な曲は「あなたへ」だ。
個人的な話で恐縮だが、私の実の母は私が中学生の頃に他界した。言ってしまった言葉や当時の行動に対し、後悔ばかり残っている。
丁度その頃学校では、遅すぎないうちに大事な人を大切にしよう、という内容の曲を音楽の授業で歌う機会があり、「遅すぎた人はどうすればいいのか」とやりきれない気持ちになった。

“わたしの日々 わたしの努力 わたしの希望 わたしの全部 いつしかあなたを彩る花束になるのです ”
『あなたへ』の歌詞はそんな私にとって救いだった。
あなたへは宮本さんが亡くなったお母様へ向けた曲だ。こうした曲では大抵、故人も残された人の中で生きているよ、という故人が残された人を彩るというメッセージが多い。でもこの曲は私には宮本さんが、むしろ故人を更に輝かせるために残された側が頑張って生きていこうぜ!と言っているように聴こえて、涙が止まらなかった。
心の片隅に何も出来なかった罪悪感がずっと燻っていたが、遅すぎるということはないのかもしれない、今からでも出来ることがあるのかもしれない、と初めて思えた。

“自分が主役の そして誰かをしあわせにするため生き抜く 大地のシンフォニー” (『大地のシンフォニー』)

“愛する人のためのこの命だってことに あぁ 気付いたな”(『俺たちの明日』)

“明日もがんばろう 愛する人に 捧げよう”(『四月の風』)

宮本さんはいつだって大事な人のために自分の道を全力で生きている。
恋人、家族、友人、大事な人は、人によって違うと思う。私に今後そこまで大事だと思える人が出来るのか、出来たとしても何が出来るのか、少し不安になる。
それでも、きっと私の全てが、故人を含め私の人生に関わる人達への花束になると信じて、今日も祈る。
“明日を誰かのために生きられるように”(『彼女は買い物の帰り道』)と。

エレファントカシマシの音楽はいつだって聴く人を大きく温かく、そして頼もしい光で導いてくれる。彼らが音楽を通してメッセージを伝え続けてくれた30年間に、ただただありがとうと伝えたい。

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